【直前レビュー】4-6月期米企業決算は10%程度の増益へ、注目のセクターは?

景気敏感からデフェンシブにシフトか

Michael Gordon / Shutterstock.com

今週から4-6月期の米企業決算の発表が本格化します。今回は、好調が続く米企業業績のポイントを整理し、注目されるセクターをピックアップしてみました。

4-6月期の米企業決算は10%程度の増益へ

米調査会社ファクトセットによると、S&P500構成銘柄の4-6月期の利益は7月7日現在で前年同期比+6.5%と予想されています。全11業種のうち9セクターで増益となる見通しです。

通常、事前予想は低めに見積もられており、過去5年を平均して見ると実際の業績は予想よりも3%程度高くなる傾向にあります。たとえば、1-3月期は9%の予想に対し実績は14%となっています。したがって、最終的には10%程度の増益が見込まれます。

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セクター別の増益率ではエネルギーが+387.5%と他を圧倒しており、情報技術が+10.5%で続いています。平均を上回るのはこの2業種のみですが、エネルギーを除くと平均は+3.7%にとどまり、この平均であれば金融(+6.0%)や素材(+5.0%)も平均以上の伸びとなっています。

一方、公益(-0.1%)と一般消費財(-2.2%)が減益となる見通しです。

1年後の株価目標は9.9%上昇、年初来の騰落率はヘルスケアがトップ

業績見通しによる1年後のS&P500の目標株価は2,648となり、9.9%の上昇が期待されています。

目標値と現在値の差をセクター別に見ると、エネルギー(+21.3%)、一般消費財(+13.6%)、情報技術(+13.1%)が上位3セクター、金融(+5.0%)、公益(+5.0%)、ヘルスケア(+6.4%)が下位3セクターとなっています。

実際の株価の動きを見ると、S&P500の年初来の騰落率は6月30日現在で+8.2%となっています。セクター別では1位がヘルスケアの+17.2%で、情報技術(+16.7%)、一般消費財(+11.1%)、素材(+9.2%)、資本財(+8.7%)が続いています。ヘルスケアを除くと景気敏感セクターが上位に顔を並べています。

一方、エネルギーが-14.1%と唯一の下落となっています。

景気敏感セクターからデフェンシブセクターへとシフトか

セクターローテーションを考えた場合、業績見通しからはエネルギー、情報技術、金融が有望ということになりそうですが、これらのセクターはそれぞれに懸念を抱えています。

まず、原油価格が低迷しており、低迷は長期化する恐れがありますので現時点でのエネルギーへの投資は避けたいところです。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに動く中、インフレ率が低下していることから長短金利差が縮小しており、その影響で金融セクターの株価は伸び悩んでいます。

さらに、米金融正常化の影響でドル高が懸念されており、海外比率の高い情報技術の利益を圧迫する恐れがあります。

このほか、自動車販売の低迷が続いていることから一般消費財への投資にも慎重さが求められそうです。

米国経済は個人消費を中心に成長が鈍化している中で、金融政策が正常化に向かっており、低成長・低インフレの状況が長引くリスクへの警戒感が強まりそうです。

したがって、景気動向を見据えたセクターローテーションを考えるであれば、当面はデフェンシブセクターである、ヘルスケア、公益、生活必需品といったセクターが注目されることになるかもしれません。

デフェンシブセクターの中でも比較的業績の伸びが高いヘルスケアは引き続き魅力的なセクターとなりそうです。

株価のバリュエーションは割高、調整局面を警戒へ

S&P500の予想PER(株価収益率)は17.3倍と、5年平均(15.3倍)や10年平均(14.0倍)を上回っており、割高感への警戒が強まっています。

イエレンFRB議長は6月27日、伝統的なバリュエーションに従うと株価は“幾分高い”と発言しており、PERが過去に比べてやや高いことを気にしている様子がうかがえます。

また、同じ日にサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も「投資家はリスクに対し無頓着になっている」と指摘し、株式市場に調整が起こる可能性があると述べています。

FRBは金融政策の正常化を着々と進めていますが、株価が高値圏にあるうちは安心して正常化を続ける可能性がありそうです。

このほか、ゴールドマン・サックスは6月28日、年末のS&P500を2,400と予想し、これまでの2,300から引き上げました。ただし、この水準は6月27日時点と比べて1%ほど低く、見通しはかなり慎重となっています。

ゴールドマンはインフレ率と金利の上昇が株価を圧迫するとしており、米10年債利回りは年末までに2.75%まで上昇すると予想してます。6月末と比べると0.5ポイントほど高い水準となります。

長期債利回りが実際に上昇するのであれば、金融セクターが最も恩恵を受けることになります。

今週末の14日にJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティ・グループ、来週の18日にバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスといった主要金融機関の発表が並び、前半のハイライトとなっています。金利の上昇による業績改善への期待が高まる中、その内容に注目が集まっています。

投信1編集部

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