【エアコン大ヒット】アイリスオーヤマは日本の家電を復活させるのか?

「なるほど家電®」ヒットの背景を探る

写真はイメージです

ルームエアコンが品薄になるほど大ヒット

2017年6月5日、仙台に本社を置く生活用品メーカーのアイリスオーヤマは、「『ルームエアコン』(各種)品薄状態についてのお詫び」と題するニュースリリースを発表しました。

その後、品薄状態が解消されたという発表はないものの、ビックカメラ.COM等の通販サイトを確認すると、「在庫あり」と表示された製品が多く見られます。よって、一時期に比べると品薄問題は解消に向かったと推察されます。

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とはいえ、大手メーカーがひしめく家電市場において、一時的とはいえ、なぜ品薄となるほど人気が高まったのでしょうか。また、そもそもアイリスオーヤマとはどのような会社なのか、気になるところです。

なお、同社は非上場企業であるため公表されている財務関連データは限られています。ただし、会社紹介のホームページは充実しており、パブリシティも積極的に行っていますので、それらの情報を読み解きながら上記の疑問を解いていこうと思います。

家電への本格参入は2010年のLED照明から

まず、アイリスオーヤマの歴史を簡単に見てみましょう。

同社の前身は1958年創業の「大山ブロー工業所」といい、プラスチック製シャンプー容器などを製造する東大阪の町工場でした。

この会社は、現在の代表取締役社長である大山健太郎氏(以下、大山社長)の父親が創業した会社ですが、父親の逝去に伴い、1964年、大山社長が19歳の時に大学進学を断念し後を継いでいます。

その後、大山社長は「町工場のオヤジで一生を終えたくない」という信念で自社開発品に取り組み、1980年代にはプラスチック製プランターなどのガーデニング用品やクリア収納ケースのヒットなどにより生活用品を中心に事業を拡大していきます。

家電への参入は2010年のLED照明がきっかけです。競合他社に比べて低価格であったことや、2011年3月に起きた東日本大震災による省エネブームの追い風を受け大ヒットとなりました。

また、2013年には大阪R&Dセンターを開設。アジア企業との競争激化で業績が大幅に悪化した関西の家電メーカーから人材を多数受け入れ、家電事業急拡大への足掛かりとしています。

会社側によると、2016年12月期のLEDも含めた家電事業の売り上げは約485億円と全社売り上げの約40%となり、2010年12月期の100億円から約5倍に急拡大しています。

収納ケースのライバルである天馬との違い

同社の急成長ぶりは、プラスチック製収納ケースのライバルである東証1部上場の天馬(7958)との比較からも読み取れます。

両社ともに戦後にプラスチック加工メーカーとして成長し、1980年代には収納ケースという消費者向け(以下、B2C)市場で大ヒットを経験していますが、直近の売上高を比較すると、アイリスオーヤマ(2016年12月期)が単体で1,220億円、グループ売上高が3,460億円であるのに対して、天馬(2017年3月期)の連結売上高は758億円と大きな開きが見られます。

また、用途別の売上構成比も大きく異なります。アイリスオーヤマの売上のほとんどはB2Cであるのに対して、天馬のほうは収納ケースなどのB2C製品は24%に留まり、大半はOA機器や自動車のプラスチック部品の受託製造、ビール瓶の収納ケースといった企業向け(以下、B2B)製品が占めています。

B2C特化が良いのか、あるいはB2CとB2Bの両方を手掛けるのが良いのかは、事業の安定性の観点から議論が分かれるところかもしれません。ただ、いずれにしてもアイリスオーヤマ急成長の背景にはB2C市場へのこだわりがあり、そこでの成功が大きく寄与していると見ることができそうです。

アイリスオーヤマの成功の秘密は?

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。