かっぱ寿司が期間限定、店舗限定で『食べ放題キャンペーン』を実施

6月12日、回転寿司チェーン店のかっぱ寿司が発表した『食べ放題キャンペーン』は、大きな話題となりました。その概要は、

  • 期間限定(6月13日~7月14日)
  • 対象店舗は全国20店舗(ちなみに総店舗数は346)
  • 実施時間は14時~17時
  • 料金(税別)は70分で1,580円(男性)、1,380円(女性)、980円(65歳以上)
  • その他に飲み放題などオプションあり

というものです。既に行かれた人もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、後述するように、実際に食べることができた人は非常に少ないかもしれません。

かっぱ寿司を展開するカッパ・クリエイトとは?

かっぱ寿司は、カッパ・クリエイト(7421)が展開する回転寿司チェーンです。そのカッパ・クリエイトは、様々な外食チェーンを展開する持株会社のコロワイド(7616)が間接所有という形で過半数を有しています。

この資本構成はやや複雑になっていますが、平たく言えば、カッパ・クリエイトはコロワイドの子会社です。しかも、両社とも東証1部に上場しており、実質的には、いわゆる「親子上場」に該当します。

深刻な業績不振にあえぐカッパ・クリエイト

ところで、かっぱ寿司が始めた食べ放題は、業績不振打開に向けた一手と報道されました。カッパ・クリエイトの業績は厳しいのでしょうか? 有価証券報告書を見てみましょう。

最終損益(親会社株主に帰属する当期純利益)の推移を見ると、2012年2月期:15億円→2013年2月期:▲22億円→2014年2月期:▲71億円→2015年3月期:▲135億円となっており、大変厳しい状況と言えます。

その後、店舗閉鎖などリストラ効果および資産売却益の計上により、2016年3月期は53億円と4期ぶりの黒字転換を果たしましたが、2017年3月期は再び▲58億円の最終赤字に転落しました。他の回転寿司チェーン店も苦戦はしていますが、それと比べても深刻な不振に陥っているのは間違いなさそうです。

2018年3月期もスタートからつまづいた可能性大

業績不振の要因は様々あると見られますが、最大要因が売上高の減少にあることは明らかです。既に始まった2018年3月期を見ても、4月、5月と客数(既存店)が前年割れとなっており、とりわけ、大型連休で書き入れ時である5月は対前年同月比▲11%減でした。早くもスタートからつまづいたと考えられます。

このような厳しい状況を打破するための施策として、食べ放題がトライアルという形で実施された可能性は十分あります。いろいろな意見はあるでしょうが、斬新で話題性があることは確かですし、何もしないよりは、こうした「試み」を行うのは素晴らしいことではないでしょうか。

食べ放題の実施店舗に行ってみたが…

さて、そんな形で始まった食べ放題、筆者も体験してみることにしました。残念ながら、筆者在住の地域(東京)では実施店舗がなかったのですが、所用で大阪に行くこととなり、近郊にある実施店舗に行ってみました。

筆者が行ったのは東住吉店(大阪市東住吉区)です。市営地下鉄谷町線の喜連瓜破(きれうりわり)駅から徒歩10~12分くらいです。ビールを飲むつもりだったので、レンタカーではなく公共交通機関を利用しました。

筆者が行ったのは、食べ放題実施2日目の6月14日(木)でした。“食べ放題と言っても、平日のランチタイム後だから激混みではないだろう”と、喜連瓜破駅に着いたのが14時30分くらいでしたが、今振り返ると、とんでもなく甘い見通しでした。楽観的に考えるにもほどがあります。

最初、駅から歩き始めた時は、平日なので人通りが少なかったことは間違いありませんでした。しかし、店舗に近付くにつれて、同じ方向に歩く人が徐々に増えてきました。しかも、平日なのになぜか、制服姿の高校生らしき若者が多く、女子高生も数多くいました。この時点で、嫌な予感がしました。

ごった返す店内、食べることなく帰路に着く

到着して見た光景は、まさしく“ごった返し”に相応しい大混雑でした。当然、食べることはできませんでした。この大混雑ぶりは、既に様々なニュースで報道されていますから、詳細は省略します。

ちなみに、東住吉店では、実施時間を18時まで延長していましたが、それでも対処不可能のようでした。店員さんに聞いたところ、朝8時から多くの人が並んだようです。一説には待ち時間10時間以上とも言われていますが、嘘ではないと実感しました。

「今頃来られても、とても無理です」というようなことをやや厳しい関西弁で言われて、帰路に着きました。

業績回復の切り札になるとは考えにくい

1つ気になったのは、食べ放題ではない通常のコースを選ぶお客さんに少なからず影響が出ていることです。正直、業績回復に寄与している印象は乏しいと感じました。

もちろん、20店舗の限定実施ですので、その影響が甚大になることはないと思われますが、この『食べ放題キャンペーン』の実施効果が今後の業績にどう反映されるのか、注目したいと思います。

LIMO編集部