身に覚えのない出会い系サイト利用料などの請求が、携帯電話やスマホにメールで送られてきたことはありませんか? 身に覚えがなければ基本的には請求に応じる必要はないのですが、もし裁判所から書類が届いた場合は要注意。少額訴訟制度を悪用した”ネオ架空請求詐欺”の可能性があります。

身に覚えがなくても、正しく対処しないと支払い義務が生じかねないネオ架空請求詐欺について、その内容と対応方法をご紹介します。

少額訴訟制度を悪用したネオ架空請求詐欺

ネオ架空請求詐欺は、少額訴訟制度などを悪用した架空請求です。架空請求ではあるものの、簡易裁判所の手続きに基づいて請求を行っており、訴えを受けた側も法的な手続きに基づいて対応する必要があります。

少額訴訟制度というのは、「60万円以下の金銭の支払いを求める場合に、簡易裁判所で、原則として、1回の期日で審理を終え、即日判決を言い渡す民事訴訟」であると法務省のウェブサイトで説明されています。

法的な手続きが必要というのは非常に面倒ですが、まさにその面倒な部分が詐欺師の狙い目。面倒だからといって放っておくと、原告(=詐欺師)の訴えが認められて支払いの義務が生じてしまいます。つまり、“裁判所で反論しなかった側が悪い”となり、詐欺師はまんまと架空請求詐欺に成功するのです。

まさか自分が・・・と、ほとんどの方が思われるでしょうが、すでに法務省が「督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください」と注意喚起を行うほどになっています。もしもの時のために、ネオ架空請求詐欺について最低限の知識を持っておいても損はありません。

まずは裁判所に確認を

簡易裁判所から身に覚えのない書類が届いた際は、まずは裁判所にその書類が本物かどうか確認することが最優先です。実は裁判所からの書類に見せかけただけの架空請求の可能性もあります。その場合は無視でも構いません。

ただし、それが本物の場合は迅速な対応が必要です。そのまま放置して、指定された期日に裁判所に出頭せず、かつ事前に請求を争う旨の書面を裁判所に提出しない場合には、相手方の主張を認めたものとみなされます。そのため、まずは2週間以内に裁判所に対して異議申し立てを行う必要があります。

当然ながら裁判で負けることはない

2週間以内に異議を申し立て、少額訴訟のプロセスに入れば、身に覚えのない請求であれば裁判で負けることはありません。判決次第ですが、弁護士費用も原則として相手方の負担になります。

そもそも詐欺師は、相手が少額訴訟をスルーし異議申し立てを行わないことを狙っているため、異議申し立てを行った時点で「勝負あり」となります。もし、ネオ架空請求詐欺に巻き込まれた場合は、面倒でも必ず2週間以内に裁判所に異議申し立てを行ってください。

まとめ

振り込め詐欺(オレオレ詐欺)が話題になって既に十年以上が経過していますが、いまだに被害は後を絶ちません。捜査当局などの努力にも関わらず、その手口は深化を遂げ、今ではネオ架空請求詐欺も発生しています。

ネオ架空請求詐欺は、少額訴訟手続きを悪用した非常に手が込んだ悪質な詐欺です。しかし、2週間以内に異議申し立てを行うことで、ほとんどの被害を防ぐことができます。

繰り返しますが、身に覚えのない請求であっても、もし裁判所から書類が届いたら十分にご注意ください。速やかに裁判所に書類の真偽を確認の上、異議申し立てなどの手続きを行う必要があります。降りかかった火の粉は自分で振り払う必要があるのです。

LIMO編集部