企業が現金を持ちすぎていて、資金を有効に活用していない、という人は多勢います。筆者も、企業が現金を持ちすぎることには反対です。しかし、上記記事では、企業が現金を金庫に積み上げているのではなく、銀行借り入れの返済に用いているのですから、批判する必要はありません。

ちなみに、企業が大量の現金を金庫に積み上げておいたら(ゼロ金利の銀行預金でも同じ)、ROAが下がるはずですが、上記記事によればROAは2倍に高まっているわけですから、上記記事を見る限り、現金を持ちすぎるという批判は当たっていないようです。

企業が利益を稼いだら、それを「配当しろ」と投資家たちは言いますが、それを「配当ではなく借金の返済に回せ」と筆者は言っている、というわけです。筆者は投資家の味方ではなく、日本経済の味方ですから(笑)。そして、実際に企業が利益を借金の返済に回しているので自己資本比率が高まっているのだ、というわけです。

もちろん筆者も、自己資本比率が100%であるべきだと主張するつもりはありません。「適正な自己資本比率」については別途議論をする必要があるでしょうね。

<<これまでの記事はこちらから>>

塚崎 公義