金融庁は金融機関に顧客本位を求めるより消費者教育を

金融庁が金融事業者に対し、顧客本位の業務運営を指導

金融庁は本年3月、「顧客本位の業務運営に関する原則」を発表し、金融事業者(金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行う全ての金融機関等)が顧客本位の業務運営に当たるべきだ、としています。ポイントは「顧客の最善の利益の追求」です。

一見すると素晴らしい理想を述べているようですが、筆者は「余計なお世話」だと感じています。自動車販売店を所管する監督官庁が同様の指導を行なっているという話は聞いたことが無いからです(笑)。本稿では、投資信託を販売している金融機関と自動車販売店を比較しながら考えていきます。

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もしかすると、問題の本質は、監督官庁の性格にあるのかも知れません。普通の官庁は、所管する業界が健全に発展していくことを目指すものですが、金融庁の前身が金融監督庁であり、金融庁の官僚は金融業界の発展より金融業界の抑圧に力点があるのかもしれません。自身は「処分庁から育成庁に転換する」と言っているようですが、悪い冗談にしか聞こえません(笑)。

顧客本位をうたう事業者は本当に顧客本位か?

顧客本位をうたう事業者は多いですが、本当に顧客の利益を自己の利益より優先している事業者は皆無でしょう。ボランティア活動を行なっている慈善団体は別として、普通の会社がそんなことをしたら、倒産してしまうからです。

「お客様のために値下げしました」という広告は、「ライバルから顧客を奪って我が社の利益を増やすために値下げしました」という意味なのですが、イメージ戦略として顧客本位を前面に打ち出しているだけです。

自動車販売店が「お客様にピッタリの最新式モデルが発売になりました。買い替えられてはいかがでしょう?」というのは、「貴方がいつまでも古い車に乗っていると、我が社の売上が増えないから、そろそろ新車を買ってください」という意味です。

投信の販売手数料は高すぎるか?

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塚崎 公義


1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ
(近著)
増補改訂 よくわかる日本経済入門
なんだ、そうなのか! 経済入門
世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書
老後破産しないためのお金の教科書
経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体
(雑誌寄稿等)
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