費用をかけた挙句にプア化が進行!「資格投資プア」にご用心

本来は少しでも収入アップにつながるように、あるいは雇用安定や就労機会を増やせるように、と資格取得に励むものではないかと思いますが、資格を取っても生かせない、お金を使っただけで終わってる「資格プア」なケースも少なくないようです。

そこで今回は資格プアに陥らない観点から、傾向と対策をまとめてみました。

資格プアの実例1

M美さんはいわゆる資格オタク。アロマ検定、介護士2級、食関係のソムリエ検定を数種、保育士、民間認定のカウンセラー資格も数種類という具合に10種以上の資格を取得しています。それらの資格を取るためにつぎ込んだ費用は大変な額。中には50万円以上の費用を突っ込んでとった民間資格もあります。書籍代、教科書代、学習CDなどもずいぶん買い込みました。

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このほか、資格維持のための更新料、加盟協会への年会費の額もかなりの負担となっています。しかし、現状はそれらの資格をまったく生かせてはいません。

現在、民間資格であるカウンセラーの名刺を作って使用していますが、無名ゆえ、それで仕事が発生したことはまだ一度もありません。

目下の月収は販売員のパートで得る約10万円のみ。会社員の夫とは不仲で、別居を考えていますが、フリーランサーとして自活ができるかどうか、展望が持てないまま、日々が過ぎています。

資格プアの実例2

弁護士登録をしたK子さん。有名大学法学部で勉強し、司法試験に合格するまで、多額の費用をかけてきました。晴れて「士業」に就けたのに、弁護士としては開店休業状態が続いています。行き場もないため、目下、実家でひっそり過ごしています。  

どの仕事にも言えることですが、弁護士も登録をしただけでは食べていけません。先輩事務所に手弁当で通うなり、有償で机を置かせてもらうなりし、人の紹介を受け、自ら積極的に仕事をつなげていかなければ職業としての「士業」は成り立たないものです。

しかし、K子さんはそうした活動が苦手で、うまく人間関係を作っていくことができないのです。最初は何くれとなく親身になってくれた先輩たちも、「人を紹介しても、報告があるわけでもなく、礼を言うわけでもなく、かかわるだけ無駄か」と一人去り、二人去り…。年収数億円を稼ぐ企業の顧問弁護士もいる一方、登録はしたものの、K子さんのような無収入弁護士もいるのです。

資格プアの実例3

Oさんは30歳代後半で独身。親元からの通勤で何不自由なく暮らしていましたが、物足りなさを感じて、思い切って社会人大学院に学ぶことにしました。

今のうちにマネジメントやマーケテイング、財務知識を強化しておけば、将来、会社でのポジションが上がる期待が持てそうだと考えたのです 。

ところが大学院に通い始めて1年目が修了という時期に会社から地方転勤を命じられました。いよいよ修士論文に着手という時期だったので、Oさんは会社側と交渉。一年の猶予をもらいたいと意思表示をしました。

今にして思えば、それが響いたのでしょうか。ほどなくして会社から閑職に配置転換されてしまいました。その部署でOさんには全く手掛かりのない、取り付く島のない内容の仕事が待ち受けていました。上司は「新規開拓の部署だから頑張ってほしい」といいますが、成績も上げられず、次第に悩ましい状態に陥り、会社にいづらい雰囲気になりました。

有効求人倍率も高く、人手不足。大学院でMBAタイトルをとれば再就職に期待が持てるはず、との認識からOさんは思い切って退職を決意します。

しかし、現実は思ったようにはいきませんでした。今は、派遣でぐっと収入が減少し、仕事のポジションも上がるどころか、相性の合わない上司のもとで四苦八苦して働いています。社会人大学院に支払った2年分の月謝は300万円弱。学歴は上がったものの退職で収入減少の憂き目を見て、プア化が進行してしまったと感じているOさんです。

こうした実例から、資格プアに陥いらないためのポイントをまとめてみました。

何のための資格なのか

資格オタクは世の中に少なからずいます。楽しみながら知識を取得し、資格もモノにするケースですね。しかし、都度都度、人気資格に飛びつき、多額の費用をかけては結局、モノにならずに放置というケースもあります。

何のために資格を取るのか、資格をどう生かすのか、自分に向いた資格はなんなのか、資格取得に投資する前によく考える必要がありますね。

資格を取って終わりではなく、資格を取った後が大切

資格プア化を防ぐには、資格を取った後の展開力が大切です。陥りやすい思考パターンは「資格を取れば何とかなる」「資格を取ったから安心」的な発想です。どんな資格を取ったとしても、要はそれを生かす力が必要です。特にMBAタイトルは錯覚しやすい資格の一つといえるでしょう。MBAをとったから仕事のスキルが上がるのではなく、自分のスキルを磨くためにMBAコースで学ぶわけです。

しかし、学ぶ本人の考え方次第で本末転倒の錯覚に陥りがちです。それが周囲から浮く原因となり、会社で孤立する結果になりかねません。はじかれないためには、周囲の人が理解しにくいMBA独特の言葉を多用した振りかざし型のアプローチではなく、共感が得られ、かつ、問題解決に効果的な仕事ぶりを示すこと。そして、さまざまなシーンにおいて、浮かないように周囲との温度差に敏感になることと、融和に配慮が必要です。

有資格者がどのように資格を生かしているかの研究が必要

収入UPを願って資格を取ったのに、支出しただけで終わりではもったいないですね。有資格者がその資格をどのように仕事に生かせているかの道筋を研究する必要があります。旅行会社に勤めている人なら、旅行関係の資格、ガイド資格、英語資格、地域検定という具合に関連した流れがあるはずです。流れに沿った資格であれば収入UPに寄与するでしょう。

自分が職業として成立させることができる流れから派生する資格に投資することが大切です。気ままに心の赴くままに取得する場合は消費やレジャーと同じで、お金を使い、楽しかったけど、お金は生まない、といえるのではないでしょうか。

何十万円、何百万円もつぎ込んでモノにならない資格をたくさん持っている人もいる一方、自ら検定化して資格授与側に立つ人もいます。自分に有効投資するなら、生かせる道筋をよく考えたいですね。

木村 佳子

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木村 佳子
  • 木村 佳子
  • 生活経済情報研究所(株)ビューズ代表 経済アナリスト 資産運用アドバイザー

個人投資家向け資産運用情報に精通。全国での講演会数は累計3,000回以上。配当・株主優待を得ながら株価成長を待つカレンダー投資法を提唱。
日本FP協会CFP、一級FP技能士(国家資格)。早大院卒(専門職MBA)。財務省理財局株式専門委員を5期10年務め、現在は日本IRプランナーズ協会理事長として上場企業と個人投資家のより良き関係を研究テーマに活動。JPX女性講座グランドマスター。著書多数。