Amazon出身者が語るファッションビジネスの未来:TOKYO BASE 高嶋 × STYLER 小関

「日本発ファッションスタイルを世界へ」をコンセプトにSTUDIOUS、UNITED TOKYO、CITYなどの事業を展開する株式会社TOKYO BASE。同社は今年2月に東証マザーズから東証一部に昇格し、時価総額約747億円(9月22日時点)と、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続けています。

今回は、その急成長の立役者でもある取締役・事業本部長の高嶋さんとSTYLER代表 小関の対談を収録。実は2人とも元Amazonということで、高嶋さんのAmazon時代の経歴などを振り返りながら、TOKYO BASEの話を伺っていきます。

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ファッションはAmazonにとっても非常に重要な部門

写真右:TOKYO BASE 高嶋氏、写真左:STYLER 小関

小関:実は僕らは以前から知り合いなんです。僕は元々金融機関で働いた後に、Amazonで決済系の部署の事業開発を行っていました。TOKYO BASEの高嶋さんとはAmazonで一緒のプロジェクトで働いたことはなかったですが、同い年ということもあって、以前から仲良くさせてもらってます。Amazonではメンズファッションの部長を担当されていましたよね。

高嶋:そうそう、僕がAmazonに入社したときは、ちょうどファッションを日本でも本格展開する時です。今はAmazonは総合ECサイトの印象が強いかと思いますが、当時はまだ本やCD、DVDのようなメディアが中心だった。個人的に今後ファッションでもEコマースは絶対に伸びてくると思っていたし、外資系に転職して成長したいと思って入社を決めましたね。入社した直後は、adidasやNIKEといったスポーツメーカーのベンダーマネージャーをやっていましたね。

アパレルのEコマースに関わったことのない方にはピンと来にくいかもしれないですが、スポーツメーカーの衣服はECだと売りやすいんです。特にネームバリューがあるものが一番売れていって、担当もそれを縦積みしていく(笑)しかも、Amazonの仕組み上、売れるものはどんどんプラットフォーム上で目立つように表示される。サイトの検索上位も取ってしまうので弱肉強食。売れないものはどんどん下にいって見えなくなってしまう。

小関:Amazon含め大手Eコマースは検索ウィンドウとリストを組み合わせたUI/UXを取りますからね。売り手と買い手で情報差が大きいものは市場が成立しにくいんです。なので、服でも定番のモデルとか、スペックが文字で表現しやすいスポーツ用品が売れていく。逆にファッションのように、情報に非対称性があると、プラットフォーム上では不利益を被ってしまいます。

高嶋:スポーツブランドのベンダーマネージャーとして、Amazonのファッション部門でも大きな実績を上げられました。その後、昇進してメンズのベンダーマネージャーを統括する、日系の会社だと部長に当たるポジションを一年くらいやっていて。でも、やっぱりメンズもスポーツと同じでリーバイスとかエドウィンいったすごく定番なものが売れるんだよね(笑)

ファッションはAmazonにとっても非常に重要な部門で、それこそジェフ・ベゾスから直接日本の各バイヤーに指示が飛ぶくらい(笑)というのも、アメリカでは日本と比較して利益率の高いビジネスを構築できていたし、生活に関する取引を押さえると一人あたりの年間の取引件数も上がります。そんな感じでメンズファッション部署の中心として1000億のビジネスのプランを立てたころに、現職のTOKYO BASE知ったんですよね。もちろん、代表の谷は以前デイトナインターナショナルでの同僚だったので、面識はありました。でも、一緒に働きたいと意識をしたきっかけは2015年のマザーズ上場のタイミングです。

「日本の文化を世界に出していきたい」という思いに共感し、TOKYO BASEへ

小関:デイトナ時代の知り合いで、以前からTOKYO BASEに参加するって話をしてたんじゃないんですね。

高嶋:それまでは、そういった話は全然ないです。ちょうどテレビ東京のワールドビジネスサテライトで上場ニュースを見て、素直に凄いなと思いましたね。「日本発ファッションスタイルを世界へ」という事業コンセプトで、全てオールメイドインジャパンで商品を揃えて世界を目指す姿勢や、LVMHのように日本でブランドビジネスを大きくしたいというビジョンに共感しました。

Amazonのような外資でも働いていたんだけど、昔から日本の文化を世界に出していきたいという思いが強かったですし。なので、番組を見た直後に、谷に直接メールをしました。熱い思いを長文で伝えたので、かなりびっくりしたと思うんですけど(笑)ありがたいことに、Eコマースと商品の責任者として入れたので、得意な部署から入社することができました。

小関:そもそもSTUDIOUSは当時もEC比率が30%くらいで高かったのに、それを更に35%くらいに上げたのが凄いですよね。店舗が弱っているわけではなく、むしろ各店舗、前年比でほとんど売上上げているし。

高嶋:Amazonで経験したオペレーションの改善が役に立ちましたね。働いている人のリソースは限られているし、TOKYO BASEは生産性をかなり気にする会社なので、売上や利益に繋がらない採用はしないんです。なので、今働いているミニマムなヘッドカウントで最大限効率が上がるようにオペレーションをどんどん改善しました。オペレーションを改善すると、ちゃんと売上や利益が取れる業務に時間を割けるようになるんですよね。

あと、有効な施策としては、これもAmazon的な話だけど、セレクションの拡大。商品点数を拡大するだけだと、在庫リスクも上がるから、一方で予約比率を上げました。元々、予約比率は10%ぐらいでしたが、今は30%ぐらいになってますね。多くの商品を早く出せるオペレーションにして予約の比率を上げ、在庫の回転率を上げるためにオーダーがついたものだけを回していく。やっぱり、良い物を早いタイミングでお客様に見せてられるかってところが本質的な強みだと思います。うちの強みは売っている服というプロダクトですから。なので、自社ECに対して広告費は一円もかけてないです。

小関:よくアパレルECだと根本のビジネスモデルを検証しないで、枝葉のデジタルマーケティングの話になりがちですもんね。細かいサービスを利用したCVRの上昇よりも、そもそもユーザーにどのような購買体験を届けるのかを、商品や接客の強みから捉えたほうが本質的だと思います。ECが好調とメディアに話すブランドでも、単に店舗が弱くなっているところ結構ありますから。要はビジネスモデルの話で、どのような強さで売上を作って、どのような工夫で利益を残すかという話。結局そこを欠落したままのEC比率を上げても、ただ儲からない。儲からないので、服の原価や人件費を下げるとみんな働くモチベーションを失います。もちろん、ユーザーも不幸になりますしね。

1人当たりの生産性を上げれば、それでも高い営業利益率を達成できる

高嶋:TOKYO BASEは営業利益率も高いのですが、原価率がすごく高いです。メディアにも公開していますが、UNITED TOKYOは原価率が50%くらいですし、STUDIOUSもそれに次ぐくらいあります。なので、ユーザーは同じ金額でもより良いものが手に入るんです。これを可能にしているのは、ただただセールをしなければいいだけの話。1人当たりの生産性を上げれば、それでも高い営業利益率を達成できるんです。

店頭のスタッフにも給与として還元できる制度を敷いているし、原価の下がった売りたくないものを無理して売ってるわけでもない。なので、TOKYO BASEの現場は強いんです。今は海外一店舗目の香港に続いて出店ラッシュ中。原宿も改装したし、二子玉にもUNITED TOKYOを出店して、九州のパルコにウィメンズをオープンしました。

小関:アパレルに就職して店員になり、店長やMDを目指す方は、基本的には服や接客が好きな方が多いので、モチベーションの源泉はいかに服を売るかにありますよね。今は売上に繋がらないオペレーションを店頭に押しつけて、実際の接客時間は全然なく、活気が失われるブランドも多いです。ちなみに販売額が多い店員は、最高でどのぐらい貰っているんですか?

高嶋:最高で1000万円+インセンティブを貰っているスタッフがいますね。新卒でも700万円の年収になったスタッフも出ました。23歳でそれだけの給与が貰えるのは、アパレルはもちろん、他の業種と比べても遜色ないと思います。外資もそうですが、そういった環境の方が、優秀な人が入ってくるし、入った後も頑張るんですよね。例えば、今年はSTUDIOUSの10周年なので、原宿の本店をリニューアルしたんですが、プレオープンで顧客様を150人呼んで1100万円売り上げました。こういった現場の強さがうちにはあります。

あと、Amazonの話でもありましたが、やっぱりユーザーがサイト上だとよく分からない商品、自分に似合うか自信のない商品はEコマースだと売れないんですよね。でも店頭だと、店に行ってスタッフに接客されることにより、気づいていない服の魅力に気づくんだよね。試着することによって「あっこれ自分似合うんだ。」、「これかっこいいんだ。」ってファッションの面白さに気づいてもらえる。当たり前ですが、店頭とウェブ両方大切なんです。

小関:おっしゃる通りで、今のECのUI/UXの問題ですね。インターネット上で売れるものは売り手と買い手の情報差のない定番のものに偏ってしまう。ユーザーもそれだけだと困るから店舗とウェブを使い分けてるよね。僕たちが運営しているFACYも、そういったファッションの面白さを体験してもらうため、ウェブと店舗をまたいで、服を知ったり、買って、共有するところまで、一気通貫で押さえたアプリです。今はなんとか50万MAUまできました。

サービスを運営していて面白かったのは、ファッションや飲食などのライフスタイル分野は、コモディティと違って答えがないからコミュニケーション自体が価値を生み出すんですよね。同じシャツでも、店員からお勧めしてもらう前後で全く異なって見える人も多いはずです。

高嶋:本当にね、ファッションって夢を売っているんだなって思いました。例えば、学生のお客様とか高額の服を買うと、明日からカップラーメンしか食べれないって状況もあるじゃないですか。普通に考えると生存と結びついてる食は切り詰めにくいんですけど、出す人は出すんですよ。なので、TOKYO BASEとしてもSNSなどでのユーザーとのコミュニケーションは凄く大切にしています。実は、その一環として、9月末まで賞金総額100万円のスナップコンテストをやっています。もちろん、こういったキャンペーンが売上に繋がれば嬉しいですが、それこそユーザーが店舗で高品質の日本ブランドを知る機会になったらいいと思ってます。最初は総額100万円の賞金が目的でもファッションを買う楽しさだけでなく、SNSなどでシェアする楽しさをコンテストをきっかけに体験して欲しいですね。

小関:SNSで賞金総額100万円ってすごいよね。どうやって応募できるの?(笑)

高嶋:TOKYOデザイナーズブランドを着用したコーデ写真を、インスタにハッシュタグをつけて投稿するだけでエントリーできます。ちなみに、優勝は50万、準グランプリ 20万、その他の賞は10万なので、小関さんも是非(笑)

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