投資家が嫌われる3つの理由

株高の中で投資家の特性について考える

日経平均株価が2万円を超え、改めて株式市場への注目が高まってきています。投資家の懐も暖まっているのではないでしょうか。

しかし、多くの方にとって投資家という存在はあまり身近ではないかもしれません。投資家といっても、自分の資産を運用する個人投資家から機関投資家まで様々です。また、機関投資家といっても個人から資金を集めた投資信託から、富豪や年金基金が資金の出し手になっているヘッジファンドまで多岐にわたります。

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上場企業の経営者などには実は投資家嫌いだという人がいたり、「投資家は失礼だ」とはっきり口にする人もいます。また、そもそも投資家は何を考えているのかわからないという人もいるでしょう。今回は、投資家がなぜ嫌われるのかについて考えてみます。

好かれる投資家、嫌われる投資家

一口に投資家と言いますが、その実態は様々です。投資家の中で最も有名と言ってもよいウォーレン・バフェットは世界の多くの人から尊敬を集めていますし、米フィデリティのピーター・リンチのように個人投資家の間で成長株投資のカリスマと呼ばれている人もいます。したがって、当然ですが、投資家はすべてがすべて嫌われるということではありません。

その一方で、悪役を自認するかのような投資家もいます。たとえば、アクティビストと呼ばれる投資家のように株主としての権利を前面に押し出し、会社経営者にプレッシャーをかける投資家です。また、アクティビストと同様に株主の権利を主張しつつもマイルドに会社に働きかけるエンゲージメントという手法もあります。

いずれにせよ、株主に監視されること自体を好まない経営者にとっては、株主の意見をハードに主張されようが、マイルドに主張されようが、いずれにしても嫌いということになるかもしれません。

「投資家が悪いのではない、仕事上しかたない」説

さて、投資家の仕事を突き詰めると「儲ける」ということが最も重要なわけですが、この儲けるために必要なことがいくつかあります。

1つは、多くの参加者が気づいていない投資機会を見出すこと。

もう1つは、投資におけるリスクを把握すること。

最後に、利益を確定すること。

他にもありますが、大きくはこの3つではないでしょうか。

投資家が嫌われるのは、おそらくリスクを把握する際、投資先の考えはさておき、根掘り葉掘り調べるからかもしれません。また、投資先の市場価格が高くなり、目標株価に達したときには冷徹に利益を確定するところも嫌われる理由でしょうか。

ただ、これらを粛々とこなせる投資家は、投資家としては優秀です。言い換えれば、投資家としての仕事をまじめにこなしているからこそ嫌われるのかもしれません。

「嫌な奴が投資家になっている」説

先ほどの「投資家が悪いのではない、仕事上しかたない」説には、投資家を買いかぶり過ぎではないかという指摘もあるでしょう。

投資には、正面から物事を見るのではなく、自分の考えていることが果たして正しいのかどうか様々な角度から検討し、またメディアで報道されていることはマユツバではないかと、いったん「すべての物事」を疑ってみる姿勢が必要です。

ただ、物事を常に疑ってみる人が「良き人」かと言われたらどうでしょうか。様々なリスクを洗い出し、その可能性を検証するのは投資家としては優れているかもしれませんが、仮になんでもかんでも疑って考えるタイプの人を自分の友人にしたいかと問われたら、すぐにイエスとは答えられなさそうです。

このように、そもそも物事を疑ってかかるというタイプの人が投資家となり、そうした投資家に接する人が”投資家は嫌な奴”という印象を持つ場合が多くても不思議ではありません。

「市場が嫌な奴を生み出している」説

市場で投資を始めれば、そこにはプロもアマもありません。投資ではより多くの情報をもち、精緻な分析や見通しを持てるほうが勝つ可能性が高くなります。

投資の勝率を追求していく中で、情報のギブ・アンド・テイクをしたがらないという、投資を始める以前にはなかった姿勢が目に付くようになるかもしれません。このように、資本市場で投資家としてもまれていく中で、コミュニケーションがうまく取れなくなることも考えられます。

余談ですが、大手証券会社でトレーダーやヘッジファンド向けサービスを経験した後に、自分の腕を試したいと自分のポジションを張り投資に専念するあまり、自宅に引きこもり、気が滅入ってしまったという人もいます。その人物は、精神的にも厳しさを感じる中で、社会との接点を持とうと起業を決心したというエピソードを話してくれました。

話が少しそれましたが、市場とはうまく距離感を取りながら付き合っていくのが良さそうです。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。投資というのは孤独な作業です。自分で考え抜き、ポジションを張り、時間の経過とともにその判断の正誤を問うことの繰り返しです。

その中で投資家は、市場との対話を重視するあまり周囲とのコミュニケーションがうまく取れなくなることが往々にしてあると、自分自身で気づいているのではないでしょうか。

投資家がいなければリスクを積極的に取る人もいないことになります。ポジティブ、ネガティブ両面で様々な印象を持たれる投資家ですが、経済が成長し、その資金ニーズを埋めていくために投資家という存在は欠かせないものなのです。

投信1編集部

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投信1編集部

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