日本のドライブレコーダー普及率は? 続く市場拡大と高機能化

ドライバーの安全・安心需要をどこまで満たせるか

東名高速での痛ましい追突事故でもドライブレコーダーが裏付けに

今年6月、東名高速道路の追い越し車線に止まっていたワゴン車に、後ろから来たトラックが追突し、ワゴン車を運転していた夫婦が死亡する事故が起きました。

当初は単純な追突事故とされていましたが、ワゴン車に同乗していた被害者夫婦の娘の証言により、状況が一変しました。事故当時、ワゴン車の前にも1台の乗用車が止まっていましたが、この乗用車が執拗にワゴン車への嫌がらせを続け、ワゴン車の進路を妨害して追い越し車線に無理やり止めさせたことが、事故の原因ということになりました。

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その結果、10月になって、この乗用車の運転手は自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)等の疑いで逮捕されました。

今回の逮捕にあたり、警察は、事故当時に周辺を走行していた260台以上の車を調べ上げ、そのドライブレコーダーの記録を証拠として集めていったそうです。

この一連の報道を機に、メディアやネットで、今回の事故以外にも「こんな危険運転がある」という映像を多く目にするようになりました。そのため、多くの人が、危険運転が思った以上に身近なことであると感じるようになったのではないでしょうか。

運転中にこわい思いをしたことがある人は多い

JAFが2016年に全国の64,677名の自動車ユーザーに対して実施した「交通マナーに関するアンケート」には、興味深い結果があります。

「無理な割り込みをする車が多い」という設問では、63.2%のユーザーが多いと思っています(「とても思う」17.6%、「やや思う」45.6%の合計)。また、「普段の運転中に、後方から他のドライバーにあおられたことがありますか」という設問には、54.5%が「ある」と回答しています(「よくある」7.9%、「時々ある」46.6%の合計)。

これによると、2人に1人以上が、運転中に何かしらのこわい思いを経験していることがうかがえます。

ドライブレコーダーは拡大の余地がある市場

今回の件で、危険運転の映像だけでなく、それを映像として記録したドライブレコーダーにも、にわかに注目が集まっているように思われます。「何かあった時のために、ドライブレコーダーをつけておいた方がいいのではないか」と考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。

このドライブレコーダーというのは、国内でもまだ歴史の浅い電子機器です。

調査会社のGfKジャパンによるドライブレコーダーの国内アフターマーケットの調査によると、ドライブレコーダーの2016年の販売台数は79万台となり、年々増加しています。ただし、2016年の国内の自動車の販売台数が乗用車で414万台、トラック・バスを含めて497万台であることからすると、まだまだ普及率は低いものと推察されます。

普及率は、タクシーのような事業用車両では50%を超えたとされていますが、一般の乗用車では10%程度にとどまっているというのが現状のようです。

一方、ドライブレコーダーの平均価格の上昇が続いています。2013年の平均価格は10,000円超でしたが、2016年には18,000円まで上昇しています。

その背景には、ドライブレコーダーの高機能化が進んでいることがあると考えられます。先ほどのGfkジャパンの調査によれば、カメラ画素数別に見ると、300万画素以上のモデルが台数ベースで44%、夜間モード搭載モデルは同じ台数ベースで60%を占めるまでに拡大したそうです。鮮明な映像を残すことができる高機能の製品が求められている傾向にあるようです。

普及率がまだ低く数量ベースで拡大する余地が残り、しかも単価が上昇し続ける業界は今の時代では珍しいのではないでしょうか。

出所:GfKジャパンの調査よりより筆者作成

ドライブレコーダーで安全・安心を買う

ドライブレコーダーは何かあった時の記録を残すものですから、ドライブレコーダーをつけたからと言って事故が防げるものではないという意見もあります。

はたしてそうでしょうか。

ハンドルを握ると感情表現が過激になりやすいことを指す「ロード・レイジ」という言葉が使われるようになってきました。普段は温厚でも、運転中は人格が一変してしまったかのようになる人も確かにいます。

ドライブレコーダーの第一の役割は、事故の際に起きた状況を映像で記録することです。しかし、機種によっては、ドライバー自身の運転の様子も記録できるものもあります(タクシーにつけられている後部座席も撮るタイプに近いです)。そのため、ドライバー自身が感情をコントロールし、安全運転を意識するようになるという効果もあるようです。

交通安全のお守りをつけている人の方が、つけていない人よりも交通事故に遭う確率が低いというのと似ています。

また、交通トラブルが起きてしまった時、ドライブレコーダーで映像の記録をとっていることが伝われば、怒りあふれる相手に対する抑止力となることも期待できます。

さらには、ドライブレコーダーの映像が残されていると、万が一事故が起きた場合、保険金算出にかかる時間を短縮できるようになります。そうすれば、事故処理後の保険金が早くもらえるようになるかもしれません。

事故や交通トラブルに巻き込まれないように心がけていても、そのリスクを完全になくすことはできません。今後、「安全・安心を買う」形でドライブレコーダーの普及が加速していくことは十分に考えられます。

藤野 敬太

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藤野 敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。日本ファミリービジネスアドバイザー協会執行役員・フェロー