シャープが復活した3つの理由

気になる市場コンセンサスとのギャップ

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シャープは10月にも東証1部へ復帰見込み

2017年6月30日、シャープ(6753)は東京証券取引所(以下、東証)に市場1部への復帰申請を行ったと発表しました。

既に同社は債務超過状態から脱却しており、東証も上場廃止の猶予期間入り銘柄から同社を解除しているため、申請が認められるのは確実視されています。一般的に上場承認の審査には3カ月程度を要するので、正式な復帰は今年10月頃となる見込みです。

なぜ復活できたのか

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復活の定義は様々ですが、2016年8月に東証2部市場へ指定替えになってからわずか1年弱で1部への返り咲きが視野に入ってきたことから、シャープが復活途上にあると評価することは可能でしょう。これから2部銘柄となる東芝(6502)とは対照的です。

では、存亡の危機にあった同社が、なぜこれだけの短期間で復活できたのでしょうか。その理由を一言で表せば、「ホンハイ傘下となることで経営が大きく変化したこと」となりますが、なかでも重要なのは以下の3点と考えられます。

第1は、ホンハイからの出資を受けることで抜本的な事業構造改革を行うことができたという点です。

ちなみに、2016年8月に行われた出資の総額は3,888億円であり、内訳は普通株式による第3者割当増資が2,888億円(発行価格は1株88円、発行新株式数は32.8億株)、種類株によるものが約1,000億円でした。

「8」という数字が目につきますが、ここには中国圏における「8」という数字への強い思い入れがあるとされています。中国語の8には「発展」などの意味もあり、非常に縁起が良い数字だとされているためです。

余談ですが、昨年8月の出資時に1株88円だったシャープの普通株は、直近(7月20日)の終値では390円と約4.4倍まで大幅上昇した水準にあります。結果論にはなりますが、ホンハイの「8」への強いこだわりも復活の一因なのかもしれません。

第2は、「One Sharp」として再建を目指す将来の方向性を明確に示し、それを実行したことです。これにより、ホンハイはシャープを「解体」(切り売り)するのではないかという従業員やサプライヤー、地域社会などの不安を取り除くことができています。

第3は、「アメとムチ」を上手に使い分け、信賞必罰を徹底することで従業員の士気向上が実現されていることです。ホンハイ傘下となって新たに取り入れられた人事制度では、年齢、性別、国籍に関係なく、成果を上げた人にしっかりと報いる信賞必罰の仕組みが取り入れられています。

また、優秀な若手人材の活躍を後押しする仕組みへの改革や年齢構成の是正も図られています。こうした取り組みにより、リストラ続きで疲弊していた従業員の士気が向上しているのです。

株式市場は復活に対してなお疑心暗鬼

このように、シャープ復活の背景にはホンハイによって用意周到に練り上げられた再建プランの実行があることが理解できます。

とはいえ、少し気になるのは、シャープに対する株式市場の見方が依然として慎重であることです。

まず、株価についてですが、直近の株価は1年前に比べて約4倍に上昇した水準にはあるものの、今年4月の高値である498円からは約2割強下回った水準にあります。また、最近の3カ月間では、400円前後で上下するボックス相場が続いています。

5月には2018年3月期の会社予想や中期経営計画が発表されていますが、そうした材料にも株価はほとんど反応しない状態となっています。

また、直近の市場コンセンサス(IFISによる証券アナリスト業績予想の平均)は、2018年3月期の営業利益では883億円と会社予想の900億円を下回っており、目標株価についても市場平均は222円と、直近の株価に対して約4割強も下方に乖離しています。

さらに、投資判断についても「強気」「やや強気」はゼロ、「中立」が2人、「やや弱気」が1人、「弱気」が8人となっており、アナリストによる評価は概ね弱気となっています。

第1四半期決算に注目したい

証券アナリストの評価が高まらない理由としては、今後アップルが有機ELパネルを積極的に採用していくなかでシャープの液晶事業の将来性がよく見えない、「人に寄り添うIoT 」の具体的な姿がイメージしにくい、などの理由が考えられます。

また、今年度や中期経営計画における会社側の業績予想の営業利益が開示されていないことも一因ではないかと推察されます。

このため、今後四半期決算を重ねるなかで業績回復のイメージがより確かなものとなれば、市場コンセンサスの切り上がりも起こりうると考えられます。証券アナリストに対しては少し失礼なのかもしれませんが、彼等の見方が実績の「後追い」となることはままあるためです(もちろん、その逆もあります!)。

いずれにせよ、復活が確かなものであるかを検証するために、まずは7月28日に発表予定の第1四半期決算に注目したいと思います。

シャープの過去1年間の株価推移

投信1編集部

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