東芝は2017年11月19日開催の取締役会において、第三者割当増資を決議し、約6,000億円の新株発行による資金調達を決めた。新株式1株当りの発行価格は262.8円となり、17日終値と比較して10%安い価格となる。

調達資金の用途とは

調達した資金は、ウェスチングハウス(WEC)の米国における原子力発電所建設プロジェクトに関する親会社保証(東芝はWECの親会社)の「一括返済」に充てる予定となっている。WECに対しては今回負担した金額の弁済を求めることができる求償権も取得できることとなる。

また、東芝は求償権を含む債権とともにWEC関連の保有株式を第三者に譲渡することも予定。WEC譲渡後は、メモリ事業売却後の新体制に作りに向けてリソースの再配分を行う模様。

東芝は、求償権を含む債権とWEC関連の保有株式の譲渡が2018年3月末までに完了すれば、メモリ事業に関連する税額影響を軽減することとなり、少なくとも約2,400億円の追加的な資本増強に寄与するコメントしている。

今回の第三者割当増資及び税額影響が軽減されれば、2018年3月末時点で約7,500億円の債務超過状態が解消される見込みとなり、東芝の上場廃止も回避される見通し。

今回のアクション語は、社会インフラを核にエネルギー、電子デバイス、デジタルソリューションの4つの事業領域に注力する予定。

増資の影響は?

第三者割当増資前で東芝の発行済株式総数は2017年9月末で約42億株。今回の第三者割当増資では約23億株を発行予定。

既存株主からみれば、今後収益が出た際の一株当たりの利益が希薄化することとなるが、一方でこれまで原発の保証問題や上場廃止リスクを抱えてきた投資家からすればこれらの問題を回避できること継続性にとってはポジティブといえる内容。

一方で、新生東芝にとっての将来の収益をけん引する事業が何かという検討と、東芝メモリ株式売却後に東芝がどこまでメモリ事業をファンドや事業法人といった出資者などを管理しながら運営できるかに注目が集まろう。

青山 諭志