「起業してしばらくすると、幸い大企業から仕事の問い合わせも来るようになりました。ただ、大企業はさんざんやり取りした挙句、『検討してます』と何度も繰り返し、情報だけ取られるケースが多かったですね。ひどいケースはその後なしのつぶてで移動費や出張費なども自分で持ち出しです。かなわんなぁ、と思いました」

そこで何か気づきはあったのでしょうか。

「それからは大企業だからと単純に信用せず、用心するようになりましたね。対応している間は他の作業も滞ってしまいますし。自分は大企業にしか勤めたことがなかったですが、そこから徹底的にアンチ大企業になりました」

他にはどうでしょうか。

「ベンチャー企業だと知名度がないので、営業には苦労します。メールで営業してもほとんど無視ですね(笑)。環境は異なりますが、駅前でティッシュ配りをしている方のつらさが分かった気がします。なので、最近は積極的にティッシュをもらうようにしています」。

起業してわかったこと

では、起業して得たことは何でしょうか。

「自分のしたいことを優先して人生を生きられるようになりました」

「もちろん、食べていけるだけの仕事をするという前提ですが、嫌な仕事や相性が合わない人、やる意味を見いだせない仕事は断れるようになりました。サラリーマン時代には、それはさすがに選べませんよね。サラリーマンの給与はストレスに対して支払われているんだなと気づきました」

結局、起業してよかったのか

A氏はリストラをきっかけに起業したわけですが、結果的にはよかったのでしょうか。