日本の基幹産業でもあり、雇用を支える自動車産業。その縁の下の力持ちである自動車部品や関連企業の直近の決算資料などをもとに、企業ごとの年収を比較しました。

平均年齢40.7歳で平均年収は651万円

今回ピックアップした日本の自動車部品およびタイヤメーカーは21社。具体的にはデンソー、アイシン精機、豊田自動織機、タカタ、ケーヒン、エクセディ、小糸製作所、トヨタ紡織、NOK、豊田合成、東海理化、日産車体、ユニプレス、エフ・シー・シー、日信工業、太平洋工業、ショーワ、ブリヂストン、東洋ゴム、横浜ゴム、カルソニックカンセイです。

21社の単純平均による平均年齢は40.7歳で、平均年収は651万円となっています。また、各社の従業員数で加重平均した平均年齢は40.9歳で、平均年収は721万円です。加重平均での平均年収が高めに出ているのは、従業員数が多く平均年収が高いデンソー、豊田自動織機などの寄与によるものです。

デンソーと豊田自動織機が全体の平均年収をけん引

下図は、投信1編集部データ分析室が決算資料をもとに作成した各社の平均年齢と平均年収の分布です。ちなみに、カルソニックカンセイのデータに関しては2016年3月期を、またタイヤメーカーについては2016年12月期の決算データを使用し、それ以外については2017年3月期の決算データ(いずれも単体)を使用しています。

まず注目すべきは、平均年収が最も高いデンソーです。デンソーの平均年齢は43.4歳で平均年収が828万円となっています。デンソーは独ボッシュと並ぶ世界的な自動車部品メーカーですが、平均年収・平均年齢ともに高くなっています。

同社は今後、自動車の電装化の進展や自動運転などの新しい技術革新を追っていかなければならない環境に置かれています。従業員の得意領域のバランスのとり方や、新たに取り組みが必要な領域における人材採用により、平均年齢がどのように推移するのかにも注目です。

続いて豊田自動織機ですが、平均年収が791万円とデンソーには及ばないものの、平均年齢は39.4歳とデンソーより4歳近く低くなっています。ちなみに、豊田自動織機は豊田佐吉の発明をもとに設立された会社であることはよく知られていますが、現在では自動車事業だけではなく、フォークリフトなどの産業車両にも力を入れています。

一方、カルソニックカンセイは平均年齢が高いわりに平均年収は高くありません。同社は米ファンド傘下のCKホールディングスによるTOBの後、2017年5月には上場廃止となりました。ファンド傘下となったことで、今後は大型M&Aが繰り広げられている自動車部品メーカーの再編劇にどう関わっていくかなどに注目です。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。自動車部品業界も、自動車の電動化や自動運転といった技術による産業構造の変化は避けられない状況です。

電気自動車にはエンジンもありませんし、自動運転が普及してくれば、従来の機械系中心の技術者ではなく、コンピュータサイエンス系などの技術者がよりいっそう必要となってくるでしょう。

そうなれば、事業規模を維持するために業界再編が進むこともあるでしょう。また、先端技術の取り込みにより優秀な技術者の取り合いになれば平均年齢が若返り、平均年収が上がるかもしれません。これまで以上に目が離せない業界となりそうです。

LIMO編集部