先週の世界株式市場の動き

全体的な上昇基調の中、引き続き日本株の好調が際立った1週間

先週(2017年10月23日~10月27日)の世界の株式市場は、全体的に上昇基調となった中で、引き続き日本株の高いパフォーマンスが際立ちました。特に、日経平均株価の上昇率がいっそう拡大しています。

  • 日経平均株価(日本)  +2.6%上昇
  • TOPIX(日本)  +2.3%上昇
  • NYダウ(米国)  +0.5%上昇
  • Nasdaq指数(米国)  +1.1%上昇
  • FTSE100(英国)  ▲0.2%下落
  • DAX(ドイツ)  +1.7%上昇
  • 香港ハンセン指数(香港)  ▲0.2%下落
  • 上海総合指数(中国)  +1.1%上昇
  • ムンバイSensex(インド) +2.4%上昇
  • ボベスパ指数(ブラジル)  ▲0.5%下落

注:いずれも先週末(10月27日)と先々週末(10月20日)の終値比較。該当日に株式市場が休場の場合は、その直前営業日の終値。

日経平均株価は21年ぶりの高値更新に

先週は、日米を中心に注目企業の決算発表が相次ぎましたが、その決算内容を別にして、世界の株式市場は上昇基調となりました。その中で、特に株価上昇が際立ったのが日本株です。

日経平均株価は歴代最長となる16連騰を達成しました。そして、その連騰記録が途絶えた翌日には再び大幅高になるなど、高いパフォーマンスに減速の気配は見られていません。週末には22,000円を付けて21年ぶりの高値更新で引けています。

米国株も上昇を持続、新興国はややまだら模様

一方、米国株はやや上値が重い展開となり、NYダウが久しぶりに3桁の下落となる日も出現しました。しかし、NYダウはほぼ毎日、構成銘柄の1社が高騰して株価を押し上げるパターンとなり、依然として上昇トレンドを維持しています。また、NYダウ以上に上値が重かったナスダック指数も、週末には好決算を反映して急騰しました。

日米以外の株式市場はまちまちの感がありますが、総じて上昇基調にあったと言えましょう。ただ、ブラジルなど新興国市場は2週連続で下落するなど、相場の転換点に近づいている様相も見せており、今後は注意が必要になりそうです。

今週の世界株式市場の注目点

久しぶりに重要イベント目白押し、次期FRB議長人事が最大の焦点に

今週(10月30日~11月3日)は、久々にイベントが目白押しです。その中でも、次期FRB議長を巡る動きが特に注目され、金融市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、アップル社の決算発表も注視したいところです。なお、11月3日(金)の日本株式市場は祝日で休場になります。

今週予定されている株式市場にインパクトを与えそうな主な予定は以下の通りです。

  • 10月30~31日:日銀金融政策決定会合(日本)
  • 10月31~11月1日:FOMC(米国)
  • 11月1日:特別国会召集(日本)
  • 11月2日:GPIFの7-9月期運用報告(日本)
  • 11月2日:アップル社の決算発表(米国)
  • 11月3日:雇用統計発表(10月分、米国)
  • 11月3日:トランプ大統領がアジア歴訪へ(米国)
  • 11月4日:トランプ大統領が来日(日本)

日程は現地時間。現時点での予定のため、変更になる可能性あり。

次期FRB議長の人事次第で金融市場が大きく変動する可能性

今週は政治・経済・金融の広範囲にわたって、久しぶりにイベントが目白押しとなります。すべてが相応に重要なものとなりますが、その中でも、次期FRB議長の人事が最大の注目点と言えましょう。現在のイエレン議長の後任人事に関して、トランプ大統領は11月3日からのアジア歴訪前に固める意向を示しています。

その次期議長がタカ派寄り(利上げがさらに加速)なのか、ハト派寄り(利上げペースが減速)なのかで金融市場、とりわけ、為替相場に大きな影響を与えるでしょう。そして、為替相場の動きは株式市場に直結します。

ただ、この次期議長人事は、トランプ大統領の気分次第で発表されるため、そのタイミングが読めないことがネックです。しかしながら、イエレン議長の任期満了が近づいているため、近々行われることは確かです。

一つのめどとして、今週のアジア歴訪前は要注意と考えられます。

アップル社の決算発表も最近にない高い注目度

その次に重要なイベントが米国アップル社の決算発表です。特に今回は、発売間もない新型iPhone(iPhone8、iPhoneX)の販売動向が大きなカギになるため、通常以上に注目度が高くなるでしょう。

現在、世界最大の時価総額となったアップル社の株価が変動すると、NYダウは言うに及ばず、間接的に他国の株式市場に大きなインパクトを与えるのは周知の事実です。

なお、本来、アップル社の決算内容が反映される11月3日は、日本株式市場が休場であることにも注意が必要です。3連休前に偏ったポジションにしておくことは、リスクが高いかもしれません。

日米の金融政策にサプライズはないと言われるが…

週初に日本(日銀金融政策決定会合)と米国(FOMC)で金融政策会議がありますが、今回は大きな動きがないという見方が支配的です。ただ、過去には、そういう時に限って思わぬサプライズが出てきたこともありますので油断はできません。

また、その結果が平穏無事であっても、週末に発表される雇用統計の内容次第では、金融市場が揺れ動く可能性もあります。

企業決算、トランプ大統領の来日、北朝鮮リスク

こうしたイベントが目白押しの中、やはり、国内で本格化する企業決算発表にも目を向けておく必要があります。今週から自動車など輸出企業の発表が始まりますが、足元の為替相場を踏まえてどのような見通しを出してくるかにも関心が高まりそうです。

最後に、11月4日にトランプ大統領が来日しますが、このタイミングに合わせて北朝鮮の軍事挑発が再開するかにも注意が必要です。いずれにせよ、今週は稀に見るイベント目白押しの週ですから、なかなか相場から目が離せそうにありません。

LIMO編集部