約57年ぶりの日経平均14連騰で株式市場が活況を呈する一方、為替市場は静かな値動きが継続しています。今週は日本の総選挙結果、米国のFRB議長人事、スペイン・カタルーニャ州の自治権停止問題などの政治イベントが進行する中、緩慢な値動きが続いた為替市場が動き始める契機の週となるかに注目です。

先週の為替市場振り返り

先週の為替市場は大きな指標発表もなく、多くの主要通貨ペアでこれまでの静かな値動きが継続する展開となりました。日本の株式市場では、日経平均株価14連騰という約57年ぶりの快挙となりましたが、米・英・独の株式市場は大きな値動きを見せませんでした。

個別の通貨ペアではドル/円が緩やかに上昇。これまで株価とドル/円の相関関係が崩れるような値動きを見せていましたが、先週は日経平均の上昇を追いかけるように円安が進みました。しかしながらその上昇は緩やかであり、レンジ相場の上限でもある節目価格の114円には到達せず、113.5円台で取引を終えています。

また、ユーロ/ドルは引き続きレンジ相場を形成。2017年に入ってから上昇トレンドが続いたユーロ/ドルですが、9月以降は上昇トレンドが終了し、現在は次の相場の方向性を探る状態となっています。

ドル/円の過去6か月間の推移

ニュージーランドドルが大きく下落

ドルインデックス、原油(WTI)、金価格等の周辺市場も先週は小動きの展開でしたが、その中で大きく動いたのがニュージーランドドル(NZドル)です。

ニュージーランドでは9月の総選挙でどの党も単独過半数に達せず、環太平洋経済連携協定(TPP)に反対するNZファースト党との連立に合意した労働党が9年ぶりに政権を奪回することになりました。

TPP反対、外資への規制(例:外国人による中古住宅物件の購入禁止)、移民反対などを唱えるNZファースト党の政権入り決定に、為替市場はNZドル売りで反応。特に、既に8月から下落トレンドに入っていたNZドル/米ドルは下げ足を早めました。

今週の為替市場見通し

今週は、衆院選で与党が大勝した選挙結果を受け、株式市場や為替市場がどのように反応するかが最初の見所と言えます。

セオリー的には与党勝利の場合、株価上昇・円安となりますが、既に日経平均が14連騰しており、株価は過熱気味です。ただし、ドル/円はレンジ相場の節目価格である114円目前で、レンジブレイクの可能性を有しています。

また、米国では次期FRB議長発表の可能性があります(11月3日までに正式発表の見通し)。パウエル氏(現FRB理事)、テイラー氏(スタンフォード大教授)、およびイエレン議長再任の可能性がある中、金融引き締め派のテイラー氏の議長就任となれば、ドルのトレンドに変化が生じることが見込まれます。

さらに、欧州ではスペイン政府がカタルーニャ州に対し自治権停止手続きを進める中、同州首相は独立宣言は行われていないとの立場を明確にしました。しかし、スペイン政府が自治権停止を迫り続けるのであれば独立宣言の可能性もあるとしているなど、今後の動きが懸念されます。

まとめ

10月に入り為替市場は緩慢な値動きが継続しており、値動きのエネルギーが蓄積されています。日米欧で重要な政治イベントが進行中の今週は、為替市場が値動きを取り戻す週となるのでしょうか。次に値動きが発生する際は、大きな値動きが予想されるとの認識で今週の為替市場に臨みたいと思います。

石井 僚一