忘れていませんか?「末尾が7の年」のアノマリーには要注意

2017年の後半に株価の大幅下落は起きるのか

2017年上半期の株式市場は堅調に推移

早いもので2017年も半分が過ぎようとしています。世界を見回すと、この半年の間だけでもいろいろなことがあったように思います。欧州を中心に、テロが頻発しています。北朝鮮はミサイル問題を中心にきな臭い話が多くありました。今年発足した米国のトランプ政権は早くも混乱を極めていますし、フランスやイギリスでは選挙の結果を固唾を飲んで見守ったのも今年の話です。

そのような中、株式市場は比較的堅調に推移してきました。TOPIXは2016年末比で6%ほど上昇し、日経平均は20,000円を超えて推移しています。

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西暦の「末尾が7の年」は市場が荒れる年?

ところで、今年は2017年。実は「末尾が7の年は市場が荒れる」と言われています。理論や理屈でうまく説明できる因果関係があるわけでもなく、ジンクスのような話なのですが、過去30年を振り返ると、事実としては確かに1987年、1997年、2007年には経済史に残るような大きな暴落が発生しました。

10年前の2007年は翌年のリーマンショックにつながるサブプライムショック

10年前の2007年に起きたのは、サブプライムショックです。2001年以降の低金利政策により発生した米国の住宅バブルが崩壊したことで発生しました。

2007年を振り返れば、2月に上海株式市場が1日で8.8%下落するという上海ショックがあったものの、短期間で回復したことにより、妙な安心感の中で株価が推移していきました。その裏では、米国の住宅価格の下落が始まり、8月には、フランスのBNPパリバ傘下のファンドの資産凍結に端を発するパリバショック等で徐々に現象として見え始めるようになりました。それでもNYダウは10月に史上最高値をつけていましたが、そこから一気に下落が始まりました。

その後、翌2008年のリーマンショックへとつながっていったのは、ご存じの通りです。

20年前の1997年はアジア通貨危機

20年前の1997年は、アジア通貨危機が起きました。1990年代、当時のアジアの多くは、自国通貨と米ドルの為替レートを固定するドルペッグ制をとっており、安定的なドル安の中で、輸出を増やして経済発展していました。1995年になって米国がドル高政策に転換すると、これまでうまくいっていた構図が変調をきたしました。

その脆弱となったところをヘッジファンドがアジア諸国の通貨の空売りで突いたことにより、アジア各国の経済状況が混乱に陥りました。結局、タイ、インドネシア、韓国はIMF管理に入ることとなりました。

その影響は、翌1998年のロシア通貨危機につながったほか、1998年の日本の金融不安の遠因にもなったと言われています。

30年前の1987年は米国発のブラックマンデー

30年前の1987年は、10月19日に米国発でブラックマンデーが起きました。NYダウが1日で22.6%下落しただけに留まらず、翌日の日経平均株価が14.9%の下落を見せるなど、世界へ波及していきました。

このブラックマンデーは、米国の「双子の赤字」の中で為替政策での各国の協調の乱れが加わり、コンピューターの自動売買プログラムが暴落に拍車をかけたというのが一般的な説です。しかし、実際のところは、明確な原因が特定できていません。

大幅下落は3回とも秋に起きている

これらは、あくまでアノマリー(理論や理屈では説明できない規則的な現象)に過ぎません。アノマリーついでというわけではないですが、末尾が7の年に起きた大幅下落はいずれも秋にかけて起きています。「秋」は英語で”Fall(落ちる)”だからでしょうか。

そこで、過去3回について、前年末から翌年までの月次の株価の推移を見ていきます。

出所:Yahoo!ファイナンス、The Wall Street Journalのデータより筆者作成

このように見ると、3回とも、当年の前半は堅調に株価が推移していました。一方、秋の大幅下落後は、1987年のケースでは翌年には株価が回復した一方、1997年と2007年のケースでは、翌年に更に下落していったことが分かります。何がこの違いを生み出しているのかは諸説あろうかと思いますが、翌年は、上昇する時は大きく上がり、下落する時は大きく下がるという傾向があるように見受けられます。

2017年はどうなるのか?

それでは、2017年後半はどうなるのでしょうか。

過去3回を見ると、6月末のTOPIXに対し、12月末のTOPIXは、1987年は▲15%、1997年は▲24%、2007年は▲17%の下落となりました。もし「末尾が7の年」のジンクスが2017年にも適用されるとなると、年末は現行水準より▲15%~▲20%低い水準にあるということになります。日経平均株価で言えば、16,000円~17,000円辺りというところでしょうか。

2017年の前半の動きは、年明け早々株価が大きく上昇していた1987年パターンというより、多少上がった程度の1997年または2007年のパターンに似た感じで推移してきました。そのまま適用すると、2017年後半だけでなく、2018年も軟調に推移するのではないか、ということになります。

ところが、それだけ株価を下げる要因として何があるのかというと、現在考えられる不安定要素はいろいろあるものの、今のところ、これだという決定打のようなものがありません。だとすれば、1987年の時のように、これと言った明確な理由が特定できないまま大きく下がるパターン、または、今年後半から突如何かしらの不安定要素が浮上するパターンが考えられます(個人的には、原油価格の急変動や、年初は先進国で最も安定的だった日本の安倍政権の揺らぎなどが気になっています)。

そもそも、アノマリーに関する話なので、ジンクス通りにはならないという可能性が最も高そうです。しかし、地震などの自然災害と同様、急に何かが起きても対応できるよう、リスクに対する想像力を広げておくことは、決して無駄にはならないと考えています。

藤野 敬太

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藤野 敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。