雇用統計の結果は好調、円安傾向ながら日経平均の先行きは不透明

2017年8月4日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日より76円93銭安の19,952円33銭となりました。週末の終値は7月14日以来3週続落で、2週連続で2万円台を割り込みました。

ただし、7月14日の終値は20,118円だったので、今週末との差は166円と非常に小幅です。特に、先週末の終値と比べると、変動幅はわずか7円ほどで、ほとんど動いていません。まさに膠着状態が続いています。

一見、夏枯れ相場のような動きですが、3日の東証1部の売買代金は概算で2兆2439億円と、活況の目安とされる2兆円を連日で上回っています。好調な業績を手掛かりとした個別銘柄の物色は続いているものの、2万円台に乗せると売りに回る投資家も少なくないようです。

来週の動きはどうなるでしょうか。米国市場は好調が持続しています。4日に発表された7月の米雇用統計では、雇用者数が前月比20万9000人増と市場予想(18万人増)を上回りました。また、平均時給の上昇率も拡大しました。

この結果を受け、4日の米市場では10年物国債利回りが上昇し、ダウ工業株30種平均は66ドル高の22,092ドルと8日連続で過去最高値を更新しました。ダウは2日に、節目となる22,000ドル台に乗せています。

雇用統計の結果を受けて、4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は反落し、前日比65銭円安・ドル高の1ドル=110円65~75銭で取引を終えました。一時は111円05銭と7月28日以来の円安水準となりました。

日本株も来週、これらの動きを好感した動きになることが期待されます。ただし、来週は週末が「山の日」で3連休となることから、夏休みに入る投資家も増えそうです。

3日には安倍政権の内閣改造で閣僚の顔ぶれが固まったものの、経済効果が期待できるような手掛かりは少ないと受け止められました。逆に、支持率の低下が続けば、先行きのリスクになりかねません。

海外の市場と比較し、出遅れ感のある日経平均ですが、急に追いつくよりはむしろ、当面は2万円付近の膠着が続くと考えて戦略を立てる必要がありそうです。

狭い値幅の中での横ばい状態が続いている

今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。相変わらず、2万円をはさんでもみ合う、横ばい状態が続いています。

足元では、7月20日の高値(20,157円)と7月24日の安値(19,901円)の間の狭い範囲でのレンジとなっており、さらに、上値が切り下がり、下値が切り上がるといったように、徐々に値幅が小さくなっています。

4日にはローソク足の実体が25日移動平均線を下回りました。5日移動平均線も25日移動平均線とのデッドクロスになっています。

三角持ち合いを抜けてからの戦略がポイント

今後の動きはどうなるでしょうか。現状は三角持ち合いの形になっています。6月20日からの下降トレンドライン、6月15日と7月7日の安値を結ぶ上昇トレンドラインに挟まれ、さらに、先週、今週と値幅が狭くなり、その三角形の先端に近づいています。

値幅も小さいことから、このレンジの間で利益を得るのは難しそうです。本格的な出動は、上方向か下方向に抜けた後のほうが無難でしょう。

ただし、もみ合いが長いことから、抜けた後も急に値が動くよりも、その一回り外側の、6月20日の20,318円、7月7日の19,856円あたりも意識されそうです。

20,318円を超えると、目立った節は2015年6月24日の高値(20,952円)ぐらいしかなく、さらに、21,000円以上では、1996年6月26日の高値(22,750円)ぐらいしかありません。視界がかなり広がっています。

逆に下方向では、75日移動平均線が近づいており、ちょうど6月15日の安値(19,755円)あたりで重なりそうです。このあたりを割れると、三角持ち合いを下抜けしたという判断になります。

下原 一晃