あなたの会社の交際費、増えていますか?

増加傾向の交際費だが、接待の内容には変化も

企業の交際費が4年連続増加。背景の一つは税制改正

国税庁は2017年3月30日、平成27年度(2015年度)分の「会社標本調査」の結果を発表しました。この調査は、国内の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、あわせて、租税収入の見積り、税制改正、税務行政の運営などの基礎資料とすることを目的として、1951年から毎年実施されています。

調査結果を見ると、2015年度の交際費などの支出額は3兆4,838億円となっています。前年度比で2,333億円増(7.2%増)で、2012年度以来4年連続増加しています。

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これには、どのような背景があるのでしょうか。一つは景気が回復傾向にあることでしょう。国内総生産(GDP)はプラス成長が続いています。有効求人倍率も高水準です。2017年3月期決算でも好業績の企業が増えています。

もう一つのきっかけとなっているのが、2013~14年度の税制改正です。2013年度の税制改正において、資本金1億円以下の中小企業については年800万円までの交際費を損金として認める改正を行いました。14年度の税制改正ではそれ以外の大企業を対象に、交際費の50%までが損金として認められるようになりました。

取引先との会食、お中元やお歳暮などの贈答品が交際費

ところで、「交際費」とはどのような費用なのでしょうか。

国税庁によれば、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(接待等)のために支出する費用」としています。

たとえば取引先との会食、お中元やお歳暮などの贈答品、さらに取引先を招待してのゴルフコンペなどです。

一方で、従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのための費用は交際費ではありません。また、取引先との会食などでも、1人あたりの金額が5,000円以下である費用は交際費から除かれます。

このほか、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなどの物品を贈与するための費用も交際費からは除きます。また、会議の際のお茶や弁当の代金も交際費には入れません。

大企業では交際費は費用として認められていなかった

2013~14年度の税制改正の大きな特徴は、交際費の損金算入額を拡大したことです。「損金」とは、税法上の費用のことです。

会計では、企業の利益は
利益=収益-費用 で求められます。

一方、法人税法では
所得=益金-損金 となっています。

同じように見えるかもしれませんが、異なります。たとえば、「今期は利益が大きいので、役員報酬を大きくして法人税を減らそう」ということはできません。税法上、過大な役員給与は損金として認められていないからです(定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与などを除く)。

そうでないと、利益が出た企業はどんどん役員に給与を出し法人税を逃れることになります。

損金として損金に算入できないことを「損金不算入」と言います。役員給与と同様に、交際費についても損金への算入には制限があります。

かつては、資本金1億円以上の大企業では、交際費は1円も損金として認められていませんでした。資本金1億円以下の中小企業では、上限年600万円のうち90%が損金として認められていました。

前述したように、2013年度の税制改正において、資本金1億円以下の中小企業については年800万円までの交際費を損金として認める改正を行いました。13年度の税制改正ではそれ以外の大企業を対象に、交際費の50%までが損金として認められるようになりました。

これらを受けて企業の中には、接待などの機会を増やしているところもあるようです。調査によれば、特に中小企業で交際費が増えているようです。

一方で「1次会だけで、2次会まで行くことは少ない」「夜ではなく昼の会食が増えた」という声もあります。競争の激化などにともない、接待などの数は増えているものの、その中身については変化もあるようです。

下原 一晃

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下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。