格安電動スクーターを販売したのはスマホケースメーカー

新規参入の電動スクーターブランド、XEAMとは?

著者撮影(以下同)

新たに電動スクーター市場に参入してきたXEAM

東京モーターショー2017(10月28日~11月5日)では、今までになく多くの電気自動車が大手メーカーから出展された。参入障壁が少ないと言われる電気自動車だが、新規参入は少なかったのが逆に目立った。そのなかでも目を引いたのが、福岡にある株式会社MSソリューションズが販売する電動スクーターのXEAM/notte(ジーム/ノッテ)だ。

XEAMはブランド名、notteは電動スクーターの車名だが、「乗って」にひっかけたネーミングがなんともかわいらしい。販売元はスマホケースの販売を行っているメーカーで、飽和状態にあるスマホケース市場から次の一手を考えるべく、中国国内で売れ行きが著しい電動スクーターに目を付けたのだ。

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東京モーターショー2017で登場した格安電動スクーターの実力は

東京モーターショーで登場したnotteは、2017年10月に発売されたばかり。スペックを見ると、まず重要な走行距離は約60km。1回の充電で60kmしか走れないのかと思いがちだが、都市部ではスクーターで片道30km走るシチュエーションはそれほど多くはない。

実際に国内大手2輪メーカーが販売している電動スクーターの倍近い走行距離になることからも、電動スクーターで60kmも走れるというのが、いかに優れているのかがわかるだろう。

バッテリーは着脱式のリチウムイオンバッテリーを採用。搭載時も、取り外し時も家庭用100V電源からACアダプターで簡単に充電ができる。充電時間は10時間とちょっと長くかかるのだが、継ぎ足し充電をすれば充電時間はそれほど気にはならないだろう。

着脱式のリチウムイオンバッテリーは、家庭用電源で充電可能。

 

車両重量は約64kgと、一般的な50ccのスクーターと比べても10kg程度軽く仕上がっており、女性や小柄な方、中高年でも楽に扱える。

電動スクーターは当然電気を使うのだが、経済性で考えると一般的な50ccスクーターが1kmあたり約3.4円かかるのに対して、notteは1km約0.5円と、ガソリンエンジンのスクーターに比べて7分の1程度のランニングコストに抑えることができる。さらに内燃機関を使っていないため、エンジンオイルやプラグ、エアクリーナーの交換は不要となる。

電動スクーターというと、50ccスクーターよりも車両価格が高いのが一般的だった。しかしnotteは50ccスクーターだけでなく、すでに発売されている他社の電動スクーターよりもかなり安い14万7000円(税抜)で販売している。唯一残念なのが補助金の対象となっていない点。これは今後の課題だろう。

カラーはパールホワイト、シルキーピンク、ピュアレッド、ライトブルー、ライトラベンダー、クールブラックの6色だが、全体的に丸みをおびたデザインと女性が好む優しいカラーバリエーションになっていて、こちらでも女性をターゲットにしているのがわかる。ただ、メーカー担当者によると実際の予約販売数は男女比で半々だとのことだ。

シートをあげるとUSBポートがあり、スマホもらくらく充電できる。

 

シート下には半キャップ程度のヘルメットが収納可能。多機能なワイヤレスキーが付属。

 

着脱式のバッテリーはスクーターに装着した状態でも充電可能。

 

世界最大のEV市場で販売国でもある中国のユニットを使用

これだけの性能を兼ね備え、低価格を実現できた理由には、中国製のユニットを使っていることがある。中国製の電動スクーターというとさまざまなものが発売されていて、自転車にペダルを付けたもの、最も安価な鉛電池を使った一応は電動バイクと言えるものまで含まれる。

そのなかでもしっかりとした性能と品質を兼ね備えたものだけを選び、燈火類を日本の保安基準に適合するように変更を加えて発売したのがnotteだったのだ。

中国では自転車大国からエンジン付きスクーターにシフトしたものの、大気汚染から都市部へのエンジン付きスクーターの進入が規制された。電動スクーターは免許がいらない手軽さに加え、中国政府が電動スクーターに補助金を出したことや、街中で気軽に充電できる充電スタンドが整備されたことで爆発的に普及し現在に至っている。

車格で125ccのプロトタイプ「PROTOTYPE X3」は2018年発売予定

PROTOTYPE  X3

 

東京モーターショーの会場では、プロトタイプの「PROTOTYPE X3」も展示された。こちらは125cc扱いとなり、車両重量84kgとnotteより20kgの重量増になるが、フロントフォークは倒立式になり、ブレーキローターも大型を採用するなど、2人乗車に沿った変更が施されている。

notteと同様に燈火類はすべて省電力のLEDを採用していて、よりスパルタンに未来を彷彿させるデザインでまとめられている。走行距離50kmが少しネックになるが、バッテリーは取り外してどこでも充電できると思えば心配はないだろう。発売は2018年を予定しているが、価格は未定。

イギリス、フランスがエンジン車を2040年までに販売禁止する流れから、中国も販売禁止を検討しているなか、スクーターの電動化もさらに進むだろう。既存の50ccスクーターを電動化したものではなく、未来を予感させてくれるようなデザインの電動スクーターをこれからも期待したい。

鈴木 博之

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鈴木 博之

出版社で雑誌の編集者を経験したのちフリーランスとして活動。
現在は自動車雑誌をメインに、オウンドメディアやニュース配信サイトでの記事執筆も行っている、マルチ編集・ライター。