中央競馬の売上はピーク時の3分の2に。今後の施策は?

停滞する公営ギャンブルの中では大健闘

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9月16日は「競馬の日」

9月16日は「競馬の日」です。これは、1954年(昭和29年)に日本中央競馬会(JRA)が農林省(現在の農林水産省)の監督の下で発足したことに由来します。そのため、日本中央競馬会発足記念日とも称されています。それまでは、農林省畜産部が運営する国営競馬でした。しかし、現在も事実上の国営競馬であることに変わりはありません。

競馬に関しては、勝馬投票券(馬券)を購入する人、馬券は購入しないけど好きな人、興味がない人、嫌悪感を持つ人など様々かとは思いますが、「競馬の日」にあたって、競馬会の現状を見てみましょう。

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中央競馬は最大の公営ギャンブル、他を圧倒する規模

中央競馬は公営競技(「公営ギャンブル」と称されます)の中では最大規模を誇ります。具体的に売上規模を見ると、中央競馬が2兆5,834億円、地方競馬が4,310億円、競艇が1兆422億円、競輪が6,159億円、オートレースが678億円です(いずれも2015年実績)。

オリンピック種目になっている競輪よりも競艇の方が断然に大きいことや、人気アイドルグループSMAPの元メンバーが選手として活躍しているオートレースが非常に小さい規模であることなど、いくつか意外なこともあります。その中で、中央競馬が圧倒的な規模であることが改めて分かります。

多くの公営ギャンブルは深刻な停滞期

しかし、こうした公営ギャンブルは現在、深刻な停滞期にあります。多くの公営ギャンブルが1990~1997年にピークの売上を記録していますが、2015年には地方競馬と競艇は半減以下、競輪は3分の1以下、オートレースに至っては約2割程度(つまり▲8割減)まで減少しています。

翌2016年は各競技とも若干の増加が見られたと推測できますが、基本的にはこの減少傾向に変化はないと見ていいでしょう。この要因としては、レジャーの多様化に加え、景気低迷による遊戯費用の減少があげられます。いずれにせよ、約20年間で売上高が半減以下になるのは尋常ではありません。

中央競馬は健闘、それでも売上はピークの3分の2

売上の大幅減退という意味では、中央競馬も例外ではありませんが、他の競技に比べると大健闘しています。中央競馬の売上のピークは1997年の約4兆円でしたから、2015年実績はピーク時の約65%水準となります。大幅減少に変わりはありませんが、他の公営競技のような半減以下には陥っていません。

また、2016年実績は2兆6,708億円(前年比+3%増)と小幅増加に転じています。ピーク比はまだ67%、つまり、ピーク時の3分の2に過ぎませんが、ここにも競馬に対する底堅い人気を垣間見ることができます。なお、中央競馬の売上高は、勝馬投票券による収入を用いているため、財務諸表上の売上高とは若干の差異があります。

中央競馬の不振は、一般財源収入にも影響を及ぼす

また、公営競技である競馬は、原則として、1)勝馬投票券による収入(=ほぼ売上高に近い)の10%、2)最終利益の50%を国庫納付金として納入し、国の一般財源(国家予算)に繰り入れられています。

この国庫納付金は、1997年の4,674億円をピークに減少が続き、現在は3,000億円未満の年が続いています。中央競馬が盛り上がることは、一般財源収入の観点でも意味があることなのです。

早くから“企業努力”をしてきたJRA、新たな施策も必要に

JRAは、まだ日本がバブル経済期だった1980年代後半から、それまでの“競馬=中高年男性のギャンブル”という暗いイメージを払拭するために、人気タレント(注:成人。以下同)を起用した広告宣伝、テレビ放送枠の拡大、人気騎手の育成などに注力してきました。

そこに、オグリキャップを始めとする全世代に受け入れられた数多くの人気馬の登場もあり、前述した1997年には空前絶後の売上を記録したのです。

JRAはその後も、勝馬投票券の多種多様化や、アイドルタレントをMCに起用したテレビ番組の放映など、様々な“企業努力”をしていると考えられます。しかし、未成年に対して拡販や啓蒙活動が行えないという事情もあり、今後は少子化の影響がジワリジワリと出てくるでしょう。何らかの新たな対策を講じる必要がありそうです。

訪日外国旅行客を取り込むのも一手か

たとえば、増加の一途を辿る訪日外国人向けの宣伝広報活動を強化するのも一考に値しましょう。諸外国では競馬が盛んな国もありますが、アジアを中心にまだ拡大余地は大きいと見られます。特に、公営ギャンブルが事実上禁止となっている中国では、日本の競馬に対する関心は高いと言われています。

また、18歳以上に選挙権が認められたことから、法律上の「成人」が18歳以上になる日が遠くないかもしれません。日本の若年層が熱中しているモバイルゲームとのタイアップも有効な策かもしれません(注:既に一部実施されている可能性があります)。

伝統ある競馬を後世に残す

競馬は、古代ローマ時代にその起源を遡ることができる歴史ある競技です。日本でも約150年前から行われている文化とも言えます(注:開始時期には諸説あり)。伝統ある競馬を良い意味で後世に残すよう、競馬の日に改めて考えるのもいいかもしれません。

投信1編集部

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