金融庁は、「バブル崩壊後の不良債権処理時に、金融庁検査が銀行の貸出金の回収可能性ばかり見ていたから、銀行員が担保と保証の有無ばかり気にするようになり、借り手の事業性を見る目利き能力(事業が発展するか否かを見極める能力という意味)が失われてしまった」と考えているようですが、上記を考えれば容易に理解できるように、もともと目利き能力が素晴らしかったわけではないのです。

まあ、「バブル前の方が今よりはマシだったので、せめてそこまで戻れ」と言うのであれば、分からなくはありませんが。

今ひとつ、銀行としての懸念材料は、金融庁の姿勢が続くのか否かです。森長官の考え方を庁内の皆が共有していて、後任者も同じ方針を貫くことが明らかであるならば、銀行としても諦めて従わざるを得ないでしょうが、後任の長官が以前の方針に逆戻りする可能性も考えられるのであれば、融資方針の大転換は危険かも知れません。金融庁が検査体制の見直しを計画しているようですが、それがどのように機能するのか、見定める必要がありそうです。

銀行は、難しい判断を迫られているわけですね。何れにしても難儀だ、ということですね。

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塚崎 公義