建設現場の「新3K」って何? 深刻な人手不足の打開策になるのか

建設業界に求められる働き方改革やICTの活用

Ned Snowman / Shutterstock.com

深刻化する建設業界の人手不足

建設業に対するイメージは人それぞれでしょうが、大上段に構えれば、この仕事は社会資本の整備や社会の安全・安心の確保を担うものです。また、国土保全のために必要不可欠な「地域の守り手」であるとも言えるのではないかと思います。

ところが、ご承知の通り建設業界の人手不足は一段と深刻化しています。

厚生労働省が発表する有効求人倍率の2017年8月実績では(いずれも常用、除くパート、季節調整前)、「建築・土木・測量技術者」は5.68倍(前年同期は4.94倍)、「建設・採掘の職業」は4.22倍(同3.47倍)となっています。

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これは、全職業の1.28倍(同1.12倍)に比べて極めて高い水準にあり、かつ、前年同期比でも大きく上昇しています。

ちなみに、有効求人倍率は有効求人数を有効求職者数で割って算出するもので、倍率が1を上回れば人を探している企業が多く(人手不足)、下回れば仕事を探している人が多いこと(人余り)を示します。

下図のように、同じ数字を年間ベースでも見ても上昇傾向が見られます。「建築・土木・測量技術者」については、2013年に3.36倍であったものが2016年には4.76倍へ、「建設・採掘の職業」は、2013年の2.46倍から2016年には3.38倍に上昇しています。

建設業の求人倍率推移(年間ベース)

出所:厚生労働省

なぜ、人手不足なのか?

このように、建設業は慢性的に人手不足が続いています。その背景には、もちろん2020年の東京オリンピック・パラリンピック関連や震災復興などの需要要因もありますが、それ以上に大きな問題は、供給サイド、つまり人材が減少していることです。

実際、国土交通省の資料を見ると、建設業界の就業者数は2007年の552万人から2016年には492万人に約1割減少しています。ちなみに、外国人労働者については、2007年のデータは見当たりませんでしたが、2010年には1万3,490人であったものが2016年には4万1,104人と約3倍以上に増加しています。しかし、外国人労働者の構成比は2016年で0.8%に過ぎないなど、全体への寄与はごくわずかです。

では、建設業界には需要があるにもかかわらず、なぜ、人が集まらない、つまり人気がないのでしょうか。その理由としては以下の3点が考えられます。

第1は、労働時間が他産業と比べて相対的に長いことです。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、2016年度の総労働時間は2,056時間でしたが、これは、製造業に比べて約105時間、全産業に比べて336時間も長いという結果になっています。また、年間の出勤日数や残業時間も同様に、他産業に比べて長くなっています。

第2は、所得が低いことです。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、建設業全体の平均年収は418万円と、製造業の平均である468万円に比べて低い水準にあります。

なお、大手ゼネコンなど大規模企業に限れば、建設業の平均年収672万円に対して製造業が572万円と、建設業が上回っています。ただし、建設業の場合、大規模企業が占める割合が少ないため(男性労働者が占める割合では建設業は6%、製造業は31%)、平均すると製造業を下回ることになります。

第3は、3K(きつい、きたない、危険)のイメージが強いためです。厚生労働省の「雇用管理現状把握実態調査(平成24年度)」によると、「企業が考える若年技術労働者が定着しない理由(複数回答)」で最も多かったのは、「作業がきつい」(42.7%)でした。

それ以外には、「職業意識が低い」(40.8%)、「休みがとりづらい」(23.5%)、「労働に対して賃金が低い」(24.2%)、「作業に危険が伴う」(19%)という回答もあります。上述の第1と第2の理由を裏付けるものも見られるなど、やはり3Kをイメージさせる理由が多く挙げられていると言えるでしょう。

「新3K」の実現に向けた取り組み

もちろん、こうした事態に対して、行政や業界団体は何もしないで傍観しているわけではありません。最近では、国土交通省が「新3K」というスローガンを提唱し、建設業の魅力を高める取り組みも開始しています。

ここでの新3Kとは、「給料、休日、希望」の3つのKを指しており、建設業に就業する人材に、高い給与と、長い休日を与え、希望が持てる産業にしていこうという思いが込められています。

建設業には天候に左右されやすいという特殊要因があり、また、業界全体として労働時間を制限した場合、工期の長期化やコストアップが避けられないという問題も抱えています。

このため、新3Kの実現は、容易なことではないと考えられます。とはいえ、これが実現しなげれば労働力不足はさらに深刻化し、日本の社会資本(社会インフラ)の劣化が避けられないということにもなります。

このため、この問題は業界関係者だけに限らず、社会全体の問題として捉えることが必要なのかもしれません。また、こうした社会課題を解決していくのに、ICT(情報通信技術)を活用するという視点も重要ではないかと感じられます。

具体的には、他業界に比べ遅れている「働き方改革」を進めると同時に、3Dマシンコントロールなどを使った情報化施工や、構造物の3次元モデルを使って設計・施工を行うCIM(Construction Information Modeling)、ドローンやロボットを使った構造物の点検・補修などの「i-Construction」の導入を一段と推進していくことが求められると思います。

まとめ

ご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、今と同じような光景は、1990年前後の平成バブル期にも見られました。当時も人手不足が深刻化し、外国人労働者が増え、この結果、「3K」や「ガテン系」という流行語が生まれました。

余談ですが、ガテン系という言葉は、”現場”の技能職・技術職・現業職向けの求人誌として1991年に創刊され、大ヒットしたリクルートの雑誌名を由来としています。ただし、その後の失われた20年を経るなかで発行部数は減少し、2009年に休刊となっています。

今回の新3Kという言葉が、かつての3Kやガテン系のように誰もが知る流行語となり、その効果で建設業の労働者不足が解消される方向に向かうのか、今後も大いに注目していきたいと思います。

投信1編集部

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