各地で猛暑日が相次ぐなど、厳しい暑さとなっています。夏は食欲が減退しがちですが、しっかり食べて夏バテを防ぎたいと思うこともありますよね。そんなとき、牛丼は手軽にかつ手頃な価格でおなか一杯になるありがたい食べ物です。今回は牛丼チェーン店の現状について考えます。

牛丼ビッグ3の店舗は全国で約4,000店舗

皆さんのお気に入りの牛丼チェーン店はどこでしょうか。ここでは、店舗数の多い吉野家、松屋、すき家を「牛丼ビッグ3」として、その3社を中心に見ていきたいと思います。

松屋ファンの中には「松屋は牛丼ではなく牛めしだ」というご指摘もあろうかと思いますが、ここでは牛めしも牛丼として定義します。また、すき家はゼンショー傘下の牛丼チェーン店ということはご留意ください。

余談ですが、牛丼カテゴリーにも含まれる「なか卯」もゼンショーグループです。ただし、今回はビッグ3にフォーカスして話を進めていきます。

さて、店舗数の最も多い牛丼チェーン店をご存じでしょうか。昔から牛丼に慣れ親しんでいる方は、「もちろん吉野家だろう」と思われるかもしれません。

実際は、2017年6月時点ですき家が1,958店舗、吉野家(国内)が1,198店舗、松屋が943店舗となっています。ビッグ3合計で4,000店舗近くありますが、そのうち約半分がすき家というわけです。

牛丼ビッグ3の営業利益率は一桁台前半

牛丼ビッグ3で約4,000店舗もある牛丼チェーン店ですが、ゼンショーのような牛丼カテゴリーを持つ外食チェーンも含めて、その収益性を見てみましょう。

下図は、会社資料をもとに各社の営業利益率を見たものです。

各社とも、営業利益が一桁台前半の水準です。営業利益率ベースで見ると、低採算で私たちが大好きな牛丼を提供してくれているということがわかります。

営業利益率は株式市場や投資家が最も気にする指標ですが、営業利益率がどの水準であれば十分なのかといった議論は産業ごとに異なりますし、景気によっても異なります。ただ、一桁台前半の水準は決して高いとは言えません。一般的に、多くの企業では営業利益率5%を目指すとされます。

一方、外食チェーン店は店舗を拡大する際に人材が必要です。若い人手のひっ迫感、インフレ対比(特に単価)での人件費増加、円安による輸入牛肉等のコストアップなど、様々な問題が目の前に山積みです。

客足の動向

そんな消費者の味方とも言える牛丼チェーン店の、過去5年の客足の動向も振り返っておきましょう。

過去5年間といえば、アベノミクスが「脱デフレ」に注力したはずです。下図は、私たちにとって最も身近な食べ物の一つである牛丼チェーン店の対前月の既存店客数が、その時期にどう推移してきたかを見たものです。

ここから分かるように、足元では吉野家だけではなく、松屋もすき家も100を割っています。もともと吉野家は、既存店客数動向の振れ幅が松屋やすき家と比べて大きいのが特徴ですが、比較的振れ幅の小さい松屋の既存店の客数も100を割ってきているのが気になるところです。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。私たちがいつも手軽においしく食べることができる牛丼チェーンですが、その収益性は消費者の満足度が高いことの裏返しと言えるのではないでしょうか。消費者としては、今後の人手不足や原材料アップなどで牛丼の価格が上昇しないことを願うばかりです。

青山 諭志