四万十川で天然ウナギを食べてみた

「日本最後の清流」の天然鰻重が食べられなくなる日は来るのか

季節に関係なく食べたくなる鰻

季節はこれから冬本番となり、鍋料理を食べる機会が多くなります。鍋料理が冬の定番である一方、季節に関係なく食べたくなる料理もありますよね。その1つが鰻(ウナギ)ではないでしょうか。

こう書くと、“鰻なんて夏に食べるものでしょ?”という意見が少なくないと思われます。恐らく、これは土用丑の日に鰻を食べる習慣のためではないでしょうか。確かに、日本では江戸時代から土用丑の日に鰻を食べる風習がありますが、その起源は平賀源内の発案(一種の広告)によるという説もあります。

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今では、栄養価値の高い鰻を食べて夏バテを乗り切ろうという趣旨で広く受け入れられているようですが、夏バテ対策という意味ならば、別に鰻にこだわる必要はありません。

また、街にある鰻屋さんは1年中営業していますし、冬でも結構お客さんが大勢入っています。地方によっては、お正月のおせち料理に鰻を使うことも珍しくありません。今や鰻は四季を通して美味しく食べることができます。冷やし中華のような“夏季限定”ではないのです。

養殖技術の進歩で四季を通して鰻が食べられるように

一方で、鰻を本格的に1年中食べられるようになったのは第2次大戦後ですから、まだ70年くらいの歴史しかありません。その理由は養殖技術の進歩に尽きます。

戦前から始まった養殖が、戦時中に一度途絶えたものの、その後に拡大したことにより現在は全生産量の約95%を養殖が占めていると考えられます。水温など環境管理の徹底や、脂が乗りやすいエサの開発などの結果、季節に関係なく美味しい鰻が食べられるようになったのです。日本が誇る養殖技術に感謝ですね。

四万十川は「日本最後の清流」「日本三大清流の1つ」

一方、現在は全体の5%程度まで減ってしまった天然鰻ですが、一度は食してみたいものです。その天然の鰻が有名な河川は数多くありますが、全国的に有名な1つが四万十川(高知県)ではないでしょうか。

四万十川は、高知県西部を流れる一級河川で、「日本最後の清流」「日本三大清流の1つ」と称されます。「川」ではなく「清流」という呼称からも、その清らかな水の流れが想像できます。ちなみに、「日本三大清流」とは、四万十川、長良川(岐阜県)、柿田川(静岡県)とされています。

四万十川には、JR高知駅から特急で約1時間40分かけて土佐くろしお鉄道の「中村駅」に着き、そこから自転車で行くのが定番コースです。有名な佐田沈下橋には自転車で約1時間を要します。中村駅からレンタカーを使うこともできますが、上流に行くほど道が細くなるので難しいと思われます。

四万十川の天然鰻重を食するが…

こうして辿り着いた四万十川の美しさ、雄大さ、素晴らしさは、言葉で言い表すことが難しいくらいですが、「川」ではなく「清流」と言われるのが納得できます。

そして、佐田沈下橋の近くにあるよく知られたお店で食べた天然鰻重がこの写真です。四万十川のような清らかな気持ちで食した天然鰻重でしたが、事前の期待値が少し大き過ぎたというのが正直な感想です。

関東の人にはやや厳しいかもしれない「関西風地焼き」

まず、考えてみれば当然なのですが、西日本の高知県では鰻の調理法が地焼き(関西:腹開き、蒸さない)でした。天然鰻の良さを出すには地焼きが適していると言われているようですが、江戸焼き(関東:背開き、蒸し焼き)に慣れた筆者にはなかなか厳しいものがありました。

また、筆者が食したのは10月上旬でしたが、脂の乗り方が今一つという印象がありました。それでも、念願かなって食した四万十川の天然鰻重の味は忘れられないものになりました。ちなみに、値段は東京の鰻屋さんで食べる特上鰻重と同じくらいでした。

四万十川の鰻漁獲量も激減が続く

ところで、四万十川で獲れる鰻もご多分に漏れず、年々減少が続いています。少し古いデータですが、平成17年に48トンだった漁獲量は、平成24年にはわずか4トンに激減しました。

その後も目立った回復することなく、平成27年はピーク時の46分の1まで減ったという報道もありました。稚魚の激減から養殖鰻の生産量も減少が続いていますが、それは天然鰻も全く同じのようです。

鰻を食することは、日本に代々受け繋がれてきた食文化の1つでもあります。四万十川に限らず、天然鰻を食べられる日がいつまでも続くことを願わずにはいられません。

投信1編集部

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