なぜ部下は上司に報告をしなくなるのか

Aさん(40代・男性)は十数名の部下を抱える中堅サービス業の部長。彼は最近、部下のある行動に悩んでいるといいます。それは「部下が仕事を勝手に進めて報告しないこと」。

「独自の解釈と判断でルールを逸脱することもしばしば。他部署や取引先から直接私に相談がきて初めて知ることも多いのです。それで部下に状況を聞いて止めたり、アドバイスをすると『なんで止めるんですか!』と反発したり、委縮してしまったり。部下の反応も様々ですが、いずれにしても共通するのはさらに報告に来なくなってしまうところです。ますます手間がかかる案件が増えてしまって」(Aさん)。

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Aさん自身、若手の頃から率先して仕事を進めるタイプだったこともあって、部下の自主性は尊重するように心がけているといいます。「進めていた話が途中で変わるとお客さまや関連部署にも迷惑がかかる。要所でズレや間違いが生じないように報告してほしいだけなんですが、何も言わないんです」。上司のこのような思いとは裏腹になぜ部下は報告しなくなるのでしょうか。

できるだけ負担を減らそうとする行動が裏目に?「上司が忙しすぎる」

Aさんのような組織の責任者は、組織が担うあらゆる業務、担当者に目配りしなければなりません。管理職になって現場の第一線から一歩引く人もいますが、状況に応じて出ていかなければなりませんし、中にはプレイングマネージャーとして現場の仕事を持ったまま組織管理を任される人もいます。

会議が多く不在がちなうえ、CCで入ってくるメールが捌き切れない量という上司も。その結果、部下からすれば「そもそも報告しようにもいない」「メールで報告したら見落とされた」というケースが生じます。また忙しさゆえのストレスが言動に出てしまった結果「いつもカリカリしていて話しかけるタイミングに気を遣う」「報告中も返事がぶっきらぼうでこわい」「上の空で全然聞いていない」など理由から足が遠のくということもあります。

トラブルに発展するケースばかりではありませんが「できるだけ上司の負担を減らそうとした結果なのに怒られた」という理不尽を感じる部下もいるようです。

言っても無駄?「上司に反対される」「上司に専門知識がない、不勉強」

「上司に報告しないことがある」という部下の立場の人の話を聞くと、かなりの頻度で「急いでいた」「反対される」「説明が面倒」という言葉が返ってきます。もう少し深掘りすると「自分のやり方しか信じていないので部下の意見には聞く耳を持たない」という“デキすぎた上司”に困っているケースがある一方「上司が無能」「どうせ理解できなのにいちいち説明しても意味がない」と言って憚らない人もいます。

実際に上司の行動に苦労している方も多いのですが、時にして問題があるのは部下、ということもあります。それは「自分の意見を否定されるのがとにかく嫌」というケースです。検討の浅さを指摘されるのが我慢ならないので報告はせず、指摘を受けても「上司の無理解」「上司の能力」を理由にして自分のことは振り返りません。上司に問題があるケースと同様に、この場合は部下に歩み寄る気持ちがないので、溝が深まってしまいます。

なぜいつも怒られるのかわからない。「ちゃんと報告していますけど何か?」

わざと報告していないわけではない、むしろきちんと報告しているつもりなのに上司から報告が足りないと叱られる、という人がいます。病的なほどすべてを知っていないと気が済まない、という上司には苦労しますが、部下の報告の仕方に問題があることもあります。その多くは、経験不足などから小さなサインはあったものの些細なことだと判断してしまい、報告しなかったことで後々トラブルになった、あるいはなりかけた、というパターンです。

ただ「いちいち報告しなくてもいい」「まとめて報告しろ」という上司に対して報告すべきか判断に迷った挙句、手遅れになるということも。日頃から会話していれば…と後悔しても後の祭り。改善点を話し合い次に生かせればいいのですが、お互いへの不信感が募った結果、かえってこじれてしまうというケースもあります。

まとめ

いかがでしたか? 状況によって上司にも、部下にも、もしかすると双方に原因があるということがありそうです。冒頭のAさんは、部下に任せるものは任せつつ、メールはできるだけ丹念に追い、自分から進捗を尋ねるなど、工夫を凝らしているようです。「使えない上司だ、使えない部下だ、と言ってしまえば人のせいにできて簡単だし楽です。でもコミュニケーションを諦めたら組織は終わり」、そう語るAさんの思いは部下に伝わるのでしょうか。

投信1編集部

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