相場と登山の共通点、立ち止まって考える勇気が生死を分ける

単独登山者と個人トレーダーが心すべきこと

登山とトレードは案外共通点が多く存在しています。特に単独登山の場合、全てが自己責任となるため、リスクに対する考え方もシビアにならざるを得ません。

危険な目に遭って気づいてから心がけているのが、“あれ?”と思ったら立ち止まって考える時間を作ること。決めたことを続けたい人間心理からすると、これを実行するハードルは思った以上に高いのですが、決定的な危機に陥るリスクを避けることができます。

“だから登山と相場はやめられない”と思った危ない瞬間

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登山好きの筆者はかつて強烈に、だから山とトレードはやめられない、と感じたことがあります。それは山でルートを間違えて、別のルートを行くか、今来たルートを戻るかの決断を迫られた時。単独登山だったので、全て自己責任でした。

3泊4日の北アルプス。難所と言われる別ルートを行くのか、それともまた急な坂道を登るのか。シビれる決断を迫られ、逆説的に、だから山はやめられない、と思ったのです。そしてこのシビれる決断はトレードと一緒だと気づくに至りました。

結局、行ったことのない別ルートに対する好奇心が勝り、難所とはいえ地図に掲載されている別ルートを行くことに。沢渡りの連続に難所の意味を思い知らされましたが、無事に目的地に着いてホッとしたものでした。

立ち止まって考える機会を作ればそんなことにはならなかった

こうして登山の面白さを逆説的に再認識したわけですが、登山家としては完全にNGです。このルートは違うという確信に至る前、実は自分の中でアラートが鳴る場面は何回かありました。

ただし雨が降っていたのと、方向は正しかったので、そのまま進んでいたら完全に違うルートを進むことに。途中で立ち止まってジックリ地図とコンパスを見ておけば、やってしまった…と思うことはなかったのです。

登山に限りませんが、人間は一度決めて動き出した後に立ち止まって考えるのは、相当苦手な生き物なように思えます。目の前のことに集中している時に“待てよ”と考える時間を作るのは、思った以上にハードルの高い行為です。

しかし、“何かおかしいな”と思ったら立ち止まる勇気を持つのは、登山もトレードも共通しているのではないでしょうか。

自らの判断やポジションに固執してはいけない

登山の場合、地図やコンパスといった絶対的に正しい指標が存在しています。その絶対的な存在があっても、道に迷ったり遭難するケースが発生します。

一方で、株も為替も先物も、いわゆる相場には絶対的に正しい指標は存在しません。

登山の場合、正しい指標に従ったはずとは思っても、自分の間違った判断に固執すれば最悪遭難します。そしてトレードの場合、絶対的に正しい指標がない中、自らの間違った判断に固執すれば、投資資金がゼロになる可能性があります。

いずれも、自らの判断に固執すると痛い目を見るリスクが非常に高くなると言えるでしょう。最初は誰しも正しいと思い下した判断ですが、状況は常に変化します。

その変化した状況で、“あれ?”と思ったら立ち止まって考える時間を作ることは非常に重要です。そして自らの判断に固執することなく、間違いは間違いと認める勇気も大切。

「立ち止まって考える+間違いを間違いとして認める」という、誰しもがやりたいと思わないことを、登山やトレードでは致命的な状況に陥らないために行う必要があります。

トレードで勝てない場合、ポジションを持った後で立ち止まって考える機会を作ると、浅い損切が続くことになる場合もありますが、大きく負けることは少なくなります。

まとめ

単独登山と個人トレーダー、両者とも完全な自己責任の世界です。周囲に意見を求めることはできますが、最後は自らの責任で判断を下さなければなりません。

登山でも、人気のある山でなければ人に会うことは少ないため、決断は一人で下す必要があります。また、株でもFXでも、個人投資家はツイッターなどの意見は参考にできますが、もちろん他人に責任は取ってもらえません。

そんな中、個人が取れる身を守る手段として、立ち止まって考えることは想像以上に重要であり、効果を発揮します。登山やトレードに限りませんが、“あれ?”と思うようなことがあれば、一度立ち止まって考える時間を作るようにしてはいかがでしょうか。

市場 夏知

ニュースレター

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証券系投資会社を経て独立。株式市場分析、為替市場分析を得意とするが、為替市場の相対的な値動きに魅了され、現在は主にFXトレードを手掛けている。投資会社時代に培った分析力とレポーティング力を活かし、ライター業にも携わり複数媒体に寄稿中。
金融や企業分析を始めビジネス系のライティングを得意とするが、登山や食べ歩きが趣味でグルメ記事等の柔らか系の記事も執筆している。