海外展開に意欲的な将来ビジョン

トリドールホールディングス(3397)は、現在「丸亀製麺」をメインに2017年3月末現在で国内877店、海外334店を展開しています(持ち分法適用会社、FC含む)。

同社は、2025年に全世界で6,000店、売上収益5,000億円を目指すとする「将来ビジョン」を掲げています。このビジョンでは2017年3月期に対して売上収益を約5倍に、すなわち+4,000億円増やすことになりますが、その内訳は主に海外事業で約2,900億円、国内新事業は約800億円が想定されています。

この将来ビジョンを実現するためのポイントは2つあります。第1は、成長投資の原資を生むべき国内の丸亀製麺事業が安定しているか、第2は海外事業の投資と投資回収をうまくハンドルできるかです。

おおむね安定している丸亀製麺事業

2017年3月期の丸亀製麺事業(国内)は、売上収益が対前期比+4%増収の856億円、セグメント利益が同+6%増益の137億円、セグメント利益率は同+0.3ポイント改善して16%となりました。

店舗数は純増+3店にとどまり期末で778店舗でしたが、積極的な商品施策で既存店売上高がほぼプラス基調にあり、さらに水道光熱費率の削減によって原価上昇と人件費率上昇をカバーしています。

このセグメント利益は全社費用控除前の数値ですが、売上規模、収益率ともに国内事業者のなかでは十分な競争力を持つことを示していると思われます。近年はほぼ毎年100億円を超える利益を出すなど、利益水準は安定しています。

2018年3月期の会社計画は新規出店が20店、既存店売上高は対前期比で横ばい、売上収益が同+1%増の864億円、セグメント利益が同+4%増の142億円とされています。

人件費の上昇圧力は続くと思われますが、業績の安定基調は継続しそうです。同社の成長投資の原資を産む事業として、丸亀製麺が安定的に高収益を出す基調にあることは評価できるポイントと言えるでしょう。

今後の注目点は海外事業の利益貢献の時期