2017年12月1日に行われた、ウェルビー株式会社2018年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:ウェルビー株式会社 代表取締役社長 大田誠 氏

2018年3月期第2四半期決算説明会

大田誠氏:ウェルビーの大田です。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは早速ですが、始めさせていただきます。

会社概要(2017年9月30日現在)

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こちら(スライドの上部)が経営理念になっております。

これまでの歩み

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続きまして、これまでの歩みです。

2011年12月に会社を設立いたしまして、翌年(2012年)4月に、西船橋にセンター(ウェルビー西船橋駅前センター)を開設しました。しばらくは就労移行支援事業だけをやっておりましたが、途中(2014年)から、療育事業の展開も始めました。現在(2017年12月1日時点)は、70店舗超のセンターを運営しています。2017年10月5日に、東証マザーズに上場させていただきました。

当社事業の概要

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当社事業の概要になります。簡単にご説明いたします。

まず、大きく分けて2つの柱がございます。

1つ目の柱は、就労移行支援事業です。これは、18歳以上65歳未満の方向けに、精神障害や発達障害をお持ちの方が社会的に自立できるようにということで、生活支援・求職活動支援を行っています。就職したあとは、職場定着支援を行っています。「ウェルビー」という看板を掲げたセンターを運営しておりまして、そちらに通っていただくというかたちになっています。

2つ目の柱は、療育事業です。こちらは、18歳以下のお子さん向け。主に、発達障害をお持ちの方向けです。「ハビー」という看板を掲げてやっていますのが、未就学児向け。つまり、小学校入る前のお子さん向けにやっている教室です。「ハビープラス」というのは、小・中・高生向けの、いわゆる放課後等デイサービス事業所です。こちらを展開しています。

ビジネスモデル

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ビジネスモデルです。

就労移行支援は、まず基本的に、9割の方は無償で(センターに)来られています。残りの1割の方が、一部負担となっています。どのような1割の方が一部負担かというと、世帯収入が一定額以上の方。「世帯収入」というのは、親御さんは入りません。なので、1割ぐらいの方しか、対象になる方がいません。そのような方も、基本的には月に1万円未満の負担となっています。

その残りの部分は、報酬の支払(スライドの⑥)ということです。こちら(スライドのグレーの部分)にある、各都道府県の国保連(国民健康保険団体連合会)と言われているところを窓口として、行政から給付金というかたちで、当社が残りの分を受け取っております。

療育事業につきましては、1回当たり1,000円の負担です。残りについては、同じように国保連を窓口として、給付金として当社が受け取るという報酬体系になっております。

就労移行支援事業の展開状況

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続いて、就労移行支援事業の展開状況です。

「ウェルビー」という看板を掲げているセンターが、(2017年)9月末時点で(全国に)57拠点ございます。埼玉・東京・神奈川・千葉という順番で多くなっておりまして、今のところまだ、関東エリアがいちばん多いです。その次に九州エリア、そして近畿エリアという順になっています。

就労移行支援事業の就職実績

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就労移行支援事業で、どのような就職実績があるかと申し上げますと、今までの累計は(2017年)3月現在で1,116名になっています。拠点数が伸びるにつれまして、毎年の就職者数も増えているという状況です。

疾患別就職実績割合(スライドの中央の円グラフ)で言いますと、こちらの中の身体障害の方・知的障害の方・その他の方以外のところは、みなさん精神障害と発達障害の領域になっております。

そのような方々が来られていて、半数以上の方が事務職に就職されております。当初から、事務職に就いてもらおうということを目標にやっていました。思惑どおり、半数以上の方が事務職に就かれているという状況です。

昨年度(2016年度)の就職定着率は83パーセントでした。この計算の仕方としては、今まで就職された方の総数を分母としまして、分子には半年以上就職を継続された方がきます。そのような計算の仕方になります。

療育事業の展開状況

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続いて、療育事業の展開状況です。

「ハビー」という名前の看板でやっている未就学児向けが、(2017年)9月末時点で12拠点。小・中・高生向けの「ハビープラス」が3拠点と、この時点ではまだ関東だけになっています。10月・11月で、関西の京橋・心斎橋・三宮に出店させていただいております。

当社事業の特長(サマリー)

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続いてサマリー、特長になります。

まず、当社がここまで成長できた肝となっている部分は、業務マニュアルを早い段階から整備したことです(①)。どのように整備したかというと、まず各現場からの意見を吸い上げて、毎月月初に、かなりの数の改訂をしてきました。

毎月必ずのように改訂をしてきて、全従業員に覚えさせております。覚えて、毎年テストをして、(その結果が)駄目だったら追試を行うことで、徹底して頭の中に入れてもらいます。

さらに、上場準備をする前から内部監査をやってきました。そこでは、業務監査の他にマニュアル監査をずっとやってきました。マニュアルがどのようにきちんと運営されているかを、徹底的にやってまいりました。

これによって、均一されたサービス品質を提供できてきたと思っていますし、新しいセンターを展開するにあたりましては、マニュアルを徹底してやってきたおかげで、スムーズに展開できてきたと思っております。

続きまして、「当社がメリットを享受できる報酬体系」とあります(②)。こちらは、先ほど申し上げた給付金の報酬の仕組み。とくに就労移行支援事業については、「基本報酬」と「(定着実績に応じた)加算」という2段階に分かれています。

「基本報酬」というのは、利用者さんが1日に来られれば、どのセンターも受け取れる報酬のことです。「加算」というのは、センターごとにどれだけ就職者を出したか、そしてどれだけ定着させられたかによって、成果報酬でいただけるプラスの部分の報酬になります。

基本報酬は、現状どんどん下げられていく方向にあります。3年ごとに、報酬改定がございます。来年(2018年)の4月にもあり、ここでもおそらく、基本報酬は下げられるのではないかと言われています。加算については上がってきていまして、2015年の報酬改定についても、トータルでは上がっています。

これは全部、会社単位ではなくて、センターごとの計算になります。当社の場合、実績を積んだセンターがたくさんございますので、基本報酬は下がるけれども加算が上がることで、トータルで上がります。

基本報酬は、新しく設立したセンターについては下がる方向性なので、少なくなります。ただ、プラスマイナスで考えても、当社の場合は実績のあるセンターがたくさんありますので、トータルで増えるということが、メリットと言えようかと思います。

続いて、3番目です。まず、センターを開所するときには、必ず6名程度の人員が必要になります。これは、売上がゼロでも当然、固定費として必要になってきます。その中の1人に、必ず管理責任者という人を置かなければなりません。この管理責任者になる資格が、「福祉事業所で5年から10年の経験を積むこと」です。

現状では、5年から10年の経験があれば、新しいセンターの管理者になることができます。1年以内に、各都道府県が実施している2つの研修を受けていただく必要があります。2つの研修というのは、3日間・2日間のものでして、それぞれけっこうマニアックな内容です。

このような専門的な内容の研修ですので、5年から10年の事業所の経験期間を踏んでいて、かつこのような研修を受けている人というのは、転職市場ではほとんどいません。

今までは、「経験期間さえ踏んでいれば、1年以内にこの講習を受ければいいですよ」というルールでしたが、来年の4月以降は、いっぺんに両方の要件をクリアしないと、管理責任者になることはできません。

つまり、(該当する人材が)市場にほとんどいないという状況です。仮に大手の企業が参入してくるという状況になっても、このような人を調達するのは相当難しいと思います。かなり、参入障壁は上がっているということが言えようかと思います。

当社の場合、これがどのようなメリットになるかというと、当社は現状500人超の従業員がおります。毎年毎年、経験期間を経過している人間が増えています。そのような人間には、どんどん講習を受けさせております。

つまり、管理責任者になれる人員のストックが、たくさんいるという状況です。そのため、参入障壁が上がっても、新しいセンターを問題なく展開し続けられるということが言えようかと思います。

最後に、「地域連携・地域密着」と書いてあります(④)。当社は、比較的後進でこの事業をスタートいたしました。ですので、他社がやっていないことを一生懸命やっていこうということで、当初から営業活動をかなり一生懸命にやっています。

利用者さんをとりまく環境は、行政や教育・医療・福祉・社会支援。いろいろな方々が、利用者さんのサポートをしています。そのような方々向けに、非常に一生懸命営業をしてコネクションを作ってきましたので、そのようなところから利用者さんの紹介をたくさん得ている。この業界でおそらく、どこにも負けないぐらいのコネクションを持っていると思います。

さらに、その中でいちばんの強みは、医療。精神科医の先生方とのつながりです。全国の精神科の先生方に、非常にバックアップしていただいていますので、そこも業界では負けていないと思っております。これが、当社の強みになります。

第2四半期決算のポイント

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続いて、第2四半期決算のポイントになります。売上高は20億7,000万円、営業利益は5億3,000万円という結果になりました。出店状況は(上期で)9拠点を開設して、全体で72拠点になっております。

第2四半期決算の概要

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数字につきましては、こちらが当初の予想と実績になります。半期で、当初の予算が(売上高が)19億4,400万円のところが、実績は20億7,100万円です。

営業利益は、4億3,300万円の当初予算が、(実績は)5億3,000万円となっております。(売上高、各利益ともに)過去最高という数字を出せております。

第2四半期決算 売上高推移

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売上高推移につきましては、2017年3月期第2四半期と2018年3月期第2四半期を比較しています。

就労移行支援事業(緑色のグラフ)は、(前期の)12億7,300万円が、今期は18億6,400万円と伸びています。療育事業(オレンジ色のグラフ)は、もともと前期が少なかったのです。(前期の)4,700万円ほどが、(今期は)2億700万円となりました。来期以降も、このような伸びが続くと思います。

第2四半期決算 財政状態・キャッシュ・フロー

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財政状態・キャッシュ・フローについては、ご覧のとおりになります。

第2四半期決算 新規出店

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続いて、第2四半期の新規出店は、ご覧のとおりになっています。これは後で、予算との兼ね合いについて触れさせていただきます。

2018年3月期 業績予想

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2018年3月期の業績予想です。

「売上が上がっているので、上方修正をしないのですか?」とよく言われます。利用者数は、今後も順調な推移を想定しています。ただ、今後の投資という意味で、予算以上に追加出店をしていきたいと思っています。その分初期コストがかさみますので、通期業績予想は、据え置きとさせていただきたいと思っています。

(表のいちばん右の)進捗率です。売上高は、50パーセント台の進捗率になります。売上高については、基本的には第1四半期よりも第2四半期、第2四半期よりも第3四半期、第3四半期よりも第4四半期が伸びていくというのが、毎年通常の状態です。そのため、(第2四半期時点で)50パーセントというところは、問題ないと理解しています。

営業利益は54.7パーセント、経常利益は52.9パーセントの進捗率となっています。

業績推移

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業績推移です。拠点数の伸びに応じて、売上高は伸びているということです。この折れ線グラフは、経常利益率になります。こちらが2016年3月期に一度下がっている要因は、1つは1年間に20店舗オープンしたというところでの、初期コストがかさんだ点。もう1つは、本部をきちんと整備して人員を増やしたこと。きちっとした本部管理体制を作ったという点で、この年は利益率が下がっています。

その後、新しいセンターが利益を出し始めてくれたので、現状(2018年3月期)では24.2パーセントという状況まできています。

拠点数推移

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拠点数推移です。下期はこのように、ウェルビーを3センター、ハビーを4教室、ハビープラスを2教室、開設する予定になっています。トータルで言いますと、ウェルビーは年間で5店舗出店するという予算をたてていました。

こちらは「追加出店」と書いてあるように、もうすでに予算をクリアしていて、(2017年)12月に6店舗目となる博多センターを予定しています。こちらについては、さらにもう少し出せていくのではないかなということで、(追加出店を)準備しているセンターがございます。

ハビーについても、ハビーとハビープラスの両方で10拠点を出すという予算になっていますが、ハビーについてはすでにクリアしています。(2017年)11月の心斎橋と三宮の出店は、予算を超えたものになっています。

ハビープラスについては、今後2教室の展開を予定しています。

株主還元

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株主還元についての考え方です。我々は上場する以上、利益という点でも株主の方々の期待に応えられるようにということで、鋭意努力してまいります。それに伴って、継続的に株主の方々に還元できるようにということで、20パーセントの配当性向をお約束させていただきたいと思っています。

障害者雇用の状況

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続いて、今後の成長戦略です。

まず、障害者雇用の状況です。この折れ線グラフが、実雇用率です。障害者の方々の実雇用率は、今1.9パーセントを超えてきています。法定雇用率とは、企業が障害者の方を雇うという比率を国が決めています。こちらが、現状は2パーセントです。来年(2018年)4月からは、2.2パーセントに上げられます。さらに2020年度末までには、2.3パーセントに上げるということが決まっています。

このように、法定雇用率もどんどん上がっていくということで、今後もおそらくトレンドとしては上がっていくだろうと言われています。

さらに追い風なのは、今年(2017年)の3月に、第10回働き方改革実現会議という会議が行われました。その中で、実行計画指標というものがあります。「就労移行支援事業所等の利用を経て一般就労へ移行する者を2020年度までに2016年度実績の1.5倍以上にする」と、明確にうたっていただいています。

おそらく、この「1.5倍以上」というのは、予算を含めた指標を出されているのだと思っていますので、国策もこのような就労移行支援事務所を推奨してくれていて、追い風がしばらく続くんだろうなと思っています。

発達障害児の人数推移

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発達障害児の人数推移についてです。2012年12月に、文部科学省が、「通常学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒数の割合」ということで、6.5パーセントという数字を発表しました。発達障害の方というのは、基本的に遺伝性の要素が大きいので、それほど増えていくものではないと言われています。

それでは、なぜ増えているように見えるのかというと、こちらは認知度がどんどん上がっているということです。きちんと発達障害というものに向き合おうという姿勢が、世の中にできてきました。

さらに、どのようにケアをするべきかということも考えられるようになってきましたので、当社が行っている事業も、今後は後押しになってくるということが言えると思います。

今後の成長イメージ

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今後の成長イメージです。

まず、持続的に出店を拡大する(①)。首都圏・人口が多い地方都市に、今後も、今までに負けないぐらいの数を出していきたいなと思っています。それが、売上の増加につながるということです。

もう1つは、先ほど申し上げた、報酬体系の加算の部分がどんどん増えているということ(②)。就労移行支援事業については、就職者を引き続きどんどん出していって、定着させていくという体制は、変わることはありません。

介護と就労移行支援で、異なっていると言われている点は、就労移行支援には明快なゴールがございます。これは、就職をさせて定着をさせるということです。報酬体系は、就労移行については、非常に従量的な成果報酬をきちんと出せていると言われています。これに沿って、当社もきちんと就労・定着させるということで、売上も伸びるという仕組みをやっていきたいと思っています。

最後に、外部要因による後押し(③)というのが、先ほど申し上げた(障害者の)法定雇用率が上がるというところです。

以上になります。ご清聴ありがとうございました。

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