FXのロット(Lot)がわかれば、攻めにも守りにも強くなれる

FXにはLot(ロット)と呼ばれる売買単位があります。FXに限らず、資金に対してどれだけのロットを投資するかがとても重要です。これをポジション管理と言うこともあります。以下で、そのポイントを解説します。

目次
1 売買の最小単位はFX会社によって異なる
2 資金のうち、どれだけの割合のポジションを持つべきか
3 負けが続いてもロット数を減らさなくてすむことが大切
4 ギャン理論の「10分の1ルール」をFXで応用すると
5 FXにおけるエントリーや決済におけるロット数の考え方
6 「ピラミッティング」は長い歴史を誇る伝統的な手法
7 相場が難しい局面ではロット数を小さく、トレンドに乗ればロット数を大きく
8 FXでマーチンゲール法などの増額投資法は通用するか
9 ナンピン買いも大きなリスクがある
10 ロット数を減らしても、リターンが大きくなるとは限らない
11 まとめ

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1 売買の最小単位はFX会社によって異なる

Lot(ロット)は英語で「組」などの意味があります。FXでロットという言葉が使われるようになったのは最近ですが、製造業や流通業などでは古くから「○個単位で製造する」「○個単位で売る」といった最小単位のことをロットと呼んでいます。「多品種小ロット生産」などという言葉を聞いたことがあるかもしれません。

FXでのロットとは売買の最小単位のことを示します。1万通貨単位で取引するFX会社では、1ロットは1万通貨です。最近では、1,000通貨単位で取引ができるFX会社が増えています。これらのFX会社では1,000通貨が1ロットです。FX会社の中には、1通貨単位からの取引ができるところもあります。その場合は1通貨が1ロットになります。ただし、ロットは売買の最小単位のことなので、1通貨単位で取引が可能なFX会社では、あまり「ロット」という呼び方をしません。

FX会社によっては、「枚(まい)」という単位を使うところもあります。かつて、FX会社の多くは売買の最小単位が1万通貨でした。このため、これらの会社では1枚と言えば1万通貨のことでした。

しかし、最近では1,000通貨単位で取引ができるFX会社も増えています。このため、FX会社の中には1,000通貨単位を1枚と呼ぶところもあります。一方で、これまでどおり、1万通貨を1枚と呼び、1,000通貨単位は0.1枚と呼ぶところもあります。このように、同じように「ロット」や「枚」と呼んでも、FX会社によって単位が異なるので注意が必要です。

ちなみに、「枚」はもともと、商品先物取引で使われる取引単位です。1枚あたりの重量や容量などは商品ごとに定められています。商品先物取引では現在も「枚」単位で取引を行うのが一般的です。

2 資金のうち、どれだけの割合のポジションを持つべきか

FXに限らず株式でも商品先物でも使える資金のうち、どれだけの割合のポジションを持つべきか、大いに悩むところです。

「いつでも資金の範囲で最大限のポジションを持つ」という方法もあります。FXは証拠金取引なので、預け入れた証拠金にレバレッジをきかせて投資することができます。たとえば、1ドル=100円、レバレッジ25倍の場合、4万円の証拠金を預け入れるだけで、1万ドルの取引ができます(スプレッドなどのコストを除く:以下同)。

1,000通貨単位で取引ができるFX会社(1ロット=1,000通貨)であれば、4,000円で1,000ドルの取引ができます。つまり、4万円で10ロットの取引ができることになります。「いつでも資金の範囲で最大限のポジションを持つ」場合、取引で利益が出て、資金(証拠金)が44,000円になったら、11ロットの売買を行います。逆に取引で損失が出て、資金が38,000円になったら、9ロットに減らします(9ロットしか投資できません)。

「いつでも資金の範囲で最大限のポジションを持つ」ことのメリットは、勝っているときには、複利の効果を生かして資金を大きく増やすことができることです。1日のうちに何度もエントリーと決済を行うような投資スタイルであれば、そのたびにポジションをどんどん増やしていくことができます。

一方で、いつでも最大限のポジションを持つスタイルの場合、負けが続くと一気に資金を失う可能性があります。さらに注意すべきは、ポジションを減らした状態ではそれ以前に負けたpipsを取り戻しても、金額としての損失をすべて取り戻すことはできないことです。

3 負けが続いてもロット数を減らさなくてすむことが大切

最初のトレードで30pips負け、次のトレードで30pips取り戻しても、最初が1万通貨、次が5,000通貨といったように、後者のポジションが前者の半分なら、投資した「お金」は半分しか取り戻せません。

ここからわかるのは、当然ながら、いくらpipsを取っても取ったときのポジションが大きくないと、お金としての儲けは少ないことです。つまり、トレードごとに取れるpipsに差がないなら、少なくとも勝つときのポジション(ロット数)は負けるときのポジションと同等か、それ以上でないと資金は増えません。

その点では、「せっかくのチャンスなのに、資金が少なくて大きなロットを投資できない」ということは避けたいものです。ある程度の負けが続いても、ロット数を減らさないですむことが大切です。そのためには、資金に余裕を持たせてポジションを持つようなルールを作っておくといいでしょう。

4 ギャン理論の「10分の1ルール」をFXで応用すると

ある程度の負けが続いても、ロット数を減らさないためには、預け入れた証拠金の何割程度のポジションを持つことが有効なのでしょうか。FXのトレーダーの中には「ポジションは資金の10分の1以下に抑えている」と話す人がいます(正確には、損切りしたときの損失を資金の10分の1以下に抑えている、という意味です)。

株式のトレーダーの中にも、この「10分の1ルール」を推奨する人もいます。「10分の1」の根拠はどこにあるのでしょうか。きっかけの一つに、「ギャンの価値ある28のルール」があると思われます。

ウィリアム D. ギャンは1878年、米国テキサス州に生まれ、24歳で商品先物の取引を始めました。テクニカル分析の始祖とも呼ばれ、独自の分析手法を用いて株式相場や商品先物相場で大成功し財をなしました。

ギャンは厳格なルールを作り、それを守り続けたことでも知られます。「ギャンの価値ある28のルール」です。その第1条で、ギャンはまず、ポジション管理に触れています。

第1条 資金管理と損失限度
資金配分を厳密にすること。売買に用いる総資金を10等分し、1回の売買における損失限度は総資金の10分の1にすること。

(ギャンの価値ある28のルールより)

この「総資金の10分の1」の記述から、「10分の1ルール」を利用する人が増えたのではないかとも言われます。

FXに10分の1ルールを応用するにはどうすればいいでしょうか。前述したように、証拠金の10分の1だけを使うという意味ではありません。また株式とFXでは値動きが異なります。

たとえば、株券は一夜にして価値がゼロになることもあります。そこまででなくても、短い期間で半値になったりすることもあります。一方で、為替では、それほどの値動きはめったに起こりません。米ドルがよく動いても1日に1円程度(1%未満)です。

そこで、ストップ注文(逆指値注文)を50銭(50pips)として検討してみましょう。1ドル=100円で、1万通貨で取引をした場合、50銭の損失は5,000円になります。5,000円が10分の1だとすると、必要な証拠金はその10倍の5万円となります。

ここでのポイントは、前述したように資金の総額が減ったためにロットを減らすことになると、利益を取り戻すのが難しくなることです。そこで一つの考え方として、「10回連続で損失になっても、ロットが減らないような」投資をするというのはどうでしょうか。

たとえば、ストップ注文が50銭の場合、10回連続で負けると、損失額は500銭(500pips)で約5万円となります(1万通貨の取引の場合)。それだけの損失になってもロットを減らさないためには、それとは別に、1万通貨の取引ができる証拠金を確保しておけばいいわけです。1ドル=100円でレバレッジが25倍だと、必要な証拠金は4万円です。それに5万円を加えた9万円の証拠金を預け入れれば、50pipsの損失が10回連続しても、ロットを減らさなくてすみます。

ただし、「どこまで耐えられればいいか」は、資金の総量、心理的な負担感などによっても異なりますので。自分なりの幅を決めるといいでしょう。

5 FXにおけるエントリーや決済におけるロット数の考え方

エントリーや決済についても、ロット数の観点からいろいろな方法があります。大きく分けると「分割」でエントリー・決済するか、「一括」でエントリー・決済するかという違いです。

一括でエントリー、一括で決済

エントリーから決済まで、ポジションの数を変えない方法です。この手法の特長は、今現在の黒字(または赤字)のpipsにロット数を掛ければ、お金としての収益(損益)が計算できるので、わかりやすいことです。ただし、エントリーや決済のタイミングを間違うと、エントリー早々に損失になったり、「往って来い」で利益を得るチャンスを失ったりすることもあります。

FXに限らず、投資では「頭と尻尾はくれてやれ」という格言があります。大きなトレンドに乗ることが大切というわけです。ただし、どこが頭で、どこが尻尾なのかを判断するのは難しいところです。そこで、トレード中のロット数を変えることで、これらに対応しようとする手法があります。

分割でエントリー

最初からすべてのロット数を投資せず、分割して徐々にロット数を増やしていく方法です。買いポジションのロット数を増やすことを「買い増し」、売りポジションのロット数を増やすことを「売り増し」と言います。

分割エントリーには、同じロット数で増やしていく方法や、最初に大きく投資し、徐々にロット数を下げていく方法があります。前者の方法で2万通貨を投資する場合、5分割し、1回に4,000通貨ずつ、5回に分けて投資します。

後者の方法は、たとえば、最初のエントリー時に5,000通貨、次に4,000通貨、さらに3,000、2,000、1,000通貨と、ポジションを建てていきます。この場合、最終的に2万通貨を投資することになります。ロット数が徐々に減っていくことから、「ピラミッティング」と呼ばれます。

逆に、ロット数を徐々に増やしていく方法もあります。「逆ピラミッティング」と言います(ピラミッティングについては後ほど詳しく紹介します)。

分割で決済

分割決済とは、保有しているポジションを文字どおり分割して決済していく方法です。FXでは「結局値段が戻ってしまった。あそこで決済していれば儲かっていたのに」ということがよくあります。そこで、価格がある一定の目標に達したら、保有しているポジションの半分(や3分の1など)を決済し、利益を確定してしまいます。残りの半分は「上がればラッキー、伸びないなら追加で決済」とします。

FXでは「あそこで決済していれば儲かったのに」だけでなく「あわてて決済しなければもっと利を伸ばせたのに」ということもよくありますが、分割決済なら、いくらかの利益を得られるチャンスは残ります。

6 「ピラミッティング」は長い歴史を誇る伝統的な手法

前述した「ピラミッティング」は分割エントリーの手法のひとつです。その歴史は古く、前述したギャンもピラミッティングを得意としたと言われます。

ピラミッティングでは、トレンドが継続するにしたがって、ポジションを追加していきます。たとえば、最初は5万通貨、次に4万通貨、3度目に3万通貨といった具合です。徐々にエントリーするロット数を減らしていくのでピラミッティングと呼ばれます。分割の回数はさまざまで、ポジションの減らし方もトレーダーによって異なります。ただし、徐々にロット数を減らしていくことは共通しています。

FXに限らず、相場には波があり、どんなトレンドもいつかは終わります。また、多くのトレンドは、最初に勢いが大きく、次第に上昇のペースが緩やかになり、最後には反転します。ピラミッティングの手法を使うと、最初の大きな波をとらえながら、終盤の反転局面では、エントリーするロット数が少ないためリスクを抑えることができます。

ただ、ピラミッティングにも欠点があります。というのは、ピラミッティングでは最初に大きなロット数でエントリーするため、最初から予想したような動きにならないと、損失が大きくなることです。

これを防ぐために、最初にロット数を小さく、徐々にロット数を上げていく手法もあります。ピラミッティングに対して「逆ピラミッティング」と言います。ただしこれも、終盤でロット数を大きくしたとたんに反転するとそれまで蓄積した利益を一気に失う可能性もあります。

7 相場が難しい局面ではロット数を小さく、トレンドに乗ればロット数を大きく

伝説の相場師ギャンもピラミッティングを多用し成功したと紹介しました。ただし、ギャンはいつでも大きなロットから始めていたというわけではないようです。前述した「ギャンの価値ある28のルール」には以下のように記されています。

第20条 ピラミッディングのタイミング
ピラミッディング(買い増し、売り増し)のタイミングに注意すること。レジスタンス・サポートをブレークしてから買い増し、売り増しをすること。

第21条 ピラミッディングの選択
買い増しするときは強い上昇トレンドを示すもの、売り増しするときは強い下降トレンドを示すものを選ぶこと。

(ギャンの価値ある28のルールより)

これらを見る限りでは、ギャンは、ロットの数の大小よりも、トレンドが発生しているかどうかの判断を重視していたように思われます。ギャンの理論によれば、レジスタンスラインやサポートラインをブレークするまでは、買い増し、売り増しをしないということになります。つまり、レンジ相場のように判断が難しい場合は、ロット数は小さめにし、レンジブレークを確認してから積極的に出動すべきということでしょう。

8 FXでマーチンゲール法などの増額投資法は通用するか

カジノなどのギャンブルでは、どのような賭け方をするか(ベッティング:Betting)が古くから研究されてきました。ゲームの種類によってさまざまなベッティングの方法がありますが、中でもよく知られるのが「マーチンゲール法」です。

この方法は、倍賭け法とも言われるように、まず1単位賭け、負ければその倍の2単位、さらに負ければそのさらに倍の4単位、と賭け額を増やしていきます。賭け続ければいつか必ず負けを取り戻せることから、カジノの必勝法とされてきました。

確かに、原理としては必勝法なのですが、大きな欠点もあります。というのは、マーチンゲール法では、連敗したときに大きな資金が必要になることです。たとえば、5連敗すると、6回目には32単位を投資しなければなりません。そこまでに使った投資額は

1、2、4、8、16、32

の、計63単位分となります。

1ドル=100円で、レバレッジ25倍、1単位=1,000通貨とすると、1単位投資するのに必要な証拠金は4,000円です。63単位投資するのに必要な証拠金は25万2,000円です。それでいて、6回目に勝ったとしても、手元に残るのは1単位分の利益(4,000円)だけです。

ちなみに10連敗した場合、11回目に投資するロット数は以下のように1024単位となります。

1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、1024

投資の合計額は2047単位です。上記と同様の条件の場合、必要な資金は818万8000円となります。これも、11回目に勝ったとしても、手元に残るのは1単位分(4,000円)です。

こうしたことから、マーチンゲール法はハイリスクローリターンの、割に合わない手法であることがわかります。

ただ、そこまででなくても、負けたらかっとなってドテンし、しかも負けを取り戻すためにロット数を増やすという人も見かけます。マーチンゲール法と同様にリスクが大きい手法です。お勧めしません。

9 ナンピン買いも大きなリスクがある

ナンピン買いとは、たとえば「買い」でエントリーし、予想がはずれ価格が下がる方向に動いているときに、さらに買い増しする方法です。「売り」でエントリーした後、予想に反して価格が上昇しているときに、さらに売り増しする「ナンピン売り」もあります。

価格が上昇トレンドにあって、一時的に下がったときなどに買い増しをすると、1通貨あたりの平均購入単価を下げることができます。ただし、その下落が一時的なものかどうか、判断するのは容易ではありません。ところが、ナンピンをする心理は、「ここまで下がったのだから、そろそろ反転するだろう」と考えてしまうのです。

実際には、押し目だと思って買い増しをしても、そのままずるずると下がってしまうこともよくあります。そうなると、平均単価を下げるどころか、さらに損失を大きくしてしまいます。相場の格言では「下手なナンピン、スカンピン」と言われるように、なかなか難しい手法です。

前述した「ギャンの価値ある28のルール」でも、

第13条 難平禁止
難平(ナンピン)は決してしてはならない。これはトレーダーがするかも知れない最悪の失敗の1つである。

第25条 天底に関する憶測の禁止
相場の天底に関して勝手な憶測を行わないこと。

(ギャンの価値ある28のルールより)

とされています。FX初心者のうちは、ナンピンはしないと決めておいてもいいでしょう。

10 ロット数を減らしても、リターンが大きくなるとは限らない

FXの入門書のなどの中には、「初心者は投資するロットを少なくすべき」と書かれているものがあります。中には、前述した10分の1ルールなどのように、「総資金の10分の1の損失で抑える」といったものや、さらに投資額も総資金の10分の1以下にするといったものもあります。

確かに、レバレッジを活用し、預け入れた証拠金で投資できるだけ目いっぱい投資するようなやり方は危険です。総資金に対する損失の割合が高くなるだけでなく、次の投資でロット数を減らさざるを得なくなるからです。

ただし、だからといって、いつでも小さなロット数でやっていては、なかなか資金は増えません。実はロット数が小さいこととリターンには相関関係はありません。1米ドル=110円の場合、1トレードあたりのリターン金額は以下の数式で求められます。

リターンの額(円)=(1トレードあたりに見込める平均pips数÷100)×110×(1ロットの通貨単位)×ロット数

式にすると長くなりますが、簡単に言えば、「1万通貨投資し、100pips取れば利益は1万1,000円」ということです。

1トレードあたりに見込める平均pips数とは、たとえば年間の収益(損失)をトレードの回数で割ったものです。大切なのは年間でどれだけ儲けたか、です。上記の式を見て明らかなように、ロット数が小さいことが有利な部分はありません。むしろ、ロット数が小さいとリターンも小さくなります。

その点では、大切なのは、ロット数の大小ではなく、1つひとつのトレードで勝ち(pips数を取ること)を積み重ねることです。「それができればいいに決まっているだろう」という声も聞こえてきそうです。しかし、1通貨で勝てないならば1万通貨でも勝てません。ロット数を減らしても、いつかは資金がなくなってしまいます。

逆に言えば、まだ自分のトレードのスタイルが定まっていないという人は、損失になっても影響がない程度の少ないロット数でトレードするか、デモトレードを利用するといいでしょう。

11 まとめ

FXの収益と言えば「○pips取った」というように「pips」に目が行きがちです。しかし、上手なトレーダーは、pipsを見ながらも、トレード全体で、どこで大きく儲け、どこで損失を抑えるかを考えながらエントリーしたり決済したりしています。ロット数についてもトレンドが見えないのに大きなロットでポジションを建てたりもしません。その点では、ロットを使いこなすことで攻めにも守りにも強くなれるはずです。ぜひ自分なりの方法を確立してください。

投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。