米国は今年のクリスマス商戦もブラックフライデーを皮切りに

今週金曜日、11月24日は米国で恒例の「ブラックフライデー(Black Friday)」です。日本ではまだ馴染みがありませんが、米国では11月第4金曜日(実質的に最終週末)に小売店などで大規模な安売りセールが実施されます。

これがクリスマス商戦の幕開けを告げるイベントとして定着し、多くの消費者が小売店へ買い物に出掛けます、いや、“殺到する”という表現の方が正確でしょう。あくまでもイメージとしてですが、日本で年始に百貨店へ福袋を買いに集まるお客さんの何十倍の規模でしょうか。

また、この日は感謝祭(Thanksgiving Day)の翌日に当たり、人々の消費マインドも通常より寛大になると言われています。

ちなみに、ブラックフライデーは祭日ではありませんが、“準休日”として広く浸透しています。多くの企業が半日勤務、いわゆる“半ドン”となっています。実際、ニューヨーク証券取引所も株式の取引は午後1時で終了となり、多くの証券マンもクリスマスプレゼントなどを買いに走っていくのです。

ブラックフライデーには小売店の収支が一気に改善する?

なお、このブラックフライデーの「ブラック」ですが、これは暗黒を意味するものではありません。

金融市場では、「ブラックマンデー」(1987年10月19日)や「ブラックサースデー」(1929年10月24日)に代表されるように、歴史的な株価暴落を指す“暗黒”として用いられています。

しかし、ブラックフライデーの「ブラック」は小売店の収支が一気に改善して“黒字化”することを意味しています。恐らく、それまでがずっと赤字続きというわけではないと思われますが、大規模な売り上げが計上されるこの日に収益が拡大することは間違いないと言えましょう。

日本ではまだ認知度が低いブラックフライデー

さて、米国では国民的なイベントになったにもかかわらず、日本ではブラックフライデーは全く根付きませんでした。根付かなかったというよりは、実施されなかったという方が正しいでしょう。

理由はわかりませんが、第4金曜日とはいえ11月はまだクリスマス商戦には早いと判断されたのも一因かもしれません。また、11月末ではまだボーナスが支給されていない企業が圧倒的に多いことも理由として挙げられます。

昨年から「日本版ブラックフライデー」を導入したイオン

しかし昨年(2016年)、初の試みとして「日本版ブラックフライデー」を導入したのがイオンでした。その実施規模は、グループの約20,500店舗にて11月25日(金)~27日(日)の3日間行うなど、なかなか力が入った取り組みだったと見ていいでしょう。これは各種メディアの報道等でも盛り上がったと記憶しています。

その効果はどうだったのでしょうか?

日本版ブラックフライデーの効果はまだ手探り状況

イオンの発表した月次資料や決算資料などを見る限り、日本版ブラックフライデーだけによる特筆すべき効果を見つけることはできませんでした。ただ、昨年11月の月次売上報告書を見ると、多くのグループ会社の既存店売り上げはプラスとなっています。また、書き入れ時でもある12月の売上もまずまずの状況だったことが伺えます。

初の試みをこの結果だけで判断することはできませんが、相応の手応えを感じた可能性はあります。

ただ、1月にはその反動が出ているようで、多くの既存店では前年を下回りました。

今年も実施されるイオンの日本版ブラックフライデー

では、今年の日本版ブラックフライデーの予定はどうなのでしょうか?

安心してください、今年も実施されます。今年は11月24日(金)~26日(日)の3日間に加え、11月23日(木)には「イオン ブラックフライデー フライングセールス」という“前夜祭”まで実施されるようです(注:店舗や地域によって異なる)。フライングセールスとは、なかなか嗜好を凝らしている感じがします。

また、今年はイオン以外にも、トイザらス、Gap、貝印などがブラックフライデーを掲げたセールスを行う予定です。また、ブラックフライデーという名称こそ使っていませんが、11月実施の特売セールスをブラックフライデー時期まで延長するような動きも散見されます。

ボーナス商戦に焦点を当てる企業が多いのが実情

一方、イオンの競合相手となるセブン&アイ・ホールディングスは、昨年に続き今年もブラックフライデーを掲げた商戦には背を向けています。例年通り、12月のボーナス商戦に注力するようですが、同じような商戦パターンを取る日本企業が多いのが実情です。

やはり、日本の消費者が財布のひもを緩めるトリガーになるのは賞与(ボーナス)ということなのでしょうか。

今年のブラックフライデーやクリスマス、ボーナス商戦を含む年末のセールス動向に注目してみましょう。

LIMO編集部