秋に入り値動きが停滞していた為替市場にようやく動きが見られた先週。ドル/円は114円台の壁を破れず下落し、ユーロ/ドルは押し目を付けて上昇しています。今週は木曜日に感謝祭を控え、年末相場入り目前です。実質的には前半戦のみとの考えで市場に臨む週となります。

先週の為替市場振り返り

大きなイベントがなく、また日米ともに株式市場の上昇が一段落した先週、為替市場は久しぶりに明確なトレンドが生じる値動きを見せました。

株式市場の上昇を背景に、5月以降の天井となっていた114円台をブレイクする期待感もあったドル/円は、今回も114円台の天井に跳ね返さる形で先週は下落が続きました。17日深夜には一時111円台に突入する場面もありましたが、最終的には112円台を回復して取引を終えています。

一方、ユーロ/ドルは14日発表のドイツ7-9月期GDP速報値が市場予想を上回る数字となり、一気にユーロが買われる展開に。年初からの上昇の後、9月以降下落の続いていたユーロ/ドルですが、先週の上昇によりチャート的には押し目を入れる形となりました。

秋に入り、値動きが乏しい状況が続いた為替市場ですが、先週はドル/円、ユーロ/ドルともにトレンドが発生し、また反転することもなかったため、トレードしやすい週であったと言えるでしょう。

ドル/円の過去6カ月間の推移

遂に下落した日経平均

10月の総選挙実施発表、そして11月の総選挙後もひたすら上昇を続け、先進国ではトップパフォーマンスであった日本の株式市場ですが、遂に上昇が止まりました。

先週は6営業日続けての下落となり、明らかにこれまでの相場とは異なる状況になりつつあります。まだ11月下旬が残りますが、日経平均の月足チャートは上ヒゲの長いローソク足を形成しつつあり、相場の反転を示唆するパターンとなっています。

10~11月の日経平均の上昇にほとんど反応することなく114円台で跳ね返されてしまったドル/円ですが、先週は日経平均の下落に相関するようにドル/円も下落。上がるべきところで上がらず、下がるところで下がるという、相場の理不尽さを感じさせる日経平均とドル/円の値動きとなっています。

なお、米国市場はダウ平均を中心にまだ高値付近を維持しています。しかしながらリスク指標のVIX指数が上昇しつつあるため、これまでの強気一辺倒の相場から変化が生じつつあります。

今週の為替市場見通し

今週は、22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の11月議事要旨公表が予定されています。また、23日は日本では勤労感謝の日、米国では感謝祭(サンクスギビングデー)で休場となります。感謝祭以降、欧米は年末モードに突入するため、23日以降は5連休となる市場関係者も多くなります。よって今週の金融市場は実質的に前半戦のみと考えていいでしょう。

個別通貨ペアでは、ドル/円の下落が止まるのか、さらに下落が続き110円台を目指す値動きとなるのかが見どころです。4月以降、若干の行き過ぎが生じるケースはあるものの、ドル/円は概ね110-114円台でレンジ相場を形成しています。よって114円台の上方ブレイクに失敗したドル/円が110円を目指す値動きとなるのかに注目が集まります。

一方、押し目をつけて上昇の形となったユーロ/ドルは、節目価格かつ直近高値の1.200ドル台を目指す値動きとなるのかが注目点。1.200ドルまで200~300pipsの値幅であり、十分達成可能な値位置にあります。1.200ドル台到達後は、上方ブレイクして再度上昇トレンド入りするのか、それとも反転して1.200ドル台が強い天井として認識されるようになるのかがポイントとなります。

この時期、感謝祭の前にポジションを閉じて、年内のトレードを終了する機関投資家も多く存在します。特に年内勝ち越しているトレーダーから休みに入るため、感謝祭以降は年末独特の不安定な値動きが生じる可能性があるので、今週以降は注意が必要となります。

まとめ

感謝祭時期に年内のトレードを終了する投資家が出てくるため、年によっては12月に一方的な方向に動いたり、V字に相場が動いたりといった不安定な値動きを見せることも多くなります。ドル/円、ユーロ/ドルともに、ようやく値動きを見せ始めましたが、感謝祭までの値動き、そして感謝祭以降の値動きと、両者を分けて考えた上で市場に臨みたいと思います。

石井 僚一