先週の世界株式市場の動き

欧州株式がやや冴えなかった一方、日米や新興国は堅調に推移

先週(2017年8月28日~9月1日)の世界の株式市場は、一部の欧州市場がやや低迷したものの、日本、米国、中国を含む新興国などで上昇となりました。

  • 日経平均株価(日本)  +1.2%上昇
  • TOPIX(日本)  +1.4%上昇
  • NYダウ(米国)  +0.8%上昇
  • ナスダック指数(米国)  +2.7%上昇
  • FTSE100(英国)  +0.5%上昇
  • DAX(ドイツ)  ▲0.2%下落
  • 香港ハンセン指数(香港)  +0.4%上昇
  • 上海総合指数(中国)  +1.1%上昇
  • ボベスパ指数(ブラジル)  +1.2%上昇

注:いずれも先週末(9月1日)と先々週末(8月25日)の終値比較。該当日に株式市場が休場の場合は、その直前営業日の終値。

北朝鮮の弾道ミサイル発射で株式市場は一時的に下落するも週後半は急回復

先週は、8月29日に北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことで、小康状態が続いていた北朝鮮リスクが再燃しました。発射直後から金融市場が大きく変動し、日本株も一時急落となりました。また、欧米株式市場でも先物が大幅安になるなど、発射当日は今後の懸念が高まったと言えます。

しかしながら、各市場とも急落後の安値を底に回復が続き、週後半はミサイル発射の懸念を完全に打ち消すような力強い上昇が見られました。特に、日本の株式市場は水曜日から3連騰となっています。

米国の8月雇用統計発表に大きなサプライズはなかった?

米国で注目されていた8月雇用統計は、事前の期待値を少し下回ったようです。しかし、大きなサプライズなしと受け止められて、週末の米国株は小幅に上昇して引けました。NYダウも再び22,000ドルを超え、ナスダック指数は過去最高を付けるなど、世界の株式市場の中でも堅調さが目立っていると言えましょう。

また、新興国市場ではブラジル株の好調が際立っており、年初来の上昇率は+20%に迫っています。

今週の世界株式市場の注目点

再び北朝鮮の軍事挑発に対する懸念が高まる可能性も

今週(9月4日~9月8日)は、目立った金融経済指標の発表はありません。しかし、北朝鮮リスクの再燃が長引く可能性が高くなっていることに加え、米国の政権内の混乱も収束されていなこと等から、主要国における政治情勢から目が離せない状況が続きそうです。

今週予定されている株式市場にインパクトを与えそうな主な予定は以下です。

  • 9月5日:7月耐久財受注(米国)
  • 9月5日:連邦議会の再開(米国)
  • 9月6日:日露首脳会談(ウラジオストク、ロシア)
  • 9月8日:メジャーSQ算出日(日本)

日程は現地時間。現時点での予定のため、変更になる可能性あり。

北朝鮮リスク再燃を受けて、日露首脳会談の主題が大きく変わる可能性

予定されているイベントの中では、6日にウラジオストクで開催される日露首脳会談が注目されましょう。

この首脳会談は本来、北方領土における日露共同経済開発が主題のはずでした。しかし、北朝鮮による一連の軍事挑発行動を受けて、会談の内容が大きく変わりそうです。

また、日本が米国から新型迎撃ミサイルシステムの導入を決定したことで、プーチン大統領からの反発は必至と見られ、アベノミクス以降続いてきた日露友好ムードの終焉さえも予想されます。

米国の連邦議会再開に伴う混乱収束はあるか?

一方、米国では5日から連邦議会が再開されます。従来からの懸念事項である政権内混乱に加え、大型ハリケーン襲来による経済損失への対応などが焦点となります。

また、9月末と見られている債務上限問題がクローズアップされると、好調が続いてきた米国株式の調整局面があることも考えられます。

大規模な核実験を行った北朝鮮、株式市場への影響も懸念

また、上記予定表にはありませんが、9日は北朝鮮の建国記念日に当たるため、さらなる軍事挑発が懸念されます。

実際、この週末(3日)には、北朝鮮が過去最大規模の核実験を行った模様と報じられています。建国記念日に向けてこうした軍事挑発が一層エスカレートする可能性は十分あると言えます。

今週も、世界の金融市場は北朝鮮リスクの拡大による影響に注意しなければなりませんが、とりわけ、メジャーSQ算出を控える日本の株式市場は最大限の注意が必要となりそうです。

LIMO編集部