2017年11月8日に日本証券アナリスト協会で開催された、株式会社ロックオン2017年9月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:株式会社ロックオン 代表取締役社長 岩田進 氏

2017年9月期決算説明会

岩田進氏:おはようございます。株式会社ロックオン代表取締役の岩田です。どうぞよろしくお願いいたします。

今回(2017年9月期)、当社で決算短信をひとまず発表させていただいて、その内訳については未発表ということでありました。売上高が昨対比で6パーセント増というところに対して、利益に関しては大幅減となっておりましたので、その内訳について、しっかりご説明させていただきたいなと思っております。

流れとしては、まず今回の決算概要。そして、我々は中期経営計画を発表しておりますので、そこに対しての進捗。そして最後に(2018年9月期の)業績の見通しという流れで、進めさせていただきます。

2017年9月期通期決算のポイント

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初めに、今回は大きくポイントを3つにまとめさせていただいております。ここがすべて集約されているページになりますので、まずしっかりご説明させていただきたいと思います。

当社は中期経営計画を発表している中で、もともとセグメントが2つございます。1つはマーケティングプラットフォーム事業というものと、もう1つは、 商流プラットフォーム事業と、大きく2セグメントございます。

当社の現在の主力が、マーケティングプラットフォーム事業における「EBiS」という製品になっております。そしてもう1つ、商流プラットフォーム事業の中に「EC-CUBE」という事業があります。商流プラットフォーム事業の中ではもう1つ、受託開発の請負型のビジネスというものもやっておりました。

そういう意味では、セグメントが2つ。マーケティングプラットフォームというマーケティングテクノロジーの、サブスクリプション型のモデルが1つ。もう1つが、商流プラットフォームというECのオープンソースと、受託開発のモデル。大きく、この2セグメント。

事業の内訳としては、大きく3つの事業です。マーケティングテクノロジーのサブスクリプションと、オープンソース。それと請負型のビジネスという、大きく3つをやっているかたちになっておりました。

そんな中、1つ目のEBiSというマーケティングテクノロジーのサブスクリプションモデル。こちらが現在、かなり勢いよく成長してきているなという手応えを感じてきていますので、むしろほかの経営リソースもこちらにシフトさせようということで踏み込んで、3つ目に申し上げました請負型のビジネスモデルを、原則的には撤退しようと。

すべてではないんですが、有効であろうと考えた1事業を除いて、請負型のビジネスに関しては撤退しようということで、ほかの企業、今回出資いたしました株式会社ラジカルオプティという会社に譲渡したということが、この2017年9月期の大きなトピックの1つでございます。

そうすると当然ながら、そこで売上が減少ということにつながってきますので、商流プラットフォームに関しては、大きく減収というかたちになってまいります。当然ながら、減益ということにもつながってくる要因でもございました。

対して、成長産業であるというところのマーケティングテクノロジー。こちらは、サブスクリプションモデルでやっております。ほかにもメディア企業ってたくさんあると思うんですけども、メディア企業であれば、今開発したものを今売るというものなんです。

しかしサブスクリプション型モデルというのは、ご承知のとおり、1回契約すると基本的には数ヶ月~数年単位で継続するというモデルになっております。

当社も3年以上継続するというモデルになっているわけなんですけれども、そうすると一気に獲得することに対して、3年以上かけて回収していくということになってきます。

それであれば、やはり先行投資的にセールスアンドマーケティング領域というのも強化していくことによって、中長期に渡っては回収していくだろうと。

ところが、足元で見ますと、コストはその単年度で全額計上されるわけなんです。とくに採用費なんていうものは、当然ながら満額計上されるわけなんですけれども、そこからの収益は、そこから3年間かけて上がってくるというかたちになってきます。

そういう意味においてはこのモデル、セールスアンドマーケティングを強化するというところも増収の要因ではあるものの、すべての増収をこのタイミングですべてやることはできるわけではありません。

かつ、費用に関しては全額計上されるということにおいて、売上の増加というのも、約6パーセントということで微増ということ。そして利益に関しては大幅減少というような結果になっているというのが、簡単に申し上げた結果でございます。

詳細はこちらにあるとおりなんですけれども、まず1つが、前にも申し上げました選択と集中を進め、マーケティングロボット事業(を加速)。これが、当社で言うマーケティングプラットフォーム事業というセグメントになるわけなんですけれども、そちらの事業を加速しているというのが、大きくは1つ目となります。

ここで行った施策としては、繰り返しにはなるんですけれども、ECの受託発注事業というのを、関連会社に対して業務を移管するということ。ここに当然ながらエンジニアを何名か付けていたんですけれども、その内9名を成長分野である別サービスに対して、シフトさせるというかたちを取っております。

2つ目です。マーケティングロボットの具現化に向けて、開発体制の強化ということです。当社は、あくまでもサブスクリプションモデルで成長していきたいと考えていますので、ここに対しての積極的な開発強化ということを、引き続き行ってきたということになります。

前期で見ますと、56人の従業員体制が現在64名ということで、こちらも20パーセント以上増加しているという状況でございます。

そして3つ目です。積極的投資のために、営業体制(を強化したということ)です。セールスマーケと呼んでいるんですけれども、営業を行うということと、加えてリードを獲得していく宣伝広告に関わる領域です。こちらの体制を強化していくということで、こちらに関しては(前期の)14名から25名ということで、倍増近い増員を行っております。

もちろん、ここから売上につながってこないといけないということなんですけれども、このあたりのお話は、後ほどご説明させていただきます。

そして2つ目のポイントとしては、売上高が前年比106.6パーセントということです。通期で見た場合の増加はほぼ微増という状況ではあるものの、内訳で見ますと、マーケティングプラットフォームに関しては前年比116.8パーセントということで、増収となっております。

対して、請負型のビジネスを撤退した商流プラットフォームに関しては、前年比86.3パーセントということで、当然ながら減収となっております。

そして3つ目です。営業利益は前年比37.4パーセントということで、これも先ほどから申し上げている、業務の移管と成長産業であるマーケティングプラットフォームへの投資が、影響しているということです。業務移管による粗利の減少と、事業再編による短期的な人件費の増加というところは、直近ダイレクトにヒットしているというところでございます。

もう1つが、成長加速のための積極的な人員採用。後ほど人員の増加ペースについてもご説明させていただきますが、現在、かなり積極的な増員を行っているという状況でございます。

2017年9月期通期 業績サマリー

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結果としては、こちらにあるとおりなんですけども、業績のサマリーはこのとおりとなっております。

全社としては、売上高が17億1,900万円ということで、昨対106.6パーセント。営業利益に関しては9,200万円ということで、前年比37.4パーセントとなっております。

その内訳が下のとおりなんですが、マーケティングプラットフォーム事業が(売上高は)12億5,400万円ということで、昨対比116.8パーセント。営業利益に関しては1億5,200万円ということで、72.8パーセントとなっております。

やや業務を縮小しております商流プラットフォームに関して言うと、売上高が4億6,400万円ということで、昨対比86.3パーセント。営業利益に関して言うと、マイナス6,000万円の赤字となっております。ちなみに、昨年は3,800万円の黒字という状況でございました。

四半期売上高の推移

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こちらが、四半期の売上高の推移となっております。

ご覧のとおりなんですが、オレンジがマーケティングプラットフォーム事業、ブルーが商流プラットフォーム事業となっております。

全体で見ますと、とくに前年の第4四半期と今回の第4四半期を見ていただければ、もうその成長のペースもわかりやすいかなと思います。2016年の第4四半期と2017年の第4四半期を比較いたしますと、マーケティングプラットフォームに関しては8.5パーセント増。商流プラットフォームに関しては24.3パーセント減となっております。

四半期営業利益の推移

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利益に関しては、次のページでございます。

これも同様に、前年同期比でマーケティングプラットフォームが80.8パーセント減。これは積極投資による影響ということです。商流プラットフォームに関しましては、900万円の利益というかたちにはなっているんですけれども、今回はマイナス3,800万円となっております。全体とすると、前年(2016年)の第4四半期の利益が8,600万円だったことに対して、今回はこのような着地となっております。

連結営業利益の変動要因

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続いて、連結の営業利益の要因分析ということです。資料の左から右にかけて、さまざまな要因をブレイクダウンしております。

前年(2016年)の1年間を通した通期営業利益が2億4,700万円でございました。そこから、このマーケティングプラットフォームの売上増が1億8,000万円。商流プラットフォームの売上減が7,300万円。その他開発人員の増加。またソフトウェアの資産計上を行っておりますので、その一部資産計上の結果、資産は増加となっております。

そして販管費です。人員増ということで増えております。その他広告宣伝等々がいくつかかさんで、9,200万円の利益ということで着地しております。

以上が今回の決算概要となるわけなんですけれども、ポイントとしては我々の今期、また2017年9月期の会社の成長における立ち位置。位置づけとしては、中計の2020年(の売上高)30億円に対して、積極的に今こそ踏み込むべきであろうと考えております。

不採算というか、今後の成長を見込みづらい一部の請負型のビジネスに関しては撤退していこうというような、思い切った経営の舵取りを行っているようなベースでございます。

中期経営方針

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そういう意味では、短期的な今の売上と利益というところを見ていただくというよりも、中計に対しての業績の進捗というところ・形成的なところも含めて、ぜひご説明させていただきたいと考えております。

中計の進捗状況というところです。申し上げましたとおり、中計といたしましては2020年9月期、今(2017年)から3年なんですけども、売上高30億円。今は17億円ですが、売上高30億円ということを掲げて、全社一丸となってがんばっております。

やはり、こういうクラウドのマーケティングテクノロジーのサービスというものも、今もたくさんサービスがあるんですけども、広告主のお客さま視点で(見る)。広告を出稿するお客さま視点で見ると、今たくさんのテクノロジーサービスが存在しているということは、やはり不便にもつながっているのかと思いますので、今後こういったサービスがどんどん集約されている時代になってくるだろうなと思っています。

他の、アメリカの大手クラウドビジネスもたくさん、Salesforceを筆頭にあるわけなんですけども、領域をどんどん拡大していっております。買収戦略でそのエリアというのを拡大しておりますし、他の会社も同様に、自ら成長した独自の領域というところから、どんどん横に広げていくということを行っております。

それはつまり、お客さま視点です。つまりリードを獲得したり、これからテクノロジーによって営業活動を効率化したりしたいといった企業のマーケティングを支援していくテクノロジーです。

そこで考えると、やはりさまざまなテクノロジーが分散していって、使う側がアレンジして使うというよりは、やはりテクノロジー側でそれを一気通貫・ワンストップで使えるというもののほうが、やはり非常に使い勝手がいいということにもなると思います。

企業サイドからしても、当然ながら収益の向上ということにもつながりますし、またこういったソフトウェアの提供形態がパッケージ型から、こういう月額料金でいただくというモデルに変わっております。そうすると、勝ち組がますます勝つというような状況になるビジネスモデルかと思っています。

つまり、ある程度一定の顧客を獲得できれば、当然ながらその開発に対しての投資(が増える)。セールスマーケに対しての投資額もどんどん上がるわけですから、当然いいサービスができあがる、良い提案活動ができると。

そうすると当然、新顧客の獲得というのもどんどん進んでいって、ますます売上高が上がって、そしてお客さまに対して提供する開発力の向上にもつながってくるわけです。

そうすると、やはり我々としても、今現在は(売上高が)17億円程度あるわけなんですけども、早いタイミングで30億円というところは、1つクリアしていく。

当然ながら、ここから開発投資というのは、我々の場合約20パーセント強なんですけれども、(売上高の)17億円の20パーセントで言うと、当然ながら数億円というところです。それが倍増すると開発力も倍増するということで、当然ながら市場の存在感も上がるということになってきます。

まずは、この2020年9月期の30億円を必達させるということが、この当社の事業戦略上もっとも重要なことだと思っておりますので、ここに向けて全力で取り組んでいくということを考えております。これが2020年30億円に向けた、国内にて成長基盤を固めると申し上げているところなんですけれども、国内の開発、販売体制の拡充。

そして、付加価値の高いソフトウェアサービス。マーケティングロボットと呼んでいますけれども、そこの具現化ということを行ってまいります。

そこから先は、やはりソフトウェアですので、国内にとどまらず海外でも売っていくことができると。とくに日本のマーケティングというのは、世界的に見てもかなり成熟・高度化していると言われております。ここで育まれたソフトウェアというのを、他の国に持っていくことによって販売していくことができるのではないのかなと思っております。

とくに我々は、お客さまのコンサルティングビジネスというのをやっている会社ではなくて、あくまでもソフトウェアを提供している会社です。一部当然、コンサルティング企業と一緒にやっていくことというのも、たくさんあるわけなんですけれども。このソフトウェアを各国の現地のコンサルティング企業と組むことによって、各国でも販売していくということは、十分に可能なビジネスモデルなのかなと考えております。

これからもコンサル事業とか広告代理事業みたいな、そういったところをやっていけば、売上高の成長というのは当然、比較的短期に見込めるのかなと思うんです。

ただ、我々のビジョンで考えると、あくまでもソフトウェアを開発する会社でありたいと。サービスの領域に関しては、他の企業と提携しながらやっていくこと。それによって、グローバルに一歩でも近づくということを考えて、今も取り組んでおります。

2020年売上30億に向けた戦略マップ

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もう少しブレイクダウンしたのが、その次のページ。2020年売上高30億円に向けた戦略マップということなんですけれども、大きく2つの柱で考えております。

上が(マーケティングロボット重点)開発。下がセールスマーケということです。当然ソフトウェアのメーカーという立ち位置ですから、作って売ると。簡単に言うと、そういったことをやっている会社でございます。

やはり、まずは物が作られなければ、当然ながら売る物もない。売りに行っても、他の会社と競争してあまり導入率も進まないと。決定率も低いし、当然ながら1人あたりの生産性が低いということになるわけなんですけれども、そういう意味では、まずしっかり物を作りましょうということが、1つです。

その中でも大きく3つに分けているわけなんですけれども、1つがAIを活用したビッグデータの解析、他サービスとの連携に積極投資と謳っております。これは、各社が言うようなテーマ。「AI」であったり、「ビッグデータ」というテーマであったりはするんですけれども、ここにおいて重要なことは、まずビッグデータがあるかないかというところ。これが極めて重要なテーマになります。

他にも、AIを掲げる会社は、アメリカの会社・日本の会社とたくさんあるんですけれども、やはりAI自体はかなり競争関係は厳しくなってきていて、それだけでは差別化はできない。

昨今、IBMが「オプションを無償で提供します」といったアナウンスも出されてましたけど、やはりデータがなければAIがあっても、なにも動かないというような状況になってきます。そのため、まずは他にないデータをいかに投入するかというところが、もっとも重要なこれからの肝になってくると考えております。

そういう意味で、当社においては効果測定サービスを14年にわたって提供してきているわけですから、マーケティングにおける効果のデータを、国内最大級に保有しているということが言える状況になっております。当然ながら言い換えると、国内トップレベルのデータを保有している・扱える状況になっているというところで、かなりの競争優位性なのかと思っております。

そこに対して、AI。これは独自で開発するものもあるんですが、基本的には他社と連携を進めていきながら、必要なAI・お客さまの好みのAIというのも、このデータの上で走らせていくということを行っていくべきなのかなと思っております。

そういったアライアンス活動を今もすでに進めているんですけども、こういったところに対しても積極投資していくというのが、1つ目となります。

2つ目がノンコアということで、先ほどから申し上げております請負型のビジネスです。これに関しては、このタイミングで切り離そうということで、売上がこの分単純に減少するということになるわけなんですけれども、ここは思い切って踏み込んでいこうということで、進めております。

そして3つ目です。開発人員の増加ということで、やはり戦略的に取り組みのでも、人員というのは当然ながら必要ですし、優秀なエンジニアをたくさんこの中に入れていくと。あるいは、外部と提携して一緒に働いていただける方を募っていくというところが、基礎的なところではもっとも重要だと考えておりますので、こういったことも重要なテーマとして掲げております。

次に、セールスマーケ領域です。ここは、まずマーケティング体制の拡充。そして、単純にこちらも人員の増というところと、やはり戦略的に動いていかないといけないので、エキスパート人材(による組織の高度化)。

大手クライアントとのアライアンスであったり、我々には300社以上の代理店がいるわけなんですけども、そういった代理店とよりwin-winな関係を築くためのパートナー制度の構築であったりとか、まずそういったさまざまな取り組みを行う、エキスパート人材の拡充というところも進めております。

そして、人員増です。新規獲得・既存のリレーション、これが実は大事なんですけども、既存のリレーションシップ強化のための人員増というところも進めております。

マーケティング ロボット 重点開発テーマ

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それぞれについても、少しくわしくご説明させていただきます。

まず、もっとも重要なマーケティングロボットの重点開発テーマということで、「マーケティングロボットとは一体なんなんだ?」「どういったことをやってくれるんだ?」というような話にもなってくるんですけども。マーケティング活動は今、非常に複雑化しています。

ご存じのとおり、テレビからインターネットに消費者行動が移って、そうしたときにチャンネル数が無限にあるわけです。企業からしたら、どこにどういうメッセージを届ければお客さまに届くのかというところは、極めて難しい問題になってきております。

一方、提供サイドでみても、そもそも採用が難しいと。長時間労働が認められないというような時代になってきておりますので、提供サイドも人が減って、お客さまサイドも人が減って、間のメディアは非常に複雑化している。このマーケティング活動を行う上においては、こういう三重苦みたいな状況になっております。

そういったことを解消するのは、やはりテクノロジーが必要になってくるだろうということで、我々はこのコミュニケーションをテクノロジーによって効率化・円滑化していくということを、事業のミッションとして掲げております。

それを行うために何をしないといけないのかと言いますと、単純にまずは、相手のことをわからないと、当然ながら適切なメッセージを届けることができないということになってきます。

ついては、まず効果測定と当社は呼んでいますが、ここでは「センサ」とも呼んでおります。まずは相手の状況を正しく把握するということをセンシング、センサと呼んでおりまして、ここは我々がもともとやっていた効果測定が、強みとしてあるということです。

ここはまず、センサの売れ行き。マーケティングの効率化・自動化におけるデータ取得。センサの領域においては、我々はかなり優位なポジションを取っていると思っております。

ここを1つの軸にした上で、そのデータを分析する2つ目の層としては、知能制御系ということでAI等があるわけなんですけれども、これをのせていくと。

次に、どういう人にどういうコミュニケーションを取っていけばいいのかということがわかってきますので、その上で駆動系と呼んでいますけども、さまざまな顧客設定に対して、リアルタイムで最適な情報をお届けするというようなサービスを提供していくことになります。

マーケティング ロボット 開発の進捗

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今はその3層の中で、すでにさまざまな連携を進めておりまして、それがこのページです。

やはり、単独で開発できること・単独ではなかなか開発できないことの、大きく2つに分かれます。1層目のセンサという領域は、もともと我々が強みに持っております効果測定です。「可視化」という領域なんですけれども、ここに関しては原則的に、できるだけ当社で開発していこうと考えております。

そこで、この直近に関した内容としては、リスティング連携、あるいはスマートTV。最近はテレビもインターネットにつながっておりますので、そういったテレビでの動向とか、インターネットでの視聴動向というところも合わせていくような、スマートTVの連携であったり、その他タグの回収であったりと、そういったことをここでは行っております。

そこから、その上のAI、あるいは駆動系というところに関しては、外部と積極的に連携していくべきであろうと考えております。というのも、ここに関してはお客さまのニーズに合わせて、無限に活用の仕方がある。

例えばAIなんですけれども、どのAIを使いたいかというのは、ユーザーの好みみたいなところもあります。

そのため、そういったところに関しては、当社が単独で提供して「これを使ってください」と言うよりは、「我々はここにデータを用意していて、他のAIともつながる状態になっておりますよ」「続いて、どれかを使うということはお客さまサイドで選んでください」という姿勢のほうが、お客さまのメリットも大きいのではないかと考えておりますので、ここに関しては積極的に連携させていくと。

その3層目の駆動系も同様で、もう我々は単独で、このサービスをつなぎ込みますと。開発を一つひとつやっていくというよりは、「このDSPを使いたい」「このメディアに対して配信したい」ということが、さまざまなお客さまのニーズでありますし、すでにシステムが入っている状況もたくさんあります。

そういったところと我々のサービスをつなぐことによって、すでにデータを活用した、より高度なマーケティング活動ができる状況をつくるべきなのかなと思っております。

これを見ると、まさにプラットフォームという印象をいただけるかなと思います。WindowsとかiOSとかさまざまなOS、あるいは言い換えるとプラットフォームですけれども。

そういったものは、ベースの部分をプラットフォーマーが持って、その上のアプリケーションやソフトウェアに関しては、アライアンスによって相互に補完関係を築いていくということが、たくさんあるわけなんです。

まさに、当社においてもマーケティングのOSのような世界観で、基礎的なところは用意し、その上のアプリケーションは各社と連携して開発していくことによって、より安価にパーソナライズさせたマーケティング活動を、支援していくことができるのではないかと考えております。

こういったいろいろな案を見ると、「最近各社が出している、DMPと状況が近いんじゃないか?」という見方もするかとは思うんですけれども、大きく違うところがあります。

我々はもともとこういった効果測定としての十数年、2004年からサービスを提供しているわけなんですけれども。(2004年から20017年までの)13年にわたって効果測定の領域では活動してきておりますし、この領域で国内トップシェアという状況になっております。

そういう意味では、ほかのDMPだと「最適化するためのデータをとりましょう」というところからスタートしなければいけないわけなんですが、我々の場合だと、「もうすでにデータはここに存在しております」「他との接続もある程度できております」ということになります。

そうすると、もうすでに効果測定をするためのデータがもうそこにあったと。追加コストなく、他に対しての利活用を進めていくことができると。

それが月額で数万円、(2017年11月)現在は約80,000円が平均単価ですけれども、それぐらいの価格でこういったプラットフォームが使えるというところが、かなりの競争優位性になっているのかなと思っております。

ノンコア事業を再編、エンジニアをコア事業にシフト

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次にまいりまして、ノンコア事業の再編、エンジニアをコア事業にシフトということです。

冒頭から繰り返し申し上げているとおり、商流プラットフォーム事業の中にEC CUBEと「SOLUTION」という事業がありましたが、こちらのSOLUTION事業をラジカルオプティへということで、今期中に20パーセント出資した会社に移管するというかたちをとっております。

規模感としては、ECの請負型ビジネスは売上高が2億5,000万円ほどございましたので、これをまるまるラジカルオプティという会社に移管するというかたちになっております。そういう意味では、昨年(2016年)の16億円強の売上の中には、この2億5,000万円があったわけなんですけれども、今期(2017年)は段階的に縮小して、来期(2018年)からはこの数字が完全になくなってくる状況になります。

成長加速のための人員採用進捗

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やはり我々がやるべきこととしては、積極的に開発・積極的に売るというところなんですけれども、その中での人員増というところが、こちらの棒グラフで示したとおりとなります。

上場させていただいた2014年は、人員数が68名というところではございましたけれども、そこから今期末、この(2017年)9月末の時点では122名ということで、かなり大きく増員している状況でございます。

東京本社を設置、二本社制に移行

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それにともない、東京オフィスを移転しておりまして、マーケティング&セールスの拠点としてはかなり拡充しているところになります。

そして、やはり今後も国内マーケットとしては東京のマーケットが中心になってくるというところで、より我々としてはこの拠点を拡充させていくために、従来大阪本社でスタートした会社なんですけれども、東京本社・大阪本社ということで二本社制という体制をとって、今後事業を加速させていくという判断も行っております。

マーケティング&セールス強化の進捗

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1点、マーケティング&セールス領域を拡充していきますということが、この1年ほど常に申し上げてきたところではあります。資料の下なんですけれども、各費用項目としてマーケティング&セールス・開発・カスタマーサポート・その他間接費と大きく4つに分解した際に、マーケティング&セールスに関して言うと、2015年9月期の時点では23パーセントという状況でございました。

これは、海外のソフトウェアをクラウドで提供していくというビジネスモデルの中では、極めて低い。完全に、飽和した会社と同水準になっておりました。

(そこで)上のグラフなんですけども、こういったビジネスは、最初の1年ほどは顧客獲得にかけるコストをまだ回収できていない状況になるんですが、そこからさらに2、3年かけてその分を回収していくといったビジネスモデルになります。

そのため単年度で見ていくというよりも、一定の水準のもと獲得できているのであれば、短期的な損益というよりも、今は踏み込んでマーケティング&セールスに注力すべきであろうと考えております。

(資料のさらに)上なんですけれども、平均的に見ても、対売上比率で見て35パーセント程度というところは、大いにあり得るんじゃないかと。

Salesforceなんていうのは、売上が1年で7,000億円から1兆円ということで、かなり今の規模でも成長している企業なんですけれども。そういった、他のサブスクリプション型モデル。Salesforce以外のたくさんのクラウドのソフトウェアビジネスはあるわけなんですが、そういったところを見ていくと、売上に対して50パーセント程度をマーケティング&セールスにかけている会社も、まったく少なくないという状況でございます。

とはいえ、我々がいきなり(対売上比率を)23パーセントから50パーセントを目指すというところに関して言うと、当然のことながらマネジメントも大きく変わってきますし、あまりにも性急であろうというところもあります。

今のところ30パーセントを目指すということでこの1年間動いてきておりますけれども、(2017年9月)現在29パーセントということで、かなり体制としてもできてきているのかなと思っております。

そういった意味で、今後期中に大きく増やしたマーケティング&セールス人員が、売上の増につながってくる。今期で言うと百十数パーセント増にとどまっておりますけれども、ストックでどんどん積み上がってくるわけですから、来年・再来年で見ますと、さらに売上高の成長率は上がってくるかどうかというところです。ここが、極めて重要なポイントになります。

アドエビスの売上構成

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ただ、2、3年後というところだとなかなか判断も難しいと思うんですけれども、そこを先行的に見ていく指標としては、「売上=アカウント数×平均単価」。

我々のビジネスモデルは極めてシンプルなんですが、アカウント数と平均単価というところをご覧いただければ、これから数年後、1年と言わず2年、3年というスパンでしっかりストックが積み上がってくるだろうということが、短期的にも確認できる指標になってくるかなと思っておりますので、こちらを開示させていただいております。

アドエビスのアクティブアカウント数推移

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こちらが、アクティブアカウント数の推移となっております。2013年から出しているわけなんですけれども、当時からのアカウント数の推移をこちらに示しております。もともと契約していただいているアカウント数に新規の分を足して、当然一定の解約は存在しますので、それを引いたものがアクティブアカウント数となっております。

どうしても規模が徐々に大きくなってくると、解約は一定パーセントで出てきますので、新規を獲っても拮抗してくるというところが、このビジネスの飽和してきたタイミングになります。しかし我々の場合は、まだまだ新規が解約を圧倒的に上回っていて、このように大きく伸長させることができたのかなと思っております。

とくにこの期中に増員したマーケティング&セールスの人員とそこに対しての投資の効果が、この第4四半期あたりでは確実な手応えとして感じておりまして、これまで以上の成長ペースを描いているのかなと思っております。

昨年2016年第4四半期があって、その後2017年度第1四半期以降、四半期ごとに少しずつ成長していたわけです。とくに、この第3四半期から第4四半期あたりにかけては50件ということで、これまで以上の増加ペースとなっているというところは、この数字からも見ていただけるのかなと思っております。

アドエビスの平均単価推移

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もう1つ、平均単価です。

先ほど(のご説明のとおり)アクティブアカウント数×平均単価が四半期の売上ということになるわけです。アカウントに対しての月額単価を、先ほど千数百円と申し上げましたが、そういった企業さまから月次でいただく対価が、現在79,952円となっております。

これも、第4四半期で比較しても若干増というところではあるんですが、昨年(2016年)の第4四半期に値上げということで、一部価格改定を行っております。(グラフの)ピンクのところなんですけれども、その前の第3四半期と比べると69,445円から76,941円ということで、7,000円ほど価格改定の効果がありました。

当然ながら、サービスの競争力がなければ、価格改定をしたと同時に解約が続発するということになるわけなんですけれども、幸い我々はさまざまなサービスの強化にともなって、解約はほぼ防ぐことができております。

ここで得た収益を開発に回すことができ、さらにそこからオプション・サービス向上というところで、この第4四半期においては過去最高になる79,952円ということで、平均単価が上がってきております。

この平均単価が、極めて重要です。1社あたり10,000円とか変わってくると、×千数百のインパクトが月次で発生するわけですから、そういう意味では平均単価を上げていく取り組みも、併せてやっていかなければいけない。

平均単価を上げるためには、価格改定も過去の1つの施策としてあるんですけれども、やはり基本的には付加価値を向上させていって、より満足度の高いサービスを行っていく。低価格ラインとは別に、ハイエンドのエンタープライズサービスも提供していくことなどによって、平均単価をまだまだ上げていくことはできるのかなと考えております。

そういう意味では、さまざまな投資活動を行ってきた結果、今申し上げた2つ、アクティブアカウント数と平均単価という足元の数字には、反映してきていると。ただ、通期をとくに全社で見ると、約106パーセントとなっているということもご理解いただけるかなと思っております。

2018年9月期の業績見通しと配当について

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最後に、業績の見通しです。今期も、期初においてはなかなか数字も読みづらいところがございますので、業績見通しは非開示とさせていただいております。ご了承のほどをお願いいたします。

また、配当に関しては、昨年までは期初のタイミングで開示となっていたわけなんですけれども、これもやはり業績自体がまだまだ不透明であると。1年間の業績はなかなか読みづらいという状況で、非開示とさせていただいておりましたので、今期からは配当に関しても、期初のタイミングでは非開示とさせていただいております。ご了承のほどをよろしくお願いいたします。

以上で、当社2017年9月期本決算の決算説明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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