来年の相場を占う時期が到来

いよいよ12月となり、今年1年を振り返るとともに来年の2018年がどのような年になるかを誰もが考える時期となっています。

株式市場においても、この時期には来年を予測するレポートが多く発行されます。ただし、365日先のことを予測するのは容易なことではありません。また、年末に限って、その予測精度が向上するということもありません。

よって、この時期の「来年を予測する」レポートを読むときは、本記事も含めて、“年末恒例”のものとして客観的に捉えることをおススメします。

2017年の相場を流行語大賞の候補ワードから考えてみる

2018年について考える前に、まずは2017年について振り返ってみましょう。

11月30日時点で日経平均は年初比で+19%、NYダウは+21%上昇した水準にあり、このまま年末にかけて大崩れがなければ、2017年の株価は極めて順調な1年であったと言えそうです。

では、今年の株式市場はどのような年であったのか、この1年に起きたことを振り返るため「2017年ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた30語を見てみたいと思います。

【ノミネートされた30語】アウフヘーベン、インスタ映え、うつヌケ、うんこ漢字ドリル、炎上◯◯、AIスピーカー、9.98(10秒の壁)、共謀罪、GINZA SIX、空前絶後の、けものフレンズ、35億、Jアラート、人生100年時代、睡眠負債、線状降水帯、忖度、ちーがーうーだーろー!、刀剣乱舞、働き方改革、ハンドスピナー、ひふみん、フェイクニュース、藤井フィーバー、プレミアムフライデー、ポスト真実、魔の2回生、◯◯ファースト、ユーチューバー、ワンオペ育児

こうしてみると、様々なことがあったことが改めて思い出されますが、このうち株式市場にも影響を与えた言葉を5つピックアップしてみました。

AIスピーカー:
アマゾンが先行しているAIスピーカーですが、日本でもソニー(6758)、パナソニック(6752)、オンキョー(6628)、NEC(6701)、富士通(6702)などが本体や周辺技術の開発に取り組んでおり、その進展に関心が持たれます。

また、AIスピーカーの機能も盛り込んだソニーの犬型ロボット「aibo」(来年発売予定)の動向も要注目です。

Jアラート:
2017年は、これまではテールリスク(注:確率的には極めて低いものの、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク)とされていた朝鮮有事が、一気に現実のリスクとして浮上してきた1年でした。

このため、株式市場でもしばしば防衛関連銘柄が物色されることがありました。来年は2月に韓国で平昌五輪が開催予定ですが、文字通り「平和の祭典」として開催されることが願われます。

働き方改革:
“モーレツ経営”でも有名だった日本電産(6594)が働き方改革に本格的に取り組み始めるなど、この話題は株式市場でも非常に注目されました。背景にあるのは、少子高齢化による生産年齢人口の減少であり、そうした環境下で成長を確保するためには生産性の改善が待ったなしであるという問題意識です。

こうした社会課題に対して的を得たソリューションを提供する企業には、来年以降も注目が集まる可能性が高いと考えられます。

プレミアムフライデー:
個人消費喚起などのために国と経済界が一体となって始めた取り組みですが、実際はあまり大きくは盛り上がりませんでした。

月末の金曜日が最適なのかなど、制度面ではなお改良の余地はありそうですが、「働き方改革」を推進するためにも一定の影響が期待される施策であるため、今後の動向には注目したいと思います。

ユーチューバ-:
2017年8月にユーチューバーのサポート事業を展開するUUUM(3990)が新規上場したことに伴い、この言葉は株式市場でも話題となりました。

「YouTube」のようなプラットフォームの普及により、今は資金力がない個人でも放送局並みの情報発信と影響力を持つことが可能な時代です。また、情報はテレビ・新聞からだけではなく、ネット媒体を通して得ることが当たり前になってきています。こうしたなかで、UUUMに続く新たなベンチャーが生まれてくるかにも引き続き注目です。

日経平均3万円という予測も出てきた

では、2018年の株式市場はどのような1年となっていくのでしょうか。

ネット証券大手であるマネックス証券は、最近、日経平均が30,000円へと上昇する見通しを発表しています(発表日は2017年10月27日)。

同社の松本大社長は、金融緩和が継続する、GPIFのポートフォリオのなかで日本株の比率が今後も高まる、長期的に見た時の米国株に対する日本株の出遅れが修正されていく、といった3つの理由から、2019年3月末までに日経平均は3万円に達する可能性があると予想しています。

また、マネックス証券のチーフアナリストである大槻 奈那氏は、日本の名目GDPの成長が継続すること、金融機関の経営が安定していること、消費センチメントも改善傾向にあることなどから、2019年中にも日経平均は3万円を達成する可能性が高いと予想しています。

米国でも強気派が台頭

株式市場に対して強気なのは日本のネット証券だけではありません。

「投信1」の【米株価予想】強気のゴールドマンと弱気のバンガード、軍配は?』によると、ゴールドマンサックス(GS)は、2018年末のS&P500の予想を、現在の水準から約9%上回る2850と予想し、さらに、2019年には3000、2020年には3100まで今後3年間にわたり上昇していくと予想しています。

この“強気”の根拠としては、米国および世界経済の好調が今後も続くこと、金利上昇は(景気に水をささない程度の)穏やかなものに留まること、そして法人税改革により企業利益が高まること、の3つが挙げられています。

また、同記事では、UBSもGSと同様に株式に対して強気なスタンスを維持していることが紹介されています。

まとめ

繰り返しになりますが、1年先のことを予測するのは容易なことではありません。また、こうした予測は年末恒例のイベントの一つであり、あくまでも目安として考えることが大切です。

上述の強気な見方も、景気が今後も順調に拡大し企業業績も成長が続くことや、戦争などの地政学的なリスクが大きく顕在化しないことを前提にしている点には留意が必要です。

一方、投資アイデアはこうした相場見通しだけに頼るのではなく、日常生活から見つけ出すことも大切です。そのためにも、来年、2018年の流行語大賞にはどのような言葉がノミネートされるのかを、年初から考えてみるのもいいかもしれません。

LIMO編集部