夏のボーナスの季節です。これまで頑張ってきたご褒美、金額はともかくとして、ボーナスをもらえるだけでも幸せ!という方も多いのではないでしょうか。一方では、同じサラリーマンとは思えないくらい高い年収を若くして手にする人がいます。たとえば金融機関勤務の方などはその代表格でしょうか。

もし「30歳手前なのにもう年収1,000万円」という独身男性が現れたとしたらどうでしょう。「すごい!彼氏にするならこういう人がいい!」という女性が出てきても不思議ではありません。

今回は「金融機関勤務・30歳手前なのにもう年収1,000万円」という人がどれほど珍しい存在なのか、なぜ彼らがこのような高い年収をもらえるのか、そして彼らはこれからもその水準をキープできるのか、という点について考えてみたいと思います。

年収1,000万円超の人はサラリーマンの4%しかいないという事実

国税庁が2016年9月に発表した平成27年度分の「民間給与実態統計調査」によれば、1年を通じて勤務したサラリーマンの1人当たりの平均給与は420 万円(男性521万円、女性276万円)とされています。

では、サラリーマンの憧れでもある年収1,000万円。この水準以上に稼いでいる人はサラリーマンの中で果たしてどのくらいいるのでしょうか。

なんと、全体の約4%にすぎません。学校の規模感でたとえると、1クラスに50名の同級生がいたとして、その中のわずか2名程度ということになります。思ったよりも少なかったでしょうか、それとも思ったより多いという印象でしょうか。

また、年収1,000万円もらっている人の年齢もバラバラです。この水準に到達するのは50歳前後ということも少なくないはずです。

その一方で、30歳手前、一般的にはまだまだ若手と呼ばれるような年代にも関わらず、年収1,000万円を稼ぐことができる不思議な産業があります。それが金融業界です。

金融機関勤務なら30歳を前にしてもう年収1,000万円!?

金融機関といっても銀行、証券、保険など様々な業態がありますが、一時期はもっとも早く年収1,000万円に到達するのは保険、たとえば生命保険や損害保険だといわれていました。

特に生命保険は契約者が長期にわたって保険料を支払うために、死亡率などを読み間違えなければ収入と支出を読みやすいということがあります。また、生命保険会社では不動産を多く保有する投資家でもあるために、社宅や寮などの福利厚生が手厚いことも多く、そうしたことも生活をより豊かに感じる要因でありました。

実際、これら金融機関に入社して5年も過ぎると、サラリーマンとして特に問題を抱えていなければ平社員から役職がつくなど昇進するわけですが、彼らの年収はこの時点ですでに1,000万円近いといいます。

また、入社したときの年齢や、最終学歴が大学か大学院なのかなどでも平社員から役付きへと昇進するタイミングは異なりますが、30歳を前に残業代なども含めた年収が1,000万円というのも夢ではないようです。

そもそも金融業とはどのような業種なのか

では、若くしてそのような高年収になる金融業とはどのような業種なのでしょうか。まず注目すべきは、金融業はそもそもは「規制業種」だということです。規制業種であれば新規参入は限られることになり、非規制業種と比べればその分競争は緩いことになります。

そのため金融業には外食産業や小売り産業のように競合企業が次々と現れるということは考えられません。したがって、金融業のプレーヤーは競合企業の具体的な戦略をイメージしながら事業を行うことができます。また、マクロの経営環境を大きく読み間違えたり、個別の貸出先、投資先での大きな損失がなければ利益を計上できるモデルといえます。

逆に金融機関で大きな損失を計上し続けるということになれば、信用不安が生じてしまいます。また、もしそんなことになれば、私たちの生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

金融機関を監督する側からすれば、金融機関には利益をしっかり出し、健全な経営をして欲しいという思いが背景になると考えるのは自然ではないでしょうか。

金融業のビジネスモデルも高年収を生み出す背景?