LINEの株価が上場時から▲21%下げて冴えないワケ

スマートスピーカーで株価はついに目覚めるか?

LINE株、冴えない推移

LINE(3938)の株価が冴えません。

振り返ってみると同株が東京証券取引所に上場したのは1年前の2016年7月15日、この時の公募価格は3,300円でした。2017年7月21日の東証終値は3,880円ですので、現在の株価は公募価格割れにはなっていません。

しかし、この上場は市場に好感され、上場初値は4,900円をつけました。上場後もしばらく熱気が続き2016年9月28日には最高値の5,230円まで上昇しています。これに対して直近の株価は、初値からは▲21%、最高値から▲26%もの下落となり、上場当初の熱気はすっかり削がれてしまいました。

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ちなみに、上場後の最安値は2017年2月22日につけた3,490円です。公募価格は割れませんでしたが、足元の株価は最安値から+11%高い水準にとどまっています。

黒字基調の業績推移

同社の業績を見ると決して不振とは言えません。

2017年12月期第1四半期(1-3月期)決算で売上収益は対前年同期比+16%増となり、しっかり伸びています。利益面を見ると、営業利益は同▲25%減、親会社の所有者に帰属する四半期純利益(以下純利益)は黒字転換しています。

金額で言えば営業利益は40億円、純利益は14億円となっており、一定の黒字を確保しています。直近の5四半期はいずれも営業利益が出ていますので、安定的な収益力があると言えるでしょう。

株式市場は足元の利益動向に目を向けてしまう

では、なぜ株価の推移が今一つなのでしょうか。その一因は株式市場の成長期待が高いことにあると見られます。

たとえば、一時的収益を含めた過去4四半期の当期純利益の合計は83億円となりますが、同社の時価総額はおよそ8,600億円です。つまり、時価総額は過去12か月の純利益の100倍を超えて評価されていることになりますが、これは株式市場のLINEへの期待の高さにほかなりません。

期待の高い株ほど、利益の変動には敏感です。たとえば先ほど示した第1四半期の決算では、パフォーマンス型のLINE広告の成長によって営業収益が2桁で伸びています。しかし、認証その他のサービス費用やマーケティング費用などさまざまな経費が嵩み、営業減益になってしまいました。

人件費も嵩高ですし、LINEモバイルのプロモーション費用の増加も致し方ないでしょうが、一部の投資家はそうした費用投下の効果を待つ余裕がないのかもしれません。

スマートスピーカー発売で株価は見直される!?

LINEは事業意欲が旺盛で、まだまだ費用がかかりそうです。従来のメッセンジャーサービスの周辺事業に加えて、決済、ショッピング、デリバリーなどの事業を推進するうえ、さらにクラウドAIプラットフォームである「Clova」に対する投資がますます増えると予想されています。

このClova事業の第一弾の製品が、7月14日に先行体験版の予約が開始された(予約は現在終了)スマートスピーカー「Wave」です。税込1万円の価格に設定され、音声認識機能とLINE MUSICを重ねたサービスを開始しています。なお、正式版は本年秋に1万5千円(税込)で発売の予定です。

まずはスマートスピーカーから始まる同社のClova事業ですが、今後はモバイルアプリ、ホームIoTデバイス、ロボット・トイなど、さまざまなデバイスに搭載され連携されていくことが予定されています。

ソニーモバイルコミュニケーションズ、ヤマハ、トヨタ自動車、ファミリーマート・伊藤忠商事などが提携先として開示されており、今後も続々とパートナーが増えることでしょう。パートナーが増えることは好ましいことですが、その分開発負担が減るとは限りません。

当面費用がかかることが予見されているため、よほど売上収益の加速的増加がなければ利益も株価推移も冴えない展開になると考えるのが自然に思えます。

しかし、仮にWaveがLINEの次のステージの収益ポテンシャルを垣間見せてくれるのであれば、そうした費用に対する株式市場の認識が従来よりポジティブなものに変わっていっても不思議ありません。Waveに対するユーザーの反応に高い関心が払われそうです。

投信1編集部

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