トップは奈良県、最下位は山梨県〜金融リテラシーの格差はなぜ起きる?

堅実な奈良県、金融トラブルに遭いやすい山梨県

正誤問題のトップは奈良県、最下位は山梨県

「金融リテラシー」という言葉を聞く機会が増えています。政府・金融庁では、お金にかかわる、金融や経済に関する知識や判断力のことを「金融リテラシー」と呼ぶとともに「最低限身に付けるべき生活スキル」であるとしています。

興味深い調査も行われています。2016年に金融広報中央委員会が行った「金融リテラシー調査」です。同調査は2016年2~3月に18~79歳の25,000人を対象に、インターネットによるアンケート調査を実施したものです。

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調査では、金融広報中央委員会が作成した「金融リテラシーマップ」の8分野と言われる、「家計管理」、「生活設計」、「金融取引の基本」、「金融・経済の基礎」、「保険」、「ローン・クレジット」、「資産形成」、「外部の知見活用」について、正誤問題と「行動特性・考え方等」に関する問題とが組み合わされています。

正誤問題の正答率が都道府県別の順位で発表されたのも大きな特色です。その結果を見ると、金融リテラシートップは奈良県でした。逆に、ワースト(最下位)は山梨県でした。

「緊急時」や「将来」への備えで大きな差

トップの奈良県と最下位の山梨県の格差を生んでいるのはどのような理由でしょうか。調査の項目を細かく見ていくと、その傾向もうかがえます。

たとえば、「家計管理」について、「緊急時に備えた資金を確保している人の割合」が、全国平均では54.9%なのに対して、山梨県は51.8%(-3.1%)、奈良県は60.9%(+6.0%)となっています(カッコ内は全国平均との比較、以下同)。

山梨県の人は、将来への備えについても全国平均より数値が低くなっています。「生活設計」について尋ねたところ、「お金について長期計画を立て、達成するよう努力している人の割合」は、山梨県42.1%(-5.3%)、奈良県48.9%(+1.5%)となっています。

また「老後の生活費について資金計画をたてている人の割合」は、山梨県は36.3%(+0.7%)と、全国平均と差がありませんが、奈良県は42.8%(+7.2%)と、全国平均よりもかなり高くなっていることは注目に値します。奈良県の人は早くから老後に備える、堅実な人が多いと言えそうです。

損したくないのに、金融リテラシーが低いせいでトラブルに?

調査では面白い質問も行っています。「10万円を投資すると、半々の確率で2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれかが発生するとします。あなたなら、どうしますか」という問いです。

簡単な計算で、期待収益率が+5%であることがわかります。このような好リターンの金融商品は実際にはなかなかありませんが、調査では78.6%の人が「投資しない」と答えています。日本人の損失回避傾向が強いことがわかります。

さらに、山梨県の人の回答は「投資しない」が全国平均よりも4.3%も高い82.9%となっています。その理由として、山梨県では「元本割れのリスクがある金融商品には投資しない」と答える人も多いようです。

一方で、調査では、振り込め詐欺などの「金融トラブル経験者の割合」も尋ねており、山梨県が全国トップとなっています。

山梨県の人は元本割れのリスクを恐れているにもかかわらず、「資金運用を行う際に他の商品と比較した人の割合」が全国平均よりも11.7%も低い51.4%、また「商品性を理解せずに投資信託を購入した人の割合」が全国平均よりも14.9%も高い47.1%となっています。

それに対して奈良県では、「商品性を理解せずに外貨預金等を購入した人の割合」が9.6%と1ケタという驚きの数字で、全国平均よりも16.0%も低くなっています。

山梨県の人は、「損をしたくないのに、しっかり検討しないで金融トラブルに遭ってしまう」と表現できます。

金融リテラシーを高めていくためには、金融教育も必要です。「『学校で金融教育を行うべき』と思っている人の割合」は山梨県55.5%(-6.9%)、奈良県68.1%(+5.7%)となっています。投資促進のみならず、家計管理や生活設計という観点でも、金融教育が重要だと言えそうです。

下原 一晃

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下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。