投資の有無で広がる「退職準備格差」〜サラリーマンへのアンケート結果から

投資をしている人と投資をしていない人に格差

前回の『格差拡大は退職資金にも~準備額0円層が増えている年代は?』では、退職後の生活のための資金がどれくらい用意できているかをアンケートで聞いた退職準備額がこの6年間で平均としては増えているものの、格差が広がっていることを紹介しました。

そのなかで、退職準備額1000万円以上の層は年代に関係なく増加している点を指摘しましたが、その一因が資産運用にあります。それをアンケート調査の結果から具体的に見てみましょう。

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2010年から実施しているサラリーマン1万人アンケートでは、投資をしているか否かを聞く設問がありますので、この設問とクロス分析を行って、投資をしている人の退職準備額と投資をしていない人の退職準備額を比較しています。

結果は明らかで、投資をしている人の方が退職準備額は多くなっていることがわかります。投資をしている人の退職準備額が1300万円に対して投資をしていない人が500万円くらいです。

投資をしている人と投資をしていない人の退職準備額の推移(単位:万円)

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート(2010年、2013年、2015年、2016年)と勤労者3万人アンケート(2014年)

ただ、単純に投資をしているから退職準備額が多いと断言できないのは、年収の多い人ほど退職準備の金額も多くなっている可能性が高いからです。

そこで、退職準備の金額を年収の何倍かという倍率でも比較してみました。それでも結果は、投資をしている人は年収の2倍強の退職準備額になっており、これに対して投資をしていない人は年収の1倍強の水準にとどまっています。

退職準備を手厚くするためには、投資をすることも検討しなければならないと思います。

投資をしている人と投資をしていない人の退職準備額の年収倍率の推移(単位:倍)

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート(2010年、2013年、2015年、2016年)と勤労者3万人アンケート(2014年)

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フィデリティ退職・投資教育研究所 所長 野尻 哲史

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野尻 哲史
  • 野尻 哲史
  • フィデリティ退職・投資教育研究所
  • 所長

国内外の証券会社調査部を経て、2007年より現職。アンケート調査をもとに個人投資家の資産運用に関するアドバイスや、投資教育に関する行動経済学の観点からの意見を多く発表している。
日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。
著書には、『老後難民 50代夫婦の生き残り術』、『日本人の4割が老後準備資金0円』(講談社+α新書)や『貯蓄ゼロから始める安心投資で安定生活』(明治書院)などがある。
調査分析などは専用のHP、資産運用NAVIを参照