我が子との腕相撲、最後にしたのはいつ?

ときには思いっきり負けてみるのはいかが

2年近く冷たい関係が続く塾講師と中3男子が腕相撲

都内にある塾の教室、予想もしない言葉がもれました。言葉の主は、中3男子。女性講師に向けられたものです。

「ごめん、もっと強いかと思ったんだ」

人には好き嫌いがつきものです。塾の先生と生徒の間であっても同じです。女性講師によれば、この中3男子が敵意をあらわにするようになって、かれこれ2年近くになるとのことです。

挨拶をしても、無視。何か言えば、むきになって反論する。少しでもミスをすれば、口汚くあげつらう。こんな状態が続いていたそうです。

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最初のころはご機嫌をとることもあったようですが、すべて逆効果。宥めれば宥めるほどにらみ返してくる始末なので、反抗的な行動があっても女性講師は見て見ぬふりを決め込むことにしてしまったようです。

そんな2人が、腕相撲をすることになりました。

完全敗北のあとに、待っていたもの

春休み明けのある日、休み時間に生徒たちと腕相撲をしていたときです。小学生を相手に連勝していた女性講師の前に現れたのが、中3男子でした。負けて悔しがる小学生たちが、助っ人として連れてきたようです。

日ごろのいきさつがあるので断ると思っていました。ところが小学生たちの無邪気な要請を拒絶できなかったのか、中3男子は上着を脱ぎ、机の上にV字型にした腕をのせ、対戦のポーズをとっていました。女性講師は応じるしかありませんでした。

勝敗は、一瞬で決まりです。女性講師は反撃の瞬間さえないうちに、ねじ伏せられました。同時に体勢を大きく崩し、床にころがり落ちていました。軽い貧血を起こしていたようで、教室内がゆがんで見えるなかで聞こえてきたのが、冒頭の発言です。

その日以来、女性講師と中3男子とのわだかまりは消え、和気あいあいとした関係が続いています。めでたし、めでたし……。

なぁんてわけにはいっていません。ただ、あいさつをしたときには、無言ではあっても目で合図をするようになり、いたたまれなくなるほどまでの反抗的態度はなくなっているそうです。

自分が強いことを確認した以上、力を主張する必要がなくなったというわけでしょうか。

久しぶりに腕相撲に興じ、我が子の成長を体感する

キャッチボールなら、ボールとグルーブが必要です。サッカーだってボールが必要だし、戸外に出なければなりません。相撲なら室内でできますが、広い部屋でないと難しい。

その点、腕相撲は狭い室内でも、食卓などの台があればできます。スポーツとしての腕相撲には、若干のルールやテクニックがあるようですが、遊びとしてなら難しいルールやテクニックは知らなくても可能です。思い立ったとき、誰でも、いつでもできるのが腕相撲です。

手軽な遊びなのに、最後に腕相撲をしてから長い年月が過ぎているのではないでしょうか。久しぶりに腕相撲をし、我が子の成長ぶりに驚くのもいいものです。

腕相撲が最も盛り上がるのは、同じくらいの力の人とするときでしょう。

負けた側は悔しがって、「もう1回、もう1回」とくり返し、そのたびに本気度を増していき、いつしか盛り上がっていきます。しかし力関係に差がありすぎると、再度の挑戦を試みる意欲が起こりません。1回だけで終わってしまいます。

もちろん周囲で観戦するギャラリーにとっても、どちらが勝つかわからない勝負のほうが面白いのは当然です。

腕相撲をするときは手加減せず、全力を出し切る

力の均衡した相手とは、女性講師の場合は「男子なら、中1」。小6が相手のときは、ほとんどが女性講師の勝ち。中1の初期は勝てても、1年間で逆転。中2になると、勝てるのは2割くらいだそうです。

もっとも小6でも、成長の早い、あるいは他のスポーツで訓練している子どもの場合は負けることもあるそうです。

女子の場合も、ほぼ同じです。ただし、中1の1年間で逆転することはなく、その後も均衡した状態のままだと言います。また他のスポーツで訓練している子どもが例外なのは、女子も同じです。

女性講師と子どもの年齢の例は、母親が我が子と対戦するときの参考になるのではないでしょうか。高校男子になると、まず勝てることはないでしょうから、父親にお任せするしかありません。

腕相撲をするときに忘れてはいけないことは、けっして手加減をしないこと。なりふり構わず、誰にも見せられないような鬼の形相になるくらい、全身の力を込めて闘います。

よほど小さい子どもは別ですが、手加減をしたことが子どもの側にも伝わってしまうからです。見下されたような気持になるのか、不機嫌になることがあると言います。

全力を出し切った勝負なら、勝っても、負けても、爽快です。

間宮 書子

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國學院大學法学部卒業。法律系出版社、弁護士事務所勤務を経て、現職に。
ビジネス法務を中心に、ビジネス全般、旅やエンタメなど広く取材・執筆に従事。
現在は埋もれていても100年後に大化け、通説となるようなネタを求めて活動中。