豪州、インド、ドイツへの投資に期待できそうな2017年後半、その理由は?

【資産運用】国際分散投資、2017年下半期に注目の国まとめ

2017年の最大のリスクイベントであった仏大統領選挙を無難に通過し、上半期の株式市場は世界的に堅調となっています。とはいえ、パフォーマンスは国ごとに異なりますので、好調な国へ投資し、調子の芳しくない国への投資を避けることができればより高いパフォーマンスが期待できます。

今回は、今年前半の動きを振り返りつつ、年後半に高いパフォーマンスを期待できそうな注目国をピックアップしてみました。

上半期は新興国のパフォーマンスが先進国を上回る

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2017年の世界全体の成長率は3年ぶりに前年を上回り、成長が加速する見通しです。

経済協力開発機構(OECD)が6月7日に公表した世界経済見通しによると、2017年の世界の成長率は3.5%と前回3月の見通しから0.2%ポイント引き上げられました。また、国際通貨基金(IMF)が4月18日に公表した世界経済見通しでも、世界全体の成長率は3.5%と前回1月の見通しから0.1%ポイント上方修正されています。

良好な世界経済見通しを反映し、株式市場も好調です。47の国・地域の大型株と中型株で構成されているMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(AWCI)の年初来の騰落率は、6月23日現在で+10.7%と年初から大きな押し目もなく堅調に推移しています。

ただ、23の先進国で構成されているMSCIワールド・インデックス(World)の騰落率が+9.9%であるのに対し、24の新興国で構成されているMSCIエマージング・マーケット(Emerging)は+17.3%となるなど、新興国でのパフォーマンスが先進国を大きく上回っています。

リスクの高い新興国への投資が増える、いわゆるリスクオンの流れとなっており、年後半も新興国での高いパフォーマンスが期待できそうです。

新興国ではインドに熱視線、ブラジルに暗雲

新興国のなかではインドに注目です。昨年11月の高額紙幣廃止で現金が不足し、一時的に景気が低迷しましたが、現在は新札の流通に伴って正常化しています。また、3月の地方選挙でモディ首相が率いる与党・インド人民党が圧勝し、経済改革への期待が高まっているほか、物価が下がり消費者の購買意欲も強まっています。

インドの1-3月期のGDP成長率は前年同期比+6.1%に鈍化しましたが、通年では+7%台へ回復する見通しです。また、5月のインド消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.2%と過去最低の水準に低下し、同国の代表的な株価指数であるセンセックス(SENSEX)指数は6月に過去最高値を更新しています。

一方、マイナス成長を3年ぶりに脱出し、薄日が差していたブラジルでは、テメル大統領の汚職疑惑が発覚したことで暗転し、株価が急落しています。ブラジルの代表的な株価指数であるボベスパ(BOVESPA)指数の騰落率は年初来では+1.4%となっていますが、5月の高値からは-11.1%も下落しています。

中国も高い成長を達成していますが、企業の過剰債務問題や住宅価格の高騰から金融を引き締めており、株価は冴えません。上海総合指数の年初来の騰落率は+1.7%とプラスを維持していますが、4月以降では-2.0%とここ数カ月は弱含んでいます。

中国は、この秋の党大会に向けて当面は高成長を維持する見通しですが、景気のかじ取りはますます難しくなっており、長期的な景気減速懸念は払しょくできない模様です。

米国とドイツで明暗が分かれるのはなぜか

リスクオンの流れだからといって必ずしも新興国に投資するべきというわけでははく、より安定感のある先進国からピックアップすることもできます。たとえば、仏大統領選挙を無難に通過したユーロ圏には安心感が広がっており、中でも注目されるのがドイツです。

ドイツは、世界経済の回復と貿易取引の拡大に伴い、競争力のある製造業を中心に輸出が好調で、失業率が過去最低水準に低下する中、株価が過去最高値を更新しています。

失業率の高止まりが続くフランスや金融システムに不安を抱える南欧諸国への配慮から、欧州中央銀行(ECB)が緩和的な金融政策を維持していることもドイツ経済の好調を後押ししています。

ドイツでは9月に総選挙が予定されていますが、今のところ反移民・反EUの機運が高まっておらず、メルケル首相が率いる現政権の継続が見込まれていることも安心感につながっています。

一方、米国でも失業率の低下と株価の最高値更新が続いていますが、ドイツほど先行きは明るくなさそうです。

ロシア疑惑によるトランプ政権の混乱で財政支出の拡大や減税などの公約実施が遅れているほか、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の正常化を進めており、既に昨年12月以降で3回の利上げを実施しているほか、年内にバランスシートの縮小を開始する予定です。

こうした状況を踏まえて、OECDは2017年のドイツのGDP成長率見通しを+2.0%とし、前回3月の見通しから0.2%ポイント引き上げた一方で、米GDP成長率見通しを+2.1%とし、前回3月の見通しから0.3%ポイント引き下げています。

政権への信頼感や金融政策の方向性の違いがドイツと米国の見通しの明暗を分けている模様です。

資源国に追い風、注目はオーストラリア

IMFをはじめとする国際機関の世界経済見通しでは、生産の回復、世界貿易の活発化、資源価格の上昇が見込まれていますので、資源国への大きな追い風が見込まれます。

資源国で有名なのはカナダやオーストラリア、ブラジルといったところですが注目はオーストラリアです。

先に述べた通り、ブラジルでは政局不安が高まっており、先行きは極めて不透明です。また、原油価格が急落していることから原油への依存度が強いカナダにも警戒が必要でしょう。

原油価格は、OPECをはじめとする主要産油国による減産により一時的に回復していましたが、減産でも過剰供給の解消が進まなかったことから反落しています。

OECDによると、カナダのGDP成長率は2018年が+2.3%と2017年の+2.8%から減速が見込まれていますが、オーストラリアは2018年が+2.9%と2017年の+2.5%から加速する見通しとなっています。カナダとオーストラリアでは来年に向けての景気の加速感に大きな違いがあります。

世界貿易の活況と資源価格の上昇で新興国や資源国に妙味

世界経済が順調な拡大を続けており、生産の回復と貿易の拡大、資源価格の上昇が見込まれていますので、年後半は新興国や資源国への投資に妙味がありそうです。

国ごとの事情を考慮すると、資源国ではオーストラリア、新興国ではインドの魅力が高く、先進国ではドイツに安心感が伺えます。

投信1編集部

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