いよいよ夏休みが始まりました。といっても実際に夏休みなのは学生だけでしょうか。社会人は以前と比べれば夏休みに限らず計画的に休暇をとることができるようになったとはいえ、夏休みはまとめてお盆に、という方も多いことでしょう。さて、今回は社会に出て20年程度たつビジネスマンが我が身を振り返り、大学生の夏休みにやっておくべきだったと考えていることをご紹介します。

その1:インターンシップではなくアルバイトをする

アルバイトは自分の労働時間を金銭という対価に変えることができるだけではありません。興味のあることに挑戦できたり、職種によっては将来就職を希望する職業や企業で働くことも可能です。実際に大学時代のアルバイト先に就職したという人は少なからず存在します。

面接時に面接官から聞く表面的な話よりも、自分が働いて体験したことの方がより手触り感があって物事を判断する材料となることは多くの人が認めることでしょう。また、アルバイト先の社員から就活での面接のポイントなどを教えてもらうことができて対策に役立ったという人もいますし、アルバイト時代の人間関係が入社後に役立ったという話も聞くことがあります。

最近ではインターシップ制度も充実してきている傾向にありますが、インターンシップはある意味企業によって設計された内容であることも多いはずです。まずは自分で積極的に就業機会を手にするというのも一つではないでしょうか。自分が就職を希望する企業がブラックかどうかを判断する際にも、アルバイトの方がより実際に近いといえるでしょう。

その2:人との「リアル」のつながりを拡げてみる

日頃は学業やアルバイトなどで忙しく、部活動やサークル活動をしていても意外に新たな人とのつながりができない、広がっていかないと感じている大学生も多いかもしれません。

夏休みは授業があるときと比べてアルバイトの時間は増えるかもしれませんが、基本的には学校は休みになり、自由な時間が増えるはずです。その時間を利用して、日頃はなかなかできないことに挑戦してみるのも一つです。

日頃できないことというと、海外旅行や資格試験の勉強、運転免許の取得などを思い浮かべがちですが、必ずしもそれだけではありません。「人とのつながり」を広げることもその一つです。たとえば普段はなかなか会えない親戚を訪れる、しばらく連絡していなかった友達と遊んでみるといったことから始めてみるというのもきっかけとしてはハードルが低いのではないでしょうか。

ストレスが溜まることも多い日常ですが、普段会えない人と会えたり話ができたりすると意外に忘れられるものです。

その3:脱スマホで難解/長編の読書に挑戦をする

インターネットが普及し、スマートフォンでいつでもどこでも検索できる環境となりましたが、思ったようにいかないのが、ひとつの物事に集中して何かを学習したり、やり遂げるということではないでしょうか。

スマートフォンが便利であることは間違いありません。20年前、パソコンもさほど普及していなかった時代からは隔世の感もありますが、今や卒業論文をスマートフォンを使って執筆する学生もいるようです。ただ、長時間にわたってじっくり考えることは、スクリーンサイズの問題やLEDバックライトによる目の疲れなどで難しいと考える人もいるはずです。

夏休みには一度思い切って脱・スマホを図り、各自の専攻に応じて教授が薦めるリーディング・リストの中からこれぞという本を読んでおきたいところです。卒業論文の参考文献に挙げることができるという実務的な理由だけではなく、大学生の間に専門分野で自信を持つことはその後の社会人において大きな糧になることもあるでしょう。

その4:断層等のテーマで日本をより知ってみる

大学生の夏休みの時間の使い方として海外旅行は定番だと思いますが、日本をより深く知っておいても損はないでしょう。海外での経験を散々積んで「世界中いろいろな国を訪れたけれど、結局は日本が一番安全で、物価も安く、住みやすい国だと分かった」とコメントする人もいます。

もちろん感じ方は人それぞれですので住みやすさを一概には言えませんが、そもそも自分自身がすむ国についてどの程度知っているといえるでしょうか。実際に、留学先、旅行先、あるいは海外赴任先で現地で出会った人に日本について聞かれ「そこではじめて何も説明できない、知らないことに気づいた」という人もいます。

たとえばテレビ番組で紹介された文化遺産や歴史的建造物を訪ね、その背景を調べてみるというのも面白いかもしれません。NHKの「ブラタモリ」などを見ていると、地形や地理が現在の私たちの生活と切っても切り離せないことがよくわかります。「ブラタモリ」の裏テーマともいうべき断層巡りなどもいいですね。

その5:思い切り恋愛をしてみる

これもNHKの番組ですが、先日放送された「AIに聞いてみた どうすんのよ!? ニッポン」で、「40代ひとり暮らし」が話題となりました。これはとどのつまり40代で独身だということです。

都心で働いていると、周囲には意外なくらい40代の独身ビジネスマン/ビジネスウーマンが存在します。独身生活を謳歌している人も多い一方で「気づけばこの歳になってしまった」「ときめきという感情を思い出せない」という人も相当数いるものです。その背景にはいろいろある(あった)とは思いますが、社会人になると思った以上に恋愛・結婚を取り巻く環境が厳しくなることも関係するかもしれません。まず、そもそも時間がありません。仕事を覚えなければなりませんし、毎年毎年成長することを期待されるので走り続けなければなりません。その結果、交友関係が狭くなることもあるでしょう。

また、職場の異性に気軽に接して「○○ハラスメント」と指摘されるリスクを考えると、職場では仕事だけの必要最小限の関係を維持するのがベストと考える人が出てきても不思議ではありません。

何より、社会人になると相手のバックグラウンドや金銭的状況、社会的地位など、大学生時代では織り込めなかった要因が織り込めるようになり、年齢を重ねれば重ねるほど判断材料が増えたことによる迷いが生じがちです。ですが何事も意思決定をする際の材料は少ないほうがしやすいに決まっています。よくも悪くも勢いで突っ走ることができる、それも若さの特権というものでしょう。あれこれ悩む間にチャンスを逃してしまうより、思い切り恋愛を楽しむ、大学時代はそういう良いタイミングと言えるのではないでしょうか。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。今回の5つのポイントのすべては共感できないという人もいるかと思います。ただ、学生にとって夏休みは自由度が高く、自分の設計次第では満足いくもの、またそうでないもの、いかようにでもなるというのは社会人の方は感じていることでしょう。大学生のみなさんは、これぞというものから始めてみてはいかがでしょうか。

LIMO編集部