「働き手が足りない」という話を最近よく耳にします。2017年10月31日に厚生労働省から発表された「一般職業紹介状況」の平成29年9月分をみると有効求人倍率(季節調整値)1.52倍という数字が公表されています。また、新規求人倍率(同)は2.26倍となっています。

ところで、そもそも有効求人倍率とは何でしょうか。また、人手が足りていない職業とはどのようなものでしょうか。データをもとに見ていきましょう。

有効求人倍率とはなにか

有効求人倍率とは、厚生労働省が公共職業安定所(いわゆるハローワーク)における求人、求職、就職のデータから求人倍率を算出しているものです。

有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割って算出されます。求人が求職者を超えると、仕事を探す人の数よりも求人数の方が多いということになり、企業は採用に積極的なのだけれども十分に採用ができていないといえるでしょう。

先ほどのデータからは新規求人倍率も2倍を超えていることがわかっていますが、これは新たに仕事を探しはじめた人の数の倍以上の新たな求人があるということで、非常に需要と供給がタイトな状況といえます。

なぜ求人倍率が1倍を超えてくるのか

求人倍率が1倍を超えてくるのには、そもそも人手が不足しているということに加え、採用と応募者のミスマッチが起きているということも考えられます。

採用側は若い世代のアルバイトが欲しいのに、少子化の影響もありなかなか採用できないということなどもあるでしょう。特に大量のアルバイトを管理することで店舗規模を拡大してきた外食チェーン店やコンビニチェーンなどにとって、そうした状況は切実な影響があるのかもしれません。

事業そのものはうまくいっているものの、人手が足りず事業規模を拡大できないという経営者もいるのではないでしょうか。

それではここで、有効求人倍率の水準が高い職業を見ていくことにしましょう。

ランキング第5位:有効求人倍率4.73倍「家庭生活支援サービスの職業」

家庭生活支援サービスの職業の有効求人倍率は4.73倍。新規求人倍率は6.5倍。そもそも求人と求職者数の絶対数がそれほど多くないため、今回の数値だけで語るのは難しいですが、家庭生活支援という産業は働き方が変わってくればさらにニーズも変化してくるでしょう。

ランキング第4位:有効求人倍率5.25倍「医師、薬剤師等」

医師、薬剤師等の有効求人倍率は5.25倍。新規求人倍率は8.67倍となっています。医師や薬剤師不足というのは地域差もあるとは言われますが、全体で見ると求人に対して求職者は不足しているということが言えます。

ランキング第3位:有効求人倍率5.35倍「建設・土木・測量技術者」

建設・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.35倍。新規求人倍率は8.30倍と足元の需給もさらにタイトになっていると言えます。東京オリンピックなども予定されており、インフラの老朽化対策、新規ビル建設などの需要もあるのでしょうか。

ランキング第2位:有効求人倍率7.73倍「保安の職業」

保安の職業も重要性は増すばかりですが、その需要増に対して求職者が少ない職業と言えるでしょう。新規求人倍率も9.25倍もあり、足元のひっ迫感も増しているということが言えます。

ランキング第1位:有効求人倍率はなんと9.62倍!「建設躯体工事の職業」

建設・採掘の職業全体の有効求人倍率は4.15倍ですが、その中でも建設躯体工事の有効求人倍率は9.62倍となっています。加えて新規求人倍率は12.08倍。1人の求職者に対し、12件の求人があるということになります。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。人手が不足している、そして求人が多い産業は、建設、保安、医療、家庭生活支援。いずれも私たちの生活には欠かせない、また重要な産業ばかりですが、今後はこうした人手不足が構造的な問題を抱えているのであれば、ロボットというようなテクノロジーの活用、外国人労働者の有効活用などの議論も必要となってくるでしょう。

LIMO編集部