〇速でメガ大家さんになるヤバイ方法〜なぜ「1物件1法人スキーム」はブラックなのか

最近は不動産価格が高止まりしているため、「〇億フルローンで一棟買いしました〜」などという、景気の良い話が少なくなってきたような気がします。

2008年頃から、フルローンをバンバン引いて一気に資産を拡大し、メガ大家になる「〇速系」の投資スキームが流行りましたが、そのカラクリは表の顔で投資の王道だといえる手法ではなく、実は、極めてグレーな、もしくはブラックな手法が用いられている(た)のをご存じでしょうか?

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メガ大家さんはみんなやってる? 1物件1法人融資スキーム

その禁断の手法とは「1物件1法人」の融資スキームです。

最近、この禁断の手法はフェイスブックやブログでも話題になってきて、”そろそろ銀行の本格的に調査が入るのでは?” ”そうなったら、このスキームでのし上がったメガ大家さんは一網打尽にされる”、というようなコメントを多く見かけます。いったい、このスキームはどんな方法なのでしょうか?

と、その前に法人化のおさらいをしておきたいと思います。

なぜ、大家さんはみんな個人での投資を続けるのではなく、法人化を考えるのかというと、以下の理由があるからです。

  • 一定以上の収入になると個人よりも法人の税率の方が低くなり、内部留保がしやすくなる(キャッシュフローが良くなる)
  • 個人よりも経費の計上がしやすく、役員の生命保険等などで節税のバリエーションも豊富になる
  • 資産管理法人に物件を所有させることで相続がスムーズになる

このように、主に節税目的で法人化する人が多いのですが、実は法人化をすると融資を受けやすくなり、資産の規模を短期間で大きくしやすいといったメリットがあるのです。

規模の拡大とともに法人化していく理由とは?

そのため、個人でアパートローンを利用して不動産投資を始めた方が、途中から資産管理法人を設立して、法人名義で物件を増やしていく手法に切り替えることが多くなるのです。

実は、個人で受けられる融資には限度があり、年収の10倍、20倍など、金融機関ごとにその最大限度が決められています。

しかし、法人という人格には、事業を継続する限り事業を拡大し続けるという基本的な考え方があります。その法人の事業に継続的に融資をして、銀行も儲けていくことになりますから、これといった融資額の限度に関するルールはありません。

したがって、多くの不動産投資家は、ある一定レベルの資産規模になったら、法人を設立し、その法人で融資を受け不動産を購入していくことを検討することになるわけです。

しかし、その新設した法人で良い物件があれば、無尽蔵に融資を引いてガンガン物件を購入していけるかというとそうではありません。

当然、そこは法人の資産、負債、収入、担保のバランスを見て、都度、案件ごとに銀行は融資審査をしていきますから、実績もほとんどない新設法人では立て続けに物件を購入していくことは極めて難しいのです。

しかし、他にも良い物件があれば、当然買いたくなるのが絶賛規模拡大中の大家さんの常。そこで「1物件1法人スキーム」で物件を購入する人が現れはじめたわけです。

1物件1法人スキームの何が問題なのか?

もちろん、複数の資産管理法人を設立して融資を受けること自体には何ら問題ありません。問題になるのは他の資産管理法人で融資を受けていることを銀行に隠して、つまり銀行を欺いて、新たな資産管理法人で融資を受けるやり方です。

具体的に、どのような形でこのスキームが利用されるのか見てみましょう。

たとえば、年収1,000万円の人が不動産投資を始めて、A銀行では限度一杯である年収の20倍の2億円を借りることができたとします。

次に、良い物件が出てきても、この人はもうA銀行では融資を受けられません。

当然ながら、別のB銀行であっても、借入限度額が年収の10倍であれば、B銀行で融資を受けることもできません。

そこで、資産管理法人Aを設立してA銀行から融資を受けてアパートを購入するわけです。個人の属性、自己資金の額、大家さんとしての実績、物件そのものの積算評価がA銀行の評価基準に合えば、年収の20倍以上でも資産管理法人Aで融資を受けてアパートを購入することができます。

しかし、さらに物件を買い進めていくためには、個人および物件を購入したばかりのA法人ではA銀行から融資を引くことはかなり難しいでしょう。

そこで、今度は新たに資産管理法人Bを新規で設立し、B銀行から融資を新規で受けるのです。この時、資産管理法人Aの存在はB銀行に隠しておきます。なぜなら、融資が受けられない可能性が出てくるからです。

こうして、さらに良い物件が出てきた時は、C銀行からC法人で、D銀行からD法人でと続けていくわけです。

個人の信用情報は、法人の連帯保証人と紐づけされない?

しかし、法人であっても、その法人の代表となる投資家本人の連帯保証は必要です。個人の債務情報と、法人の連帯保証人の債務情報は紐付けされないのでしょうか?

実は、個人の信用情報は、仮に法人の連帯保証人となっても登録されないケースがあるようなのです。したがって、別法人の存在を隠したまま、融資を受けることができてしまうのです。

銀行に隠している法人がバレたらどうなる?

しかし、今後はマイナンバー制度により、隠蔽法人の所在が明らかになる確率は極めて高いでしょう。また、行き過ぎたローンを懸念して金融庁がどこかの銀行に検査に入った際に、「1物件1法人スキーム」の存在を指摘され、銀行は貸倒れ引当金の積み増しを余儀なくされ、スキームの実態が明らかになる可能性もあります。

さらに、マイナンバーは法人にも番号が指定されていますので、法人番号、商号、所在地を誰でも検索できます。投資家本人の自宅が法人の所在地になっていれば、たくさんの法人があることは確認できるでしょうし、法人の名称がわかれば商業登記簿で、その代表を調べることは簡単にできるようになります。

では、このスキームがバレた場合はどうなるのでしょうか?

これは、銀行に他の債務を隠して融資を受ける、あきらかな隠蔽行為ですから、もしバレた場合には融資の一括返済を求められたり、悪質な場合には詐欺罪等で告発される可能性も否定できません。

人の目を見て、堂々としていられない行為はすべきでない

このように、「1物件1法人スキーム」は、著名な投資家や一部の不動産仲介業者で、規模を一気に拡大しメガ大家になるための秘策として自慢げに語られ、堂々と投資家に勧められきた手法ですが、バレた時の社会的制裁リスクは計り知れないものがあると言えます。

ご存じ、大阪の森友学園も、実際の見積よりも遥かに高い見積を国交省に提出し、助成金を獲得しようと目論んでいましたが、これは完全なる詐欺行為。「1物件1法人スキーム」は助成金ではなく融資ですが、銀行を欺いてお金を引っ張る行為ですから、その悪行は森友学園と同じ穴のムジナであると言っても過言ではありません。

銀行に他の借入れを隠し、欺いて融資を引っ張る「1物件1法人スキーム」はグレーゾーンではなく、完全なるブラックです。

もし、バレたら一括返済どころか、ブラックリストが出まわり、どの金融機関であっても二度と融資を受けることができなくなるかもしれません。

不動産投資は、身の丈にあった投資をすれば、あなたに安定した収入をもたらしてくれます。しかし、人を欺いたりしてまで資産をつくり、リタイアできたとしても、他人に言えない秘密を抱えながらビクビク過ごすリタイア生活に何の意味があるのでしょうか?

投資に限らず、人の目を見てできないことは、すべきではありません。
信用というものは、一夜にしてできません。しかし崩れるのは一瞬です。
どんなビジネスも投資も、近道はありません。千里の道も一歩から。
お互い頑張ってまいりましょう。

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浦田 健

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浦田 健
  • 浦田 健
  • 株式会社FPコミュニケーションズ代表取締役
  • 一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)代表理事

明治大学商学部卒。
2002年個人向け不動産コンサルティング会社を創業。 近年、国内はもとより海外の不動産コンサルティングを手がける。
2008年「すべての人に不動産の知識を!」を使命としJ-RECを創設、 同時に「不動産実務検定」を開始。全国35カ所以上に教室を開設し、いつでも、だれでも、どこでも 不動産実務知識が学べる環境をつくる。
主な著書に「金持ち大家さん」シリーズ他不動産関連書籍多数、発行部数は業界最多となる累計30万部を超える。