まず、本体価格ですが、それぞれ割引キャンペーンが時折あるものの、正規価格についてはアイコスが9,800円(新製品のiQOS 2.4Plusは1万980円)、グローが8,000円、プルームテックが4,000円と、現時点ではプルームテックが最も安価となっています(すべて税込価格)。

一方、消耗品であるカートリッジ・カプセルについいては、紙巻タバコ1本分で換算すると、プルームテックとアイコスが23円、グローが21円と、グローに軍配が上がります。

なお、電子機器は量産効果によってコストが急速に低下するため、本体の価格差については今後大きく変化する可能性が考えられます。

また、販売政策で変化が起きることも想定されます。携帯電話会社が端末を低採算で販売し通話料で利益を回収するように、タバコ会社も本体は安く売り、消耗品、つまりスティック・カートリッジで回収していくという販売政策の採用が将来はありうるかもしれません。

いずれにせよ、現在の本体価格はまだ高いですが、たばこ業界でもかつて携帯電話市場で見られたように「ゼロ円・電子たばこ」のような激しい販売競争が起きるのか注目されます。

まとめ

いかがでしたか。加熱式たばこの購入を検討されている方のお役に立てれば、また、たばこ株に関心をお持ちの方が業界動向を考える参考になれば幸いです。

ちなみに、2017年6月25日付け日本経済新聞は、たばこ大手3社が手を組み、加熱式の使用は許可することを示すステッカーを共同で製作し、外食店や商業施設に配布すると報じています。

飲食店によって加熱式たばこを吸うことが許可されるところと、そうでないところがあるため、ステッカーを配ることで、愛煙家が気兼ねなく加熱式たばこが吸える環境を作るためです。

競合企業同士がこうした取り組みを行い認知度を上げようとしているのは、裏を返せばそれだけ各社とも喫煙人口の低下(日本では現状では約2,000万人)に対する危機感を強く持っているからにほかなりません。

そうした厳しい環境のなかで、たばこ各社が今後どのような戦い方を示していくかを引き続き注視していきたいと思います。

日本たばこ産業(2914)の過去10年間の株価推移

和泉 美治