7月に入りました。梅雨の終わりは大雨に見舞われやすいのが心配ではありますが、そろそろ夏らしい食べ物も気になる季節です。中でも夏の定番と言えるのが冷やし中華やソーメンですが、コンビニの冷やし中華は毎年おいしくなっているように感じます。

ということで、今回は皆さんの住む地域のコンビニについて、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのどれが多いかを見ていきましょう。

店舗数を指数化してみる

そこで、都道府県ごとにセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートの店舗数の多さを指数化して見てみました。

セブン-イレブンの店舗数をローソンの店舗数で割ったものをS/L指数、セブン-イレブンの店舗数をファミリーマートの店舗数で割ったものをS/F指数と呼ぶことにします。店舗数はセブン-イレブン、ファミリーマートは2017年5月末、ローソンは2017年2月末時点の数値を使用しています。

また、ローソンはナチュラルローソン、ローソンストア100を、ファミリーマートはファミリーマートとサークルK・サンクスを合計した店舗数を使用しています。

ただし、現時点でセブン-イレブンは沖縄県に出店していないので、今回の指数ランキングに沖縄県は含まれない点をご了承ください。

セブン-イレブンがローソンに対して強い地域と弱い地域

S/L指数で見た際に、数値の大きい地域、つまりセブン-イレブンの店舗数がローソンに対して多い県は、第1位が群馬県(S/L指数3.97)、第2位が茨城県(同3.28)、第3位が福島県(同3.25)、第4位が広島県(同2.85)、第5位が新潟県(同2.77)となっています。

いずれの県も店舗数が3から4倍程度なので、これらの地域に住む方は「セブン-イレブンが多いな」という印象を持たれるのではないでしょうか。

その一方で、S/L指数が小さい地域、つまりセブン-イレブンの店舗数がローソンに対して圧倒的に少ない県はどこでしょうか。ただし、先ほど触れたようにセブン-イレブンはまだ沖縄県に出店していないためここでは触れませんが、ローソンのほうは沖縄に210店舗出店しています。

S/L指数が低い場所は、第1位が鳥取県(同0.14)、第2位が青森県(同0.22)、第3位が高知県(0.25)、第4位が島根県(同0.32)、第5位が愛媛県(同0.46)となっています。

こうして見てみると、セブン-イレブンの出店が出遅れているのは本州において人口が少なかったり首都圏から地理的に遠い県、また四国地域となっています。コンビニ事業は商材の物流をいかに確保するか、またその頻度を担保できるかで決まりますので、そのあたりは準備を整えながら順次展開している模様です。

意外なのは関西地方の結果です。ローソンは企業の歴史的な背景もあり、セブン-イレブンに対して関西、特に大阪では圧倒的に強いという印象もありますが、データではそうではありません。

大阪府のS/L指数は1.09、兵庫県では1.03、京都府では0.99と、大阪府や兵庫県でもセブン-イレブンがすでに上回っています。京都府でも2店舗少ない程度です。ローソンは大阪を中心とした関西圏では強いというイメージが覆されるのではないでしょうか。

セブン-イレブンがファミリーマートに対して強い地域と弱い地域

次に、セブン-イレブンがファミリーマートに対して強い地域と弱い地域を見ていきましょう。

S/F指数が大きな地域、つまりセブン-イレブンの店舗数がファミリーマートに対して多いのは、第1位が北海道(S/F指数3.95)、第2位が群馬県(同3.46)、第3位が山口県(同3.17)、第4位が山梨県(同2.41)、第5位が福島県(同2.36)となっています。

一方、S/F指数が小さい地域はどうでしょうか。ここでもセブン-イレブンが沖縄県に出店していないので言及しませんが、ファミリーマートは沖縄県にすでに319店舗出店しています。ちなみにサークルK・サンクスでの出店はないので、全店ファミリーマートです。

先ほどローソンが沖縄県に210店舗出店していることをご紹介しましたが、ファミリーマートの店舗数を考えると沖縄県では「ファミリーマートが多い」と感じるられるのではないでしょうか。

S/F指数が小さい、つまりセブン-イレブンの店舗数がファミリーマートに対して少ないのは、第1位が青森県(同0.21)、第2位が鳥取県(同0.27)、第3位が高知県(同0.30)、第4位が三重県(同0.32)、第5位は愛媛県(同0.38)となっています。

S/F指数が三重県で小さいのは、ファミリーマートに含まれているサークルK・サンクスのサークルKを、愛知県を中心的地盤とするユニーが1980年に事業部として始めたという歴史も関係しているのでしょう。

東京都や大阪府はどうか

東京都はいずれのコンビニグループにとっても最大の出店場所です。セブン-イレブンが2,518店舗、ローソンが1,588店舗、ファミリーマートが2,605店舗となっています。

ファミリーマートとサークルK・サンクスとの統合前はセブン-イレブンが最大のコンビニグループでしたが、現時点ではファミリーマートとサークルK・サンクスとの合算店舗数はセブン-イレブンを上回っています。今後ファミリーマートがどのような展開になるのか注目です。

また、大阪府で一番大きなコンビニグループはファミリーマートです。サークルK・サンクスを除くファミリーマート単独でも1,210店舗とセブン-イレブンの1,146店舗、ローソンの1,048店舗を上回っています。

コンビニが、今後ますます首都圏など大都市圏の消費者の購買行動をベースとしたライフスタイル提案発信の拠点になっていくと考えると、各社の大都市圏での店舗の面の取り方動向には注目していきたいところです。

まとめにかえて

日本国内では、コンビニが私たちの生活に欠かせないインフラのような存在になりつつあります。実際、セブン-イレブンやファミリーマートは全国で2万店舗弱に達するなど、その規模も相当なものです。ただ、そのコンビニという存在が今後も安泰かというと、そうとも言い切れない環境になってきています。

米アマゾンのようなEコマースの普及と物流機能の充実化、また"Amazon GO"のようなレジなし次世代決済システムなども近い将来に現実する可能性が高まってきています。そうしたテクノロジーがもたらす新しいユーザー体験が、次のコンビニの在り方と市場動向を左右するように思われてなりません。

青山 諭志