パナソニックが決算で語らなかった「気になる変化」とは?

AI、IoT時代に向けて外部人材を積極登用するのはなぜか

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堅調だった第1四半期決算

2017年7月31日にパナソニック(6752)が発表した2018年3月期第1四半期決算は、売上高が対前年同期比+5%増、営業利益が同+17%増、親会社の所有者に帰属する四半期純利益が同+67%増でした。

高採算のアビオニクス事業(航空機用ビデオエンターテインメントシステム)の不振や原材料費の高騰というマイナス影響を、車載事業(バッテリーやカメラ、センサー、自動車用AV機器など)の好調などで打ち消し、増収・増益を確保しています。

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セグメント別では、「アプライアンス」(エアコン、テレビなど)、「エコソリューション」(照明機器、住設機器など)、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ」(車載エレクトロニクス、二次電池、半導体、電子部品など)の3セグメントが増収・増益となった一方で、「コネクテッドソリューション」(アビオニクス、プロセスオートメーション、モバイルソリューションなど)だけが減収・減益となっていました。

第1四半期決算では通期会社予想は据え置かれましたが、上述のようにセグメント別の業績は「3勝1敗」という結果でしたので、まずまずの堅調な出だしであったという評価が可能ではないかと思います。

最高益が見えてきたソニーに比べると・・・

堅調とはいえ、2018年3月期の会社予想は、ソニー(6758)との対比ではやや迫力不足です。というのは、パナソニックの今年度通期の営業利益予想が3,350億円と、ソニーの5,000億円の7割弱にとどまるためです。

また、ソニーの場合、5,000億円という営業利益を計上するのは1998年3月期以来20年ぶりで、「過去最高益更新も射程圏」という話題性がありますが、パナソニックの決算予想にはそうした”ドラマ”がないことも、迫力に欠ける一因です。

ちなみに、パナソニックの場合、会計基準を2017年3月期より米国基準(SEC)から国際財務報告基準(IFRS)に変更しているため単純比較はできませんが、SEC基準では1984年11月期の5,757億円が過去最高の営業利益となっており、これと比べると今年度予想は当時の6割弱の水準にとどまることになります。

2019年3月期には4,500億円を目指す

もちろん、パナソニックは現在の利益水準に満足しているわけではなく、さらに高い目標を掲げています。今年5月に開催された経営方針説明会では、2019年3月期に営業利益4,500億円を目指す方針を示しています。

また、この目標を達成するために、事業区分を高成長事業(車載二次電池、次世代コックピット、ADAS、エアコンなど)、安定成長事業(白物家電、アビオニクス、配線器具など)、収益改善事業(半導体、液晶パネル、ソーラーなど)の3つにわけて、メリハリのある経営を行う方針を掲げています。

なお、第1四半期の決算説明会では、「第2四半期以降はアビオニクス事業の減収・減益幅が縮小し、さらに下半期以降には、車載事業の利益貢献が本格化する見通しである」というコメントがありました。

このことから、アビオニクスの収益悪化は一時的で、今後は「安定事業」へと回帰していくこと、また車載事業は「高成長事業」として収益拡大に本格的に貢献していく可能性を読み取ることができます。

このため、来年度の営業利益4,500億円という目標値についても、射程圏内にあると判断できるのではないかと思います。

今後の注目点

現在パナソニックは、短期的な利益水準の引き上げへの取り組みだけではなく、長期的に持続的な成長が可能な企業に変わるための様々な取り組みを行っています。

その一例が、企業カルチャーの変革や新たなビジネスモデルの創出を目的とした外部人材の積極的な登用です。

具体的には、元証券アナリストの片山栄一氏(エコソリューションズ社 副社長 エイジフリー担当、ライフソリューション担当、パナソニック サイクルテック社長)、元SAP日本法人のバイスプレジデント・チーフイノベーションオフィサーであった馬場渉氏(パナソニックノースアメリカ 副社長、ビジネスイノベーション本部 副本部長)、元日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏(コネクテッドソリューション社社長)などです。

こうした取り組みが、82年の長い歴史を持つ従業員数26万人の超大企業にどれだけのインパクトを与えるのか、現時点ではまだ正確に予測することはできません。ただ、硬直化した組織やカルチャーを変革し、AIやIoTを活用した新規ビジネスを早期に立ち上げるためには、こうした柔軟な取り組みは避けては通れないのではないかと考えられます。

今回の決算では、こうした取り組みについてまでは語られませんでしたが、決算数値にはまだ表れていない、IoT時代を見据えた変化にも引き続き注目していきたいと思います。

パナソニックの過去10年間の株価推移

投信1編集部

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