テレビより”生”の情報が聞ける学食は、財布にやさしいだけじゃない

今どきの学生と、素顔の海外、そしてわが学生時代のノスタルジー

500円のランチセットで学生時代の記憶に浸る

学生食堂には、外部の人でも利用できるところが多くあります。

メインの利用者である学生に合わせた営業なので、8月は休みのところもありますが、旧盆の週が明けたあたりからオープンしているところもあります。

冬休み、春休みも同じように、一般の飲食店に比べて長めの休みをとるところもありますが、学生の休暇期間を丸々休業する学食は少ないようです。

販売スタイルは券売機、個々に注文の2タイプが多く、ほとんどはセルフサービスです。学生で混み合う昼 12時ごろを外せば、店の人に気を使うこともないので、長居しても平気なところが多くあります。

続きを読む

午後1時ごろになると、会社員や高齢者などが目立つようになる学食もよくあります。少ないのは子どもですが、まったく見かけないわけではありません。

学食を利用して何より嬉しいのは、財布にやさしいことです。多くは唐揚げ、ハンバーグ、焼き魚などが日替わりで用意され、ライス、スープ類、サラダが付いたランチセットでも最多価格帯は400~500円ほど。うどん、ラーメン、カレーなど単品なら300円くらいからあり、リーズナブルなのが何といっても最大の魅力です。

暗い、汚い、落書きだらけは、遠い過去。現在は、オシャレなインテリアの清潔な空間にイメージチェンジしています。中には一部だけ改装しているものの、かつてのままのスペースを残す学食もあります。探せば、完全に昔のままの学食もあるかもしれません。

勝手を言わせてもらえば、自分が通っていたころのままのほうがありがたい。いろんなことがあったアノ時代を思い出すノスタルジーのひとときは格別なものです。

留学生の会話から、素顔の海外が見えてくる

社会に出ると学生たちと触れあう機会は滅多にありません。気がつけば、わからない言葉が増え、世代格差に驚くことがあります。

学食には、様々な若者言葉が飛び交うことも多いので、意味はわからなくてもとりあえず耳には残ります。なんとなくではあっても、時代の変化に身を置いているだけでも気分はいいものです。

意味のわからない言葉といえば、留学生も同じです。ひと目で外国人とわかる留学生もいれば、言葉を聞いて初めてわかる留学生もいます。カタコトではあっても日本語を話していることが多く、箸を使って食事をしている光景も多く見かけます。日本人学生が、ご飯ものですらスプーンで食べている姿が増えたのと対照的です。

不器用に箸を使う留学生を見ていると、藩や政府の期待を担って遠い異国へ留学した明治維新の若者と重ね合わせてしまいます。何でも吸収してやろうという意欲に漲っているのだろうなと勝手に想像し、その背中にまぶしさを感じないわけでもありません。

興味深いのは、留学生同士の会話です。

最近、注目が集まっているアノ国やコノ国が、日本以外の国の学生たちからどう見られているか垣間見えるようです。テレビや新聞などでは日本から見た外国ですが、日本以外の国から見た外国に接すると、報道されていることに「なるほどな」と頷けることもあれば、「全然ちがうジャン」と懐疑的になることもあります。

学食には、素顔の海外が広がっていると言っても過言ではないのかもしれません。

日本人学生の関心は、正社員からブラック企業回避へ

日本人学生の興味は、やはり就職のようです。リクルートスーツを着た学生を囲んで、訪問した会社の情報をやりとりする光景をしばしば見かけます。

その就職への関心も、最近は少し変化が見られます。少し前なら、「どこでもいいから正社員に」という発言が多かったのですが、最近は「ブラック企業ではないかどうか」ということに関心が移っているようです。

ブラック企業を避け、少しでもいい条件を目指しているせいでしょうか、資格取得への意欲は相変わらず高いようです。資格試験の話題もよく飛び交っています。

1~2年生くらいの男子学生5人のグループです。専門学校のパンフレットを手に額を集めて何やらしきりに話しています。どうやら、独学での資格取得を断念しようとしているようです。

「『初心者でもわかる』って書いてある参考書を買ったけど、少し読んで諦めた。やっぱり専門学校に行くしかないかもな」

「参考書って結局、ある程度の知識がある人向けなんだろうな。『初心者』って書いてあっても、俺らみたいな本当の初心者にはさっぱり理解できない」

筆者の学生時代にも、同じ経験があります。不安になったり、戸惑ったりした記憶がよみがえり、急に、学生たちが微笑ましい存在に思えてきたり……。

インテリアはオシャレになっても、学食にはノスタルジーがいっぱいです。

間宮 書子

PR

國學院大學法学部卒業。法律系出版社、弁護士事務所勤務を経て、現職に。
ビジネス法務を中心に、ビジネス全般、旅やエンタメなど広く取材・執筆に従事。
現在は埋もれていても100年後に大化け、通説となるようなネタを求めて活動中。