北朝鮮情勢の緊迫化で一時2か月半ぶりの安値に

東京市場は今週、11日が山の日の祝日で休場となり、立ち会いは4日間でした。2017年8月10日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より8円97銭安の19,729円74銭となりました。北朝鮮情勢を巡る警戒感とともに、3連休を控えた持ち高調整の売りも出ました。

前週末4日に発表された7月の米雇用統計が堅調だったことを受けて、週初の7日の日経平均は3営業ぶりに反発し、終値は20,055円と、2万円台を回復しました。しかし、8日には、北朝鮮が小型核弾頭の開発に成功したとされる報道があったほか、米領グアム周辺へのミサイル発射を検討しているといったことも伝わりました。

これを受けて、8日の米市場でダウ工業株30種平均は11営業日ぶりに反落しました。9日の日経平均は、一時335円下落し、2か月半ぶりの安値となりました。

懸念されるのは円相場です。北朝鮮情勢の緊迫化で、投資家にはリスク回避の動きが広がり、円が買われました。11日のニューヨーク外国為替市場では一時、1ドル=108円70銭近辺と、4月中旬以来の円高・ドル安水準となりました。引けにかけては持ち高調整も出て、1ドル=109円15~25銭で取引を終えています。

11日の米株式相場は4営業日ぶりに反発しました。ただし、前日に200ドル以上下げていることから、利益確定の買いや押し目買いが出たと考えられます。

来週以降の動きはどうなるでしょうか。引き続き北朝鮮リスクが重荷になりそうです。一方で、ただちに米朝が衝突する状況ではないという声もあり、週末には、いったんは警戒感が後退しています。

日経平均については、企業の決算発表を受け、好業績銘柄を物色する動きもあります。地政学的なリスクには警戒すべきですが、高値圏で膠着状態が続いている中での一時的な調整と見ることもできます。来週以降反転するようであれば積極的に付いていきたいところです。

狭い範囲でのレンジを下抜け、75日移動平均線も割り込む

今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。この2か月あまり、2万円をはさんでもみ合う、横ばい状態が続いていました。

7月上旬からは、上値が切り下がり、下値が切り上がる三角持ち合いの形で、徐々に値幅が小さくなっていました。しかし、9日には窓を空けてその下限を下抜け、ローソク足の実体が大きな陰線になりました。注目すべきは75日移動平均線も割り込んだことです。

19,600円を下値にした反発も。75日移動平均線の回復に注目

今後の動きはどうなるでしょうか。三角持ち合いを下抜けたことに加え、当面の下値めどであった7月7日の安値(19,856円)、6月15日の安値(19,755円)よりも下がってしまいました。セオリーとしては、足元は下目線になります。

ただし、9日、10日のローソク足はいずれも下ヒゲが長くなっています。また、10日のローソク足の実体は、9日のローソク足の実体に包み込まれるはらみ線になっています。また、9日の安値が7月7日の安値を割り込んだことで、6月20日の高値(20,318円)と7月27日の高値(20,176円)を結ぶ下降トレンドラインが形成されましたが、現状の価格はほぼそのチャネルの下限に達しています。

こういったことから、これからチャネルの上限に向けて買い戻しが起こることも考えられます。その後、さらに下降トレンドラインが強いようであれば、チャネルの上限からの戻り売りの動きになります。

来週初はまず、今週の下値である19,600円前後でサポートされるか、また、75日移動平均線を回復できるかどうかに注目したいところです。

下原 一晃