開幕が近づく平昌五輪、2018年・年明け相場への影響は?

幻の冬季五輪とならないことを切に願う

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開会式まで80日を切った平昌(ピョンチャン)オリンピック

すっかり冬らしくなってきましたが、いよいよ来年2月には韓国で冬季オリンピックが開催されます。開催期間は2018年2月9日(金)から2月25日(日)までの17日間、開催地は韓国東北部に位置する平昌(ピョンチャン)です。

開会式までは11月24日時点で残り77日となっており、11月21日にはソウル駅から約180キロ離れた会場を1時間40分ほどで結ぶ高速鉄道の試乗会が行われるなど(開通予定は12月末)、準備は着々と進められているようです。

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ただし現時点では、冬季五輪の目玉の一つである女子フィギュアスケートで、前回のソチ五輪の日本代表であった3人(浅田真央、鈴木明子、村上佳菜子)や、韓国の人気選手であったキム・ヨナが引退してしまったことなどから、今ひとつ熱気が感じられないようです。

とはいえ、開催までもう間もないということで、近いうちに話題が盛り上がってくる可能性は十分に考えられます。そこで今回は少し先回りして、このイベントが株式市場に対してどのような影響をもたらすかについて考えてみたいと思います。

極東アジアが世界から注目される

まず第1に考えられるのは、欧米における日本を含む極東アジアへの関心が高まることです。

極東は英語ではfar eastといい、文字通り欧米から見て”東の果て”です。このため、一般人だけではなく、実はプロの機関投資家も、日本人が考えているほどには極東のことに普段はあまり関心を持っていません。

また、冬季五輪自体が欧米中心のイベントです。今回の平昌五輪は、第1回目の1924年フランス・シャモニーでの開催から数えて23回目となりますが、アジアが開催地となるのは、1972年の日本・札幌、1998年の日本・長野と合わせてわずか3回だけです。これに対して、ロシアを含めた欧州は14回、北米(米国およびカナダ)は6回となっています。

このため、韓国での冬季五輪開催は、極東という欧米から見た”マイナーな地域”に対して欧米の人々の関心を持ってもらうための良いきっかけになることが考えられます。とりわけ、日本株は海外投資家の売買動向に大きく影響されやすい市場であるため、こうした視点は意外に重要である可能性があります。

通信の新技術・5G(第5世代移動通信システム)への注目が集まる

次に考えられることは、平昌五輪をきっかけにICT関連の新技術への注目が高まることです。

米国大手半導体メーカーのインテルや韓国の通信事業者であるKTは、5G(第5世代移動通信システム)に関する大規模な展示や試験サービスを協業して行う予定です。

また、韓国政府も平昌五輪を韓国のICT技術を世界に発信する好機として捉え、五輪会場において5G、IoT、AI、VRなどの先進技術を活用する取り組みへの支援を強化しています。このため、開催期間中には様々な用途事例のレポートが現地から報道される機会が増えてくることが予想されます。

ちなみに、5Gは現在主流のLTE(4G)よりもさらに高速で大容量なデータ伝送を、スマホで、スタジアムのように大勢の人が集まる場所でも可能とする技術です。

現時点では3GPPと呼ばれる業界団体が世界標準の仕様について協議中ですが、各国キャリアはそれに先立ち2019年頃の商用化への動きを活発化しています。よって、今回の冬季五輪での実証実験の結果に対しても大きな注目が集まることが予想されます。

ウインタースポーツ関連銘柄への注目が集まる

最後は、ウインタースポーツ関連企業への注目度が高まることです。2018年の冬は冬季五輪の開催により、例年以上に人々の関心が高まるかもしれません。

銘柄としては、ウインタースポーツ関連製品を扱う小売業のアルペン(3028)、ヒマラヤ(7514)、ゼビオホールディングス(8281)や、スキー場を運営する日本スキー場開発(6040)、西武ホールディングス(9024)などが考えられます。

ただし、「麦わら帽子は冬に買え」という有名な投資格言もありますので、投資タイミングについては十分に熟考されることをおすすめいたします。

まとめ

開催まで残りわずかとなった平昌五輪ですが、やはり気になるのは北朝鮮の動向です。有事となった場合には5Gやスポーツどころではなくなってしまうからです。

11月13日付けの聯合ニュースなどで、五輪開催期間中は韓米による軍事演習を中止するという報道もあるため、軍事的な緊張が和らぐ可能性も出てきていますが、予測不可能な側面が多くあるため、予断は許されません。

ちなみに、冬季五輪には開催が中止になったことが過去に2回あります。具体的には、1940年の日本・札幌と、1944年のイタリア・コンティナダンペッツォで、中止理由はいずれも第2次世界大戦中であったことによります。

今回の平昌五輪が幻の冬季五輪とはならず、文字通り「平和の祭典」として開催されることが切に願われます。

和泉 美治

ニュースレター

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。